ただ『エーステ』が好き、という
『MANKAI STAGE A3!』 通称『エーステ』
楽しいんですよ。もうすっかり惚れ込んじゃった。
『A3!』をプレイし始めたのもかなり遅かったけれど、エーステの世界に足を踏み入れたのは本当に最近のこと。
春単独のライビュを観に行ったのが私にとって初めてのエーステ。そこから私に『A3!』とエーステの世界を教えてくれた大切な友人と劇場で夏単独を観劇し、先月秋単独を神戸で観劇。冬単独も無事にチケットがご用意されたので観に行きます。
こうやって書き連ねると着々と履修していて、本当に笑っちゃうね。大好きになっちゃってるじゃん。
趣味に関して絶大な信頼を寄せる友人らが夢中になっているのだから、絶対にエーステで幸せになれると分かっていたけれど、一度ハマるとずぶずぶになってしまう自分の性格を自覚しているためなかなか手を出せなかったエーステくん。
ハマってしまえば「何でもっと早く履修しなかったんだろう」と後悔するほど夢中になっています。もうね、毎日が楽しくて仕方がないの。
元々ミュージカル鑑賞が趣味の一つだったので、エーステを観る前は2.5の舞台のことを『ストレートな舞台の下位互換』だと思っていた自分をぶん殴りたい。何も見劣りするところがない。
もちろん長年レッスンを受けて舞台だけで生きている役者さんが沢山出ているストレートな舞台から得られる満足感は、ストレートな舞台でしか得られないものなので比較するのも野暮なのだけれど。そういう点を加味しても、エーステはすごく面白い。
ここでは特定の公演の感想を述べるというより、ただ漠然としたエーステが好きという感情を書き連ねていきます。お付き合いください。
1.MANKAIカンパニーの観客になってしまった
私が初めて劇場でエーステを見たのは夏組単独公演の時。さきほど述べたこの優しい世界を私に教えてくれた大切で大好きな友達に連れて行ってもらった。
「初めての2.5舞台がエーステで、その初エーステの座席がこんないい席なんて、あなた以上に恵まれている人はなかなかいないよ!」と彼女は言ってくれた。私もそう思う。
いろんな作品が舞台化される中で、初めて観るのがエーステであること。そしてその初めてのエーステを見る席が役者さんの表情の変化まではっきり見える前方の席であることを、今になってすごく恵まれていたことなのだと気づく。
開場してすぐに入場したので、開幕まではしばらく時間があった。
前方の席だったため目の前にはえんじ色の幕が垂れ下がっていて、その幕のてっぺんにはMANKAIカンパニーのロゴが掲げられていた。
少しずつ客席が埋まっていって、みんなが買ったブロマイドやパンフレットを見ながら浮足立っていた。私も隣の席に座っていた友人と生まれて初めて買ったブロマイドを見返しながら、取り留めのないエーステの話をしていた。
そこで注意喚起のアナウンスが流れる。その時は役者さんの知識も浅く「このアナウンスって誰の声なんだろう」って漠然と考えていたような気がする。次に前アナが流れた。私が原作で一番好きな皆木綴くんが担当してくれたので、とっても嬉しかったのを今でも覚えている。
開場のライトが落とされて、幕が上がった。夏組のメンバーがにゃーにゃ―して、音楽が流れて、途端に舞台がバッと煌びやかになった。
その瞬間「あぁ、ここがMANKAI劇場なんだ」と思った。
あの大きなえんじ色の幕が上がってから、私は確実にMANKAIカンパニーの観客になったのだ。
先ほどから何度も出てくる”大切な友人”というのがこのnoteを書いた子なんだけど、私は彼女の書くnoteが身内の贔屓目抜きにして大好きでして。
エーステを履修する前から、彼女のエーステに関するnoteを読んで私まで幸せになっていた。
『エーステを観ているとき、わたしはMANKAIカンパニーのお客になれている…………!』
彼女のnoteに書かれているこの言葉がすごく印象的で、観劇中何度もこの言葉を思い出した。
だってその通りなのだ。観劇中の私は『エーステ』の観客というより『MANKAIカンパニー』の観客だった。
夏組単独公演では「にぼしを巡る冒険」「抜錨!スカイ海賊団」の二つの劇中劇が上演された。私は夏組だと三好一成くんが好きなので、彼が準主演として奮闘する姿に何度も感動したし、推しの綴くんも出演していたので彼が夏組のサポート役として立ち回ったり振り回されたりする姿に破顔した。
劇中劇がすごいのは、春単独のライビュでもう嫌というほど実感させられていた。
夏単独での二つの公演も楽しくて仕方がなかったんだけど、それ以上に、劇中劇が始まる前に一度幕が下りて再度注意喚起のアナウンスが流れるところ。
私は舞台の幕を一種の『区切り』だと思っていて、2.5に限らずどんな舞台でも幕が下りたり上がったりするということは、もうそこで一度大きな区切りを付けられたという印だと思っている。
