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コミュニケーションに一工夫加えてみる

リアルの本屋さんと、
Amazonなどのネット書店とで、
リアルに軍配が上がる要素というのが
年々少なくなってきているのは間違い
のないところだろう。
未だリアルが勝っているなと思う要素
の一つが、世の中で何が流行っている
のか、どんなジャンルの本が読まれて
いるのかが分かりやすいということ。
ネットだと、どうしても自分の購買の
傾向が反映される形で目に飛び込んで
くるため、自分の趣味嗜好次第では、
世の中のトレンドが全く読めないと
いうことになる。

リアル本屋さんで、いつでも多くの
新刊本があふれているコーナーの代表
格の一つが、「コミュニケーション」
だと言うのに異論はないだろう。
やはり、悩んでいる人が多いのだ。
解決策を求めているのだ。
人間の悩みのほとんどは、この
コミュニケーションの問題に帰着する
のではないかとさえ思える。

一口にコミュニケーションと言っても、
色々な切り口があり、自分自身の
悩みの質、種類に応じて、ひもとく
べき本も変わってくるだろう。

最近の私自身の関心は、
セミナー講師として、いかに人に
分かりやすく物事を伝えられるか、
プロとしての技量をより磨きたい
というのが一つ。
もう一つは、中間管理職あるいは
ファシリテーターとして、利害の
異なる者同士の話をしっかり受け
止めつつ、自分も含む全員が納得の
いく方向へと導いていける技量を
上げたいということだ。

これらいずれにも効きそうだが、
特に前者の方に役立ちそうな本が、
今年読み終えた最初の一冊。

備忘録的な形で恐縮だが、
特に重要、あるいは自分がすぐに活用
できそう、と思った箇所をご紹介する。

まず、声にも「表情」があるということを
意識すること。
いわゆる「声色」とか「トーン」と呼んで
いるものだと思うが、「声の表情」という
呼び方をするだけで、声に人格が与えられ、
それだけ声を尊重しなければならない気に
なったことが興味深い発見だった。

著者の藤田さんは、普通の言葉同士を、
意外性のある組み合わせで、興味深い
コンセプトにするのが上手い。
他に、「笑顔の余韻」を持とうという話や、
「左目アイコンタクト」というテクニック、
「キビキビ」動くことを漢字で「気微貴美」
と表現するなど、百戦錬磨の研修講師である
ことがうかがい知れるというもの。

ひとつの章を割いて詳しく解説している
”相手のYesを引き出す「納得5ステップ」”
においては、「とく」という言葉を使い、

ステップ1 解く 相手の警戒心を解く
ステップ2 得々 相手にメリットを与える
ステップ3 徳々 相手の成長欲、貢献欲を刺激する
ステップ4 説く 相手にわかる言葉で具体的に説明する
ステップ5 溶く 相手との共通ゴールを確認する

というように、コミュニケーションを
的確に分解し、まず相手との信頼関係を
築き、順を追って着実に関係者全員が
ハッピーになれるように、ステップを
解説している。

ステップ1の「警戒心を解く」という
のは、いわゆる「ラポール」の話だし、
ステップ2でいう「メリット」という
のは、マーケティングで言うところの
「機能的ベネフィット」に相当し、
ステップ3の「成長欲、貢献欲」という
のは「情緒的ベネフィット」に相当する
なぁ、などと脳内変換しながら読み進め
たが、概して初心者にも分かりやすい
筆致であったと感じる。

著者自身が、鼻持ちならない性格だった
ところ、入院療養をきっかけに変化変容
したという経験をお持ちだからこそ、
語り口に説得力がある。
コミュニケーションにお悩みの人で、
ピンとくるものがあったら是非読んで
みていただければと思う。

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