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ほっとホスピス2


「ホスピス」を舞台にした、新米看護師の成長物語を書いています。

今回で第2話になりました。
今までで一番難しいです。

やはり「死」はさけてとおれないですし、悲しくて切ないお話になります。
いろいろな方の闘病記を拝読しました。
それはとても大変で、とても他人が踏み込めるものではないです。

でも、悲しくても、心の中には、その人は生きつづけます。
そして、残された人の人生はとても大切なものです。

できるだけ明るい方に気持ちが向かえる。
それは、かなり難しい事ですが、
明るい主人公とファンタジーの力を借りて、
この物語を紡いでいきます。
悩みながら書きますが、見守っていただければ嬉しいです。

「ほっとホスピス2」

〇4月14日由衣ちゃんはもう残り少ない生きる力でベッドに横たわっている。

あまりにも早い10歳で、命を失いかけている。

彼女はまだ幼いのに心臓に難病をかかえていて、もう余命がいくばくもない。

これは今の医学ではどうしようもない事でそれを受け入れる事しか残念だけど出来な。

これは宿命なのでどうしようもない事だけど、やはり悲しすぎて、

でも私はプロの看護師なので、ちゃんとしなくてはいけなくて、

とまどいながら点滴を付け替える。

「ねえ、虹が見たいの、母さんと遊びにいった海にかかっていた綺麗な虹を」

そう、弱々しい声で私につぶやく。

「きっと見られるわよ、さあ、頑張って」彼女の白くて細い肩を抱いて。

私は声をかける。「うん、嬉しいわ」彼女は天使のような笑顔で応えてくれる。

どうしようもなく切なくなって泣きそうになる。

でも、私はここで泣いちゃいけない。

笑顔で「明日にでも海に行こうね」と彼女に告げる。

やさしい笑顔で彼女はうなずいてくれる。いい子だ。自分もすごくつらいのに

4歳の女の子と友達になって、きっとしんどいだろうけれど、

輪投げをしたりして遊んだり一緒に海の絵を描いたりして、

その子を笑顔にしていた。

そしてお母さんに心配をかけないように明るく振舞っている。

ホントは自分の方がすごくきついのに。

確実に彼女の命は終わりに向かって今ベッドの上にいる。

お母さんはもう何も言えなくて、ただ泣くばかり、見ているのもつらい。

私はこのホスピスに入ってまだ二週間で、あまり役にたっていないと思う。

「ねえ、由衣ちゃん、しんどくない?」そう話かけてあげるのが精一杯で、

肩を抱きしめる事しかできないでいる。

彼女のぬくもりは確かなもので、そしてせつなくて、

愛おしくて、ただ時間だけが過ぎるのを感じる事しかできなかった。

彼女はもう一度「虹を見たいの」と小さくつぶやく。

夜だし当然虹なだけれど、彼女は同じ事をつぶやいた。

私に出来る事があるのだろうか。もうほとんど何も出来ない。

どうしようもなくて、でも何かしてあげたくて、そっと、

幼い頃信じていた神様にお願いをしてみた。

そしてびっくりする事に奇跡が起こる。病室の窓をコンコンとたたくような音がして、

窓を開けて夜空を見上げるとそこにはありえない虹がかかっていた。

それは綺麗すぎて、もうほとんど動けなくなった彼女に虹を見せてあげる。

「すごく素敵、綺麗」そうつぶやく。静かな時間が流れる。

最後に「ありがとう」とつぶやいて、やすらかな顔をして静かに目を閉じた。

天使のような微笑みは小さな写真になった。

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