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パルス消費

Googleが、生活者の消費行動を、従来のファネルの考え方とは違う枠組みでとらえようとしている、という話を年初に知った。

1月6日に書いたこちらの記事参照
パーチェスファネル

その後、実は半年ほど前の2019年6月に、Googleが「ショッピングに関する調査」を行っていたという情報に行き着いた。
そこで「パルス型消費行動」という現象を詳しく把握し、しかも割と大々的に公表していたようなのだ。

1万人もの人数を相手に、定量、定性、両方の側面から調査を行ったというから、相当本格的。

「24時間すべてが買い物のタイミング」

「空き時間にスマホを操作しながら、瞬間的に買いたい気持ちになり、その
瞬間に買い物を終わらせる」

というのが「パルス型消費行動」の定義。 

そして見つけたトレンドというのが、以下の3つだという。

1.人々は買う瞬間まで知らなかったブランドを買うことに躊躇がない
2.人々は店舗や、ECサイトに行く時点で、どのブランドの商品を買うか決めていない
3.人々は暇つぶしにスマホを使って偶然知った商品をその場で買うことに躊躇がない

従来のような、一定の時間をかけて買いたい気持ちを醸成させる消費行動を、「ジャーニー型消費行動」と呼び、今回の調査で捉えた「パルス型消費行動」とは区別すべきと訴えている。

パーチェスファネルは、今流行りのカスタマージャーニーと同じような意味合いなので、ほぼ「ジャーニー型消費行動」と同じ意味だと考えてよい。

認知: 商品・サービスを認知する
興味: ニーズを感じ興味をひかれる
行動: 手に取る、HPを見る等
比較: 競合商品と比較する
購買: お金を払って購買する
利用: 実際に使ってみる
愛情: 満足してファンになる

これが以前に紹介した「マインドフロー」という、佐藤義典さん主唱のパーチェスファネルである。

佐藤さんの代表的な入門編はこちら。

こういう順番で消費行動が起きるのが「ジャーニー型」で、「パルス型」とは区別すべきというが、本当にその必要があるのだろうか?
確かに、「行動」とか「購買」のレベルにまで行き着くのは一瞬かもしれない。
しかし、その一瞬で、「ジャーニー型」で想定されている各段階の行動が一気に起こっているだけの話なのではあるまいか?

うがった見方なのかもしれないが、今の時代に沿った、独自の理論を発見・提示したい、という思いが先行しているだけのような気がしてならない。

ちなみに、Googleでは、この「パルス型消費行動」を捉えるヒントとして、6つの「直感センサー」を提示している。

1.セーフティ:「より安心安全なもの」に反応
2.フォーミー:「より自分にぴったりだと思うもの」に反応
3.コストセーブ:「お得なもの」に反応
4.フォロー:「売れているもの」や「第三者が推奨するもの」に反応
5.アドベンチャー:「知らなかったもの」や「興味をそそるもの」に反応
6.パワーセーブ:「買い物の労力を減らせること」に反応
 

検索が消費を主導する時代の新たな消費行動に関する理論を主唱し、自分たちのサービスに理論的な根拠を与えようとする活動だと捉えると、合点がいく。
元々パーチェスファネルに関しては、AIDMAがメジャーだったところに、やれAIDAだとか、AISASだとか、AIDCAだとか、色々な亜種がはびこっている分野。
今さら一つ二つ亜種が増えてもどうってことはない。
消費者の行動を最も合理的に説明してくれるものを使いたい、ただそれだけである。

個人的にはやはり、佐藤さんの「マインドフロー」が最も腑に落ちる。
「パルス型消費」は、単に消費者心理がファネルを駆け抜ける時間軸が飛び抜けて速いだけ。
そんな風に整理すれば良いのではないかと思う。
とはいえ、また少し時間をおいて、Googleさまの主張を再び噛みしめてみる機会を持ってみたい。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。