「人参膝枕『にんげんは、ほぼにんじん』の巻」  冒頭部分 ふりがなver.


短編小説「膝枕」とその派生作品をclubhouseで朗読する「膝枕リレー」と、日本語を勉強している人と日本人のコミュニティ「にほんごではなそう」とのコラボ企画。「膝枕リレー 体験knee部」用に、ルビを振った原稿を用意しました。
お試しで読んだ後は、ぜひ他のお話も読んでみてください!!

今井雅子いまいまさこさく人参にんじん膝枕ひざまくら『にんげんは、ほぼにんじん』のまき年少ねんしょうさんver.

休日きゅうじつあさ。スーパーの不揃ふぞろ野菜やさいコーナーで、どもが母親ははおやいた。

「おかあさん、『にんげん』って『にんじん』のこと?」

「にんげんとにんじん? どうしておなじっておもったの?」

「なまえがにている」

母「そうだね。名前なまえてるね」

「に・ん・げ・ん。に・ん・じ・ん。4つのもじのうち3つがおんなじ」

結構けっこうてるね」

「ちがうのは『げ』と『じ』だけ。どっちもてんてんがついてる」

「ほんとだ。そこもているね」

「『け』のぼうと、『し』もにてる」

てるね」

「『にんげん』は、『にんじん』のことだね」

「そうだね。『にんげん』は、ほぼ『にんじん』だね」 

「あとね、もっとすごいことに、きづいちゃった」

「もっとすごいこと?」

「『にほんじん』のなかに『にんじん』がかくれてるんだよ」

「『にほんじん』のなかに『にんじん』。ほんとだ」

「『にほんじん』は『にんじん』に『ほ』をくっつけただけだよ」

「へーえ。よくづいたね』

「まだあるよ。『にんじん』がかくれてることば。えっとね。『にんじゃずかん』」

「に・ん・じゃ・ず・か・ん。に・ん・じ・ん。ほんとだ。かくれてる」

「にんじんって、すごいよね」

「シチューやにくじゃがにしとくの、もったいないね」

「おかあさん。にんげんも、おひざがすきなのかな」

「そうねえ。すきなんじゃないかな」

「にんげんは、にんじんだもんね」

「そうだね。にんげんは、ほぼ、にんじんだもんね」

休日きゅうじつあさ。スーパーの不揃ふぞろ野菜やさいコーナーで、人参にんじん親子おやこはおしゃべりをつづける。どもがってもはははうなずき、そのたびに、どものあたましたで、ぽっちゃりしたひざちいさくれる。




今井雅子いまいまさこさく人参膝枕にんじんひざまくら『にんげんは、ほぼにんじん』のまき

休日きゅうじつあさ。スーパーの不揃ふぞろ野菜やさいコーナーで、どもが母親ははおやいた。

「おかあさん、『にんげん』と『にんじん』っててるよね」
「そうだね。名前なまえてるね」
「4文字もじちゅう3文字もじおなじじだから75%おなじだね」
「75%。結構けっこうてるね」
ちがうのは『げ』と『じ』だけど、ふたつとも濁点だくてんがついてる」
「じゃあ75%よりているね」
「80%くらいおなじだね。『け』の左側ひだりがわは『し』にてる」
「そしたら80%よりているね」
「90%くらいてるね」
「にんげんは、ほぼ、にんじんだね」
じつはね、もっとすごいことにづいちゃったんだ」
「もっとすごいこと?」
「『にほんじん』のなかに『にんじん』がかくれてる」
「『にほんじん』のなかに『にんじん』。ほんとだ」
「『にほんじん』は『にんじん』に『ほ』をくっつけただけだよ」
「じゃあ、『にほんじん』は、ほぼ『にんじん』だね』
ほかにも『にんじん』がかくれてる言葉ことばつけたよ。『にほんじかん』『にんじゃずかん』『にんじょうかみふうせん』」
「どこにもかくれているんだね、にんじんは。忍者にんじゃみたいだね」
「『人情紙風船にんじょうかみふうせん』ってむかし映画えいがだよ。『にほんのえいがじん』のなかにも『にんじん』がかくれてる」
「にんじんって、すごいんだね。シチューやにくじゃがにしとくの、もったいないね」
「おかあさん、にんげんも膝枕ひざまくらするのかな」
「するんじゃないかな」
「にんげんは、ほぼ、にんじんだもんね」
「そうだね。ほぼ、にんじんだもんね」

休日きゅうじつあさ。スーパーの不揃ふぞ野菜やさいコーナーで、人参にんじん親子おやこはおしゃべりをつづける。どもがなにってもはははうなずき、そのたびに、どものあたましたで、ぽっちゃりしたひざちいさくれる。


https://note.com/masakoimal/n/n851097b5318e


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