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正しいタンゴを踊るな

『正しいタンゴを踊るな』

このワードが言いたくて、この題名を書いてから、中身を書き始めた。

ところが、ところがですよ、
これがなかなかと説明しにくい。

自分自身のタンゴのアイデンティティにまで掘り下がってゆくほどのタンゴ・パワーワードだということが判明。

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では逆に「正しいタンゴを踊る」とは?
①教科書通りの踊り。しかし、実際はタンゴに教科書なんてない。
 ※いや実はけっこうある。。。自宅にあった。これは追ってまた記事にします。

②Youtubeに出てくる踊りかた
 宣伝目的のものがほとんどだから、結局ごく一部のダンサーのものがほとんど。
 もちろん、観て魅力的なものが多くあるが、正しいタンゴというより、素敵なタンゴである。憧れても良いけど、君はその画面内の人ではない。

③レッスンで習った通りの踊り
 その教室内では正しい。しかし、実際にミロンガで上手くやってゆくには、別の訓練と、気持ちの持って行き方が必要。アレンジ力をつけよう。

④選手権で上位を目指せる踊り
 選手権のみでは大正解。混んだミロンガでこの踊り方をされると本当に迷惑。
 踊り方にもTPOってものがある。もう一度言う、本当に迷惑。

⑤ダンスとして正しい踊り
 ダンスとして素晴らしいことを求める踊りと、タンゴとしてその魅力を発揮する踊りは、ちょっとずれている。もちろん、それに越したことはないが、それが一致している人はごく稀だ。

一般社団法人日本アルゼンチンタンゴ 連盟で規定されている踊り
 正しいと言うより、多くの人が使っている技術のなかで押し並べて共通している技術と、多くの人に通じやすい踊り方と、スタイルによらずタンゴ教師として出来て欲しいことを推奨している。踊りやすいかどうかはその人次第。

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しかし、"正しい"である必要があるだろうか?
タンゴを習い踊る目的が、「正しい踊りである」ということが間違っていると思うのです。

私にとってのタンゴとは、タンゴの音楽のもう一つの楽器のように、心地よく相手に感じてもらえるように、伸び伸びと自分の体を駆使して、調和して踊ること。それが好きだし、それを目的としてレッスンも行なっている。

もちろん、タンゴダンス選手権で上位を目指すという目的であれば、それにあった指導を行いますが、多くのタンゴダンスの楽しみは、サロン=ミロンガ(ダンスパーティ)で、気持ちよく踊ることだと思っている。

つまり、私の場合は、最大公約数的な人数とうまくやっていける踊りに比重が高い。

勿論、所属するコミュニティ(嗜好、地域、国など)によってその傾向も異なる。
実は国によって随分違うのですよ、その傾向が。また、時代による流行もあるし。

そして、自分はこう踊りたい!という気持ちが実現されないときっと楽しくないでしょう。

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いわゆるタンゴダンス教師が言うことは、多くの経験者の継承と、自分の好みでできています。もちろん、絶対的な自信を持って私もそう。

多くのタンゴの先駆者(まぁ、爺さんたちだわね)や、タンゴのヒーロー(GiroではなくHeroね)ダンサー達、ミロンガでもイケているメソッドや理論が優れいているタンゴダンサー達、タンゴを改革したその当時若かったダンサー&教師(いわゆるヌエボ世代)、いまでも現役のMaestro de maestroと呼ばれる怪人達、などから引き継いでいるものは大きい。

多くのタンゴ教師は、さままざまな指導者の元で自分の身体と性格にあうタンゴを取捨択一して、それをレッスンで拡散している。

だから、どのタンゴ教師も間違っていない。
もちろん、ずっとタンゴダンスの勉強を続けているタンゴ教師に限るが。

ではタンゴを踊る時に何を目指したら良いか?
★踊りが良い
★アブラッソが良い
の2点。

★踊りが良い
は、タンゴダンスとして外からの見たものと考えて欲しい。
よく分からないうちは、かっこいいなぁと思う踊りね。そのうち嗜好は変わるかもしれませんが。
★アブラッソが良い
は、踊った相手が感じること。相手がニコニコしていたら大丈夫(大雑把)。

この2つのバランスがよいことが、間違っていないタンゴではないかと思っている。

そのための、様々なメソッドや、歴史的変遷、嗜好、体格や年齢に合ったタンゴのポジションがある。

だから、このポイントを押さえば「正しいタンゴ」という謳い文句の宣伝に惑わされてはならないのです。

多くの経験を経た後、あなたの正しいタンゴが出来上がるでしょう。
先生の正しいタンゴは必ずしもあなたの正しいタンゴではない。

最初から正しいタンゴを教えてくれるところを探そうと思わないこと。多くの経験をすることが大事。失敗からも学べるはず。ときどき、他の先生にも習ってみると良いかもしれない。

もっとも大事なのは"適切な"踊りであること。
場の雰囲気や、
集まっている人たち、
音楽に合わせて、
相手との落とし所をみつけて
臨機応変に自分のタンゴも踊ること。

ブエノスアイアレスでのタンゴの踊りは様々。
特にミロンガでの踊りは、とても個性的。

もし、自分の踊りたい踊りが実現できない時は、合うであろう相手を選ぶか、自分の踊りが流行っている時代が来るまで待つか。。。なかなか困った踊りだなとも思う。

私は、正しくないタンゴで、皆さんと楽しむことを期待している。

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