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男同士のタンゴ

最近BL界隈で男同士のアルウゼンチンタンゴが湧いている。

アルゼンチンは移民の国であり、その移民が大量に押し寄せていた頃は、女性がとても少なかった。女性とタンゴと踊るためには、上手くなって諸先輩から許可を得なければならなかった。だから、男同士で練習をして腕を磨いていたという歴史的背景がある。

一部サイトにある古いデータのタンゴの起源として、男同士でうさを晴らすために踊ったという表記があるが、それは誤解でありあくまで女性と踊るための練習をしていたという事実が、最近のタンゴドキュメンタリー映画「Milongueros」に、その時代を生きた本人達によって語られている。

これらは全てアルゼンチンでの写真だ。練習風景ではなく、何故か記念写真的なタイミングでタンゴ を踊っているポーズをしているのが、当時大流行していた証なのだろう。きっと日本人が写真を撮るときに手持ちぶたさでピースをやりはじめたように、当時せっかく貴重な写真をとるのだから何かポーズをしようとしたのではないかと思ったりします。

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当時は、男性は一生懸命に練習をしてタンゴの腕を磨き、女性は綺麗に粧し込んでいくことが役割で、多くの女性はダンスの練習をしているわけではなかった。もちろん、そんな中でタンゴを上手に踊る女性は当然一目を置かれていたのだが。

そうして、いわゆるタンゴダンスを継承していた多くは男性タンゴ舞踊手。
ダンスパーティでの誕生日等のお祝いで、男同士でおどったりする場面もあったりした。(上手い男性タンゴダンサーはフォロワーも実際上手い)
古い動画ですが、超有名なタンゴダンサーが山盛り。

私がタンゴ を始めた若かりし頃、この中の多くのダンサーに直接指導を受けることができたのは本当にありがたい。

カルロス・サウラ監督の映画「Tango」の中ではタンゴダンサー"Carlos Rivarola"と 超有名バレエダンサー"Julio Boca"が踊っている。実はRivarolaは度々というか1年に1度以上、日本に来ているので有名だ。


映画「Tango Libre」の監獄でのタンゴシーンは、男同士の喧嘩のような荒い遊びのような雰囲気の踊りが表現されている。タンゴ・ヌエボ(New Tango)の歴史を作った1人の"Chicho Frumboli"が役者として参加している。

マッチョさを表現した男同士の踊りは昔からずっと続いてきた。
"Fernando Gracia"もちょくちょく東京にやってきているダンサーだ。

双子のタンゴダンサーもかなり話題となった。なぜか幸楽苑のCMにも出演。

もちろん、コミックさが目立つ有名な男性ペアも。"Los Hermanos Macana"。

いずれも、多くは古典的なタンゴの曲(一部ピアソラ等)で踊っているので、男気ムンムンだ。

しかし、2000年前後より起きたタンゴ・ヌエボ(New Tango)の躍進や、音楽としてのエレクトリックタンゴの参戦などで、音楽の表現が多様になってきたことにより、タンゴではない曲でも踊るようになり踊りの表現が多様化してきた。

私的にはどれもタンゴだと思う。相手とのコミュニケーションで踊っている。
映画の中にタンゴを入れたくて役者さんにタンゴのようなものを踊らせているものは、ちょっと違うかなぁと思ったり。

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