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CO2削減はもうムリゲー!? こうなったらネガティブ・エミッションだ! という考えについて

地球温暖化が世界的な大問題となり、二酸化炭素の排出削減がしきりに叫ばれているわりには対策は進んでいません。

産業革命以降に人類が大気中に放出した全二酸化炭素のうち、実に50%が1990年以降に排出されたものだ。
"A staggering 50% of all the carbon dioxide humankind has put into the atmosphere since the Industrial Revolution was added after 1990."  
(エコノミスト 2019年12月7日号 "Climate change: Reverse gear"より。以下引用同じ)
2015年に採択されたパリ協定では、気温上昇を2℃までにとどめることを参加国に義務づけている。
"The Paris agreement of 2015 commits its signatories to limiting the rise to 2℃."
世界は今、産業革命以前の気候よりも1℃暖かい。
"The world is now 1℃ hotter than it was before the Industrial Revolution."

ということは、「2℃までにとどめる」という目標の半分は達成できたと考えていいのかな? いやしかし1℃上昇でも北極の氷は解け、各地で巨大台風やハリケーンが猛威を振るい、大変なことになっていますよね。ちなみに北極だけをみると、気温は3℃上昇したそうです。

そこで排出削減が無理なら、垂れ流した二酸化炭素を空気中から除去したらどうだろう? ということで、「ネガティブ・エミッション」ということが近年言われるようになってきました。

世界でいまだに排出削減がうまくいっていないことから、ネガティブ・エミッション(大気中から二酸化炭素を除去すること)への移行が注目されているが、それはまだ時期尚早というものだろう。
"Considering that the world has yet to get a handle on cutting emissions, focusing on moving to negative emissions - the removal of carbon dioxide from the atmosphere - might seem premature."

ネガティブ・エミッションの技術は、まだ全然できてもいないし実用化には程遠いものです。それなのに各国政府は、このネガティブ・エミッションを前提とした削減計画を立てて、国民の目をくらます傾向にあるようです。そんなことだから、グレタ・トゥーンベリさんに怒られるんですねえ。

大気中から何百億トンもの二酸化炭素を除去する機械や施設を作ろうとすれば、ものすごいお金と時間がかかるのに決まっています。第一それを作るのに大量の二酸化炭素が排出されるだろ! と思うのは私だけ? でも為政者たちはすでにそれを当て込んで、気候変動なんとかなるよーなんて言っているのだとしたら、人類の未来は相当危なっかしいですよね。

ネガティブ・エミッションのもっとも容易な道のひとつは、植物を育てることだ。
"One of the easiest routes to negative emissions is to grow plants."

ご存じ植物は二酸化炭素を吸収して酸素を輩出しますから、天然のネガティブ・エミッションですよね。世界中の地価の安い場所に、どんどん植林や造林をしたらどうでしょう。排出量に追いつこうと思ったら、大陸レベルの面積の土地が必要になるという話もありますが、少しでも緑を増やすべきですよね。

特に、二酸化炭素を生成せざるを得ないセメントなどの産業用に炭素捕捉システムを開発して利用するために、調査や奨励活動を行うことが必要だ。
"In particular, research and incentives are needed to develop and deploy carbon capture systems for industries, such as cement, that cannnot help but puroduce carbon dioxide."

セメントを製造する過程では非常に多くの二酸化炭素が排出されるとのことで、最近はゼロエミッション・セメントの開発に取り組んでいる企業もあるようです。が、セメントより木や紙などの植物資源をもっと利用できないものかな、とも思います。コンクリートのビルが立ち並んだ大都会の景色って、そんなに美しいでしょうか? 木造建築は安全面で問題があるのかもしれませんが、どうにかクリアできればなあ、と思います。ゼロ・エミッションよりも木造建築を安全にするような技術を開発したほうがよくね???

とまあ、なんとも眉唾なネガティブ・エミッションという言葉。そのような機械や施設はまだ作られてもいないし、実用可能かどうかもわからない、ということを念頭に置いておきましょう。地球温暖化問題は、ネガティブ・エミッションがあるから大丈夫! などという政治家の口車にうまく乗せられないようにしましょうね。しかしこの調子では、どうなるのかな人類の未来。



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