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過去と異なる現在 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ

#ポルトガル語  ワンポイントレッスン
#月刊ピンドラーマ  2022年1月号 HPはこちら
#リリアン・トミヤマ  文

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 サンパウロはピザの伝統があります。それはイタリアからの移民によるものです。最初のピザハウスは1910年にブラス地区(Brás)にできたサンタ・ジェノヴェーヴァ(Santa Genoveva)という店です。オーナーはカルミーノ・コルヴィーノ(Carmino Corvino)というイタリア人で、1897年にサンパウロにやって来ました。そもそも彼は大変奇異な理由によってブラジルに移民しました。J.A. ディアス・ロペス(J.A. Dias Lopes)という記者によると、カルミーノは背が高く、恰幅がよく、テノール歌手のような低い声で、魅力的な人物でした。ブラジルへは、関係を持った既婚女性の夫に殺すぞと脅迫されて逃げて来たのでした。移民船の上で後に妻となるアヌンシアータ(Anunciata)と知り合いました。

 はじめはカットしたピザを売り歩いていて、ピザが冷めないように火のついた炭の入った円筒缶の中に入れていました。お金を貯めてピザハウスを開店し、ピザハウスは1940年に完全に閉店するまでサンパウロのイタリア移民の出会いの場所となりました。

 実際このピザハウスがなくなってしまったのは残念なことです。ところで、過去にあったものが現在はなくなってしまった、というのをポルトガル語でどう言うでしょうか?

 このような形式を用います。

 Não + <動詞の現在形> + mais

 例文を見ていきましょう。

Ele não fuma mais.
(彼はもう煙草を吸いません)
※過去には吸っていたが現在は吸わない。

Eu não como mais carne. Eu sou vegetariano agora.
(私はもう肉を食べません。今はベジタリアンです)
※過去には肉を食べていたが現在は食べない。

​Eu não trabalho mais com Maria.
(私はもうマリアとは仕事をしていません)
※過去にはマリアと働いていたが現在はマリアと働いていない。

​Eles não moram mais aqui.
(彼らはもうここには住んでいません)
※以前は住んでいたが今現在は住んでいない。

​ 今月もお読みいただきありがとうございました。ピザをサンパウロへもたらしたカルミーノ・コルヴィーノが魅力的だったということで、今月のしめくくりに、魅力的な女性についての音楽をご紹介したいと思います。男女同権ですからね☺

「Mentirosa(嘘つき女)」はオルランド・シルヴァ(Orlando Silva)が歌った曲で、1941年に出ました。インターネットで見つけることが可能ですが、ジャーナリストのジョアキン・フェレイラ・ドス・サントス(Joaquim Ferreira dos Santos)が説明するように、この曲のレコーディングはたったひとつの曲の中に才能が凝縮されたものだということです。歌手のオルランド・シルヴァは歌唱テクニックの最高潮にあり、アレンジとフルートの即興演奏は大家ピシンギーニャ(Pixinguinha)、超知的な歌詞はマリオ・ラーゴ(Mário Lago)、大胆な和音を使ったメロディーはクストディオ・メルキータ(Custódio Mesquita)。聴く価値ありです!

 今回もありがとうございました。

 2022年がみなさんにとって素晴らしい年になりますように!


リリアン・トミヤマ(LILIAN TOMYAMA)
USP(サンパウロ大学)卒、ポルトガル語学・言語学専攻、ナンシー大学(仏)卒、フランス語学・文学の専門家でもある。
lilidomi@uol.com.br
www.pogotogo.blogspot.com
www.facebook.com/liliansensei


月刊ピンドラーマ2022年1月号
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