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手術は戦術?

「獅胆鷹目行以女手」

パッと見ても何のことだか
分かりにくいし、そもそも
普通は読めないだろう。
私もフリガナがなければ
読めなかった。

前半は、「したんようもく」
子の肝だから、
「ライオンハート」と言い換えて
もよいだろう。
そして「鷹の目」、これはよく
「鵜の目鷹の目」というから
概ね意味は取れると思われる。

後半は、
「おこなうにじょしゅをもってす」
と読む。
漢文で「レ点」を使って戻りながら
読む「訓読」の要領だ。
女性のように繊細な、優しい手つきで
行う、ということを意味している。

何の話かと言えば、外科医の心構え
ある。
少し前の『致知』に、聖マリアンナ
医科大学病院の大坪病院長が、
この言葉を座右の銘として紹介して
いたのだ。

その記事の中に、手術は戦術である、
という趣旨の言葉が出て来た。
医療に関する話の中で、戦略とか戦術と
いった言葉が出て来たことに、良い意味
での違和感を覚え、興味深く読み進めた。

その骨子を自分なりにまとめると、
患者さんにベストな結果をもたらすために、
入院から退院までの全体戦略を考え、
その中に手術という戦術を位置付ける
「マネジメント」発想が必要である

ということだ。

病院もまた、医療サービスという
「商品」を提供する事業者であり、
患者さん=お客様であって、
そのお客様が満足のいく結果を得られる
ように努めることが必要だ、という
マーケティングの原理原則がそのまま
当てはまる
ことを、大坪氏は主張して
いるのである。

確かに、手術がどんなに上手であっても、
手術の必要性を上手に説明できない医者
では、必要な手術にすらたどり着けない
かもしれない。
また、手術が成功したとしても、その
後のアフターケアで手抜きをしていたら
容体が悪化してしまうかもしれない。

どこか一つに秀でていても、別のところで
足を引っ張る何かがあれば、最終的に
「治療」「治癒」、ひいては「健康」と
いう価値提供がままならない事態も十分
起こり得るのである。

きっと、医者の世界でも、このような
マネジメントを得意とするタイプと、
「手術をやらせたら右に出る者はいない」
的な職人肌のタイプとがいるのだろう。
大規模な病院を経営していくには、
前者のタイプが組織の中で腕を振るって
いくのが望ましいはずだ。

ひるがえって、やはり「強み」というのが
キャリア構築においては重要である。
自然と自分らしさが出て来る部分。
普通にやっていても、いつのまにか
他人より上手に出来ている部分。
自分自身の「強み」を活かすとしたら、
戦略担当なのか、戦術担当なのか、
常に意識しておきたいところである。




己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。