だから劇中劇が始まる前にしっかりとあの幕を下ろして、開幕前と同様に注意喚起のアナウンスが流れた瞬間、確実に『エーステ』と『MANKAIカンパニーの夏組公演』で一つの区切りを付けられていたのだと感じた。
全体を通じて、私は『監督』というよりも『観客』でいる時間の方がマインド的には長かったし、劇中劇のシーンでは完全に観客だった。これ以上の幸福なんてないなと思った。
2.不明確だった全てを見せてくれる劇中劇
何度でも書くけれど、私は皆木綴くんが好きだし、彼が初主演を務める「ぜんまい仕掛けのココロ」が大好き。
綴くんは脚本家であるため全ての物語の創造者であり、彼の描く物語が劇団員の夢や後悔、希望を優しく掬い上げてくれる。
同組のメンバーに恐ろしいと称されるほどの人間観察力を持ちつつ、脚本を書くための努力も怠らない。常に貪欲に知識を付けて熱意をもって執筆をして、役者たちに新しい役という命を与えてくれる。
そんな多くの劇団員のココロに寄り添った脚本家の彼が、初めてスランプに陥る話がこの「ぜんまい仕掛けのココロ」を上演する春組単独公演第二幕である。
幼少期の思い出を共有している水野くんや、カンパニーのみんなに支えられてスランプを乗り越え、無事に自身初主演の公演で成功を収める物語だ。
嫌いなわけがない。
オタクは推しのスランプとか幼少期の思い出的なエピソードに弱いのだ(私調べ)。超好き。
春単独はライビュでしか見られていないのだけれど、本当に劇中劇が良かったんだよ~!!
このエーステ春単独公演で、更に原作の綴くんが好きになったし、綴くんを演じてくれた前川くんのことも大好きになった。前川くんの演じる綴くん、本当に好きだなぁ。
https://ameblo.jp/maekawa-yuki/entry-12580878404.html
ゲームの観劇機能を使って観る「ぜんまい仕掛けのココロ」も大好きなんだけど、エーステではゲームでは限界があった表現の幅をグッと広げてくれた。これはぜんまいに限らず全ての劇中劇に言えることなのだけれど。
例えばボイドの役はルークの師匠という立場で、原作ではそこまで大きな役目がなかったけれど、エーステでは「ボイド」と「語り部」の二役を演じてくれた(いやマジで立石くんお歌がうまい~)。
ボイドがルークに向けて「馬鹿弟子」というセリフがあるんですけど、その言い方が本当に優しくて、弟子のルークに愛情を向けているのだと分かる言い方で……。こういうセリフの言い方や表情、仕草なんかは原作では受け取ることができない要素で、私はそういう部分に惹かれた。
咲也くんが演じたコルトも素直で、師匠のルークを慕っていることが良くわかる演技だったし(そしてとても可愛かった!)、国法警備隊長アルフがSを見逃すシーンでの「非礼を、すまなかった」というシーンでは、アルフの人間らしい部分というか、情のようなものが垣間見えて素敵だったなぁ。
何よりも主演の綴くんが演じるルークと、準主演のシトロンさんが演じるS。二人のやり取りが実際に役者の演技によって、目に見える形になってより鮮明に描かれていた。
はじめは握手も上手くできなかったルークとSが、少しずつ関係を縮めていって友達になる様子が愛おしくて仕方がなかったし、ラストシーンでは二人の緊迫した演技に圧倒されてしまった。
綴くんの演じるルークがSに対して「君を壊すなんて絶対に嫌だ!」と叫んだ後に「人間の勝手で生み出されて、壊されるなんて、ひどすぎるじゃないか……」と嘆くシーン。この二つのセリフの言い方がほんとうに好きで好きで、大好きで……。
このシーンを観た時に、大好きな「ぜんまい仕掛けのココロ」が綴くん主演でよかったと改めて感じたし、そんな綴くんを演じる役者さんが前川優希くんで本当に良かったなと思った。私の大好きな綴くんを、こんなに愛情深くセリフを発する役者にしてくれてありがとう。
またSも『ルークに作られたホムンクルス』から『ルークの友達』に変化するシーンがあるのだけれど、それが古谷さん演じるシトロンさんのセリフによって明確化されていた。Sに命を与えてくれてありがとう。
もちろん原作のゲームでも楽しいけれど、映像と文字だけのそれではどうしても限界があって、受け手の想像で賄わなければいけない部分が多かった。けれどエーステで役者さんがその『キャラ』の演じる『劇中劇の登場人物』を演じてくれて、その役に命をふきこんでくれた。
こんなに嬉しいんだね。一年前の私はこんな感情を知らなかった。知ることができて本当に良かった。嬉しくて仕方がないの。
「ぜんまい仕掛けのココロ」に限らず、全ての劇中劇で役者さんたちは役に命を吹き込んでくれた。ありがとう、誰が演じるどんな役も全てが愛おしくて大好きです。冬組単独公演で上演される予定の二つの劇中劇も大好きなので楽しみだなぁ。
3.THE SHOW MUST GO ON !
