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ドラッグストアと栄枯盛衰

火曜日に実施した主催セミナーで
テーマにしたのは「Place」、
よ一般的な用語に言い換えると
「チャネル」とか「流通」と呼ぶ
方が通りがよさそうだ。
マーケティングを語る際によく
引き合いに出される「4P」の
一角にして、最も地味と言っても
よい。
しかし、どんなに良い商品を作り、
お客様が支払ってもいいと考える
であろう値段を付け、広告などの
販促を企画・実行したとしても、
その商品がお客様の手元に届く
ように店頭に並べたり、配達手配
したりすることができなければ、
マーケティングは完成しない。

私が長年携わってきた日用消費財
の世界では、ドラッグストアが
ずっと右肩上がりで伸びてきた
チャネルである。
通販、特にE-Commerceのチャネル
には勝てないが、それでも怒涛の
勢いで伸びてきたのは間違いない。

何故伸ばすことができたのか。
その一端を、セミナーの際に紹介
したのだが、ちょっとばかりその
話をここでも紹介しよう。

ドラッグストアは、名前の通り
「ドラッグ」=「薬」を売るのが
主な商売である。
この「薬」というのは、規制産業
の最たるもの。
人の命に係わる商品だということで、
様々な厳格なる法規制の下で販売が
なされることとなる。

以前は薬事法と言ったが、今では
薬機法という略称に変わった。
正式名称を、
「医薬品、医療機器等の品質、
有効性及び安全性の確保等に
関する法律」
という。
この辺の話は、薬事法ドットコムの
サイトが分かりやすくて便利だ。

そんな薬には、「薬価」という
国が定める価格が存在し、様々な
問題を抱えてはいるものの、その
価格を軸にして最終的に消費者に
渡る価格も決まっていく。
それもあって、他の商品に比べ、
利幅を大きく取りやすい。

その薬から取れる利幅をテコにして、
化粧品とか日用品の価格を安く売る
ことにより、集客を図ったのが
今成長を遂げているドラッグストア
チェーンである。
マツモトキヨシを筆頭に、ツルハ、
ウェルシア、スギ、サンドラッグ、
コスモス、クリエイト、等々、
どこも薬の販売により利益を確保
しつつ、日用品や非生鮮の食品、
場合によっては生鮮食料品にまで
手を伸ばして売上高を獲りに行って
いる。

規制があることで、市場には必ず
どこかに歪みが生まれる。
その歪みにいち早く気付き、それを
商機に結び付けることができれば、
大きく他に差を付けることが可能
となるわけだ。
ドラッグストアをチェーン化して
いった先達は、その点で優れた
嗅覚を発揮したと言える。

そんなドラッグストアも、利益が
出ているうちはどんどん後発が
真似をしていくので、競争が日に
日に激しくなるのが必然。
昨今のトレンドは「合従連衡」で
ある。
大手チェーン同士がくっ付いて、
巨大チェーンが誕生する。
メガバンクのように3つに絞られる
ような寡占にはならないものの、
売上高上位はどんどん規模が大きく
膨らんできている。

一時は4位まで落ちていたマツキヨ
も、ココカラファインとの統合が
来年の10月に実現する予定で、
久々に1位に戻ってくる見通しだ。

どんなに伸びている業界でも、
いつかはその伸びが止まる。
栄枯盛衰。
今はE-Commerceが破竹の勢いで
あるが、いつかそれも止まるはず。
その次に来るものは何か。
既にどこかにその萌芽があり、
それを見つけることができる者が
大きな財を成すのであろう。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。