新型コロナ~~お前~~!!!!!なんっっ、なんなのぉ~~!?!?!
実際にこのウイルスで亡くなられた方がいるし、いろいろな舞台が中止になるもの仕方がない。感染拡大は防がなければいけないし、何よりも役者さんの体調が心配なので延期や中止は仕方がないことだと思う。
はじめの方に書いていたように、もともとミュージカル鑑賞が好きな人間でもあるので、観ようと思っていたミュージカルもダメになって、仕方がないと思う気持ちと悔しくて悲しい気持ちが一緒くたになって複雑だったなぁ。
秋単独の大千穐楽は3月1日を予定されており、政府からの活動自粛要請がでた数日後だったのでオタクはひやひやでしたよ。実際に突然上演中止を決める舞台も多かったし、私の友達(ドルオタ)も当日現地に行ってからライブ中止が発表されてトンボ返しになったって言っていたしね。
秋単独もあと少しで大千穐楽を迎えるからといって中止になる可能性は大いにあったので、ライビュで大千穐楽を見る予定だった私もかなり不安だった。
けれど!エーステ!踏ん張ってくれたよー!!ありがとう!!
客降りをなくした演出で最後の数日間演じきってくれました。本当にありがとう!
チケットは残念ながらご用意されなかったので、私は東京凱旋公演中、自宅待機。
いつものようにツイッターで日替わり演出を検索していたら『SMGO』の文字が立ち並んでいた。素で「え!?」って声がでちゃったよ。
春夏公演も秋冬公演も行けたことがないから他の人が抱く感動の形とは違うかもしれないけれど、私は「まさかもう見られないと思っていたあの曲が今度のライビュで観られるの⁉」って感動した。
コロナで多くの舞台が上演中止になる中、上演を強行したこの判断に賛否両論あると思う。けれど私はあの時演出を変えてでも大千秋楽までぶちかましてくれて、更に『THE SHOW MUST GO ON』をパフォーマンスしてくれて本当に嬉しかった。
あの瞬間、現実と物語の境界線が殆どなくなってしまったと思った。物語の始まりの男の子、佐久間咲也くんが作中で掲げる『The Show Must Go On』というフレーズが、現実の世界でこうやって成立したことが信じられなかった。
まだまだコロナは広がる一方で、私も趣味や私生活でのこれからの行事がどうなるのか全く見当がつかず不安な気持ちはあるけれど、エーステが与えてくれた奇跡みたいな終幕の瞬間があれば何とかなるな、何とかできるな思っている。
4.とにかく楽しくて、とにかく愛おしい
生きている人間を推すという行為は楽しいことばかりじゃないというのは、ドルオタ時代に痛いほど学んだし実際に悲しいことはあったけど、それも込みにして今は楽しくて仕方がない。
エーステのおかげでA3!のことがもっと好きになったし、エーステで知った役者さんのことも好きになった。推しが増えたし、好きな演目も増えた。
それに新しい季節の訪れが好きになった。秋組公演で私は初めて金木犀の香りを知って、それを秋の香りだと認識した。
春組が好きだから、日に日に暖かくなって桜の開花が近づいていることが嬉しくて仕方がない。
こんなに素敵な作品に出会えてよかった。
好きなものの好きな人も好きな季節も増えた。
幸せな世界を作り上げてくれてありがとう。そして私に幸せな世界を教えてくれてありがとう。
季節を巡るこの作品で、日に日に成長する彼らを応援することができて幸せ。次は冬だね。次も素敵な季節になるといいな。