ヨガやピラティスの先生になる人たちへ④後編

前回は「"グループレッスンの質=個人セッションの質"ということ」と、そうは言っても「グループレッスンで経験したヨガやピラティスの良さを伝えるのは難しいと思いこんでしまっている人が多いこと」について書きました。

ヨガやピラティス、何かのメソッド・テクニックを伝えることをシンプルにしていくと、「経験したこと(学んだこと)を、まだ経験していない(知らない、経験している途中)の人に伝える」ということになります。更にシンプルにすると「何かを伝える」ということです。

ヨガやピラティスの世界から離れて、「何かを伝える」ことに関するスペシャリストを思い浮かべてみてください。例えば、アメリカのオバマ元大統領はスピーチに秀でていると言われていました。年齢や性別はもちろん、人種・考え方・収入などあらゆる違う人たちの心を、彼は動かしました。

田中さん、佐藤さん、鈴木さん...と一人一人、個人の単位で見ていくと、それぞれは大きく違っているので、何かを伝えることは難しくなります。しかし、個人個人ではなく、全体・全体の最適を見つけることができると、それは可能になってきます。アメリカ全体の最適な言葉として、オバマ元大統領は「Yes, we can.」と表現したのだと思います。

オバマ元大統領が見つけた全体に対しての最適の言葉のような、レッスンの参加者が5人なら5人の最適のレッスン、50人なら50人の最適なレッスンが必ずあるのです。

呼吸のタイミング一つとってもそうです。肺活量の多そうな若い男性と、そうではない高齢な女性が一緒のレッスンに参加している。そんな状況でも、最適なタイミングは存在します。どういった声のトーンで、どういう言葉の選択で、その最適を見出していくのか。それが、インストラクターとしての技量です。もちろん、最初は難しいでしょう。でも日々、惰性でレッスンをするのではなく、毎回好奇心を持って初めてレッスンをするように努力を続けてください。必ず、上手になっていきます。

どういうエクササイズを選択するかなども、もちろん同じです。皆さんがレストランのシェフで、にんじんが嫌いな子供がお客様の中にいたとします。お任せのコース料理を出していく中で、皆さんはにんじんを出すか出さないかの判断が問われます。にんじんを出さずに、どうクオリティを落とすことなく満足してもらうか等、きっとプロフェッショナルとして考えるのではないでしょうか。

脊柱の伸展動作(反る動き)がお医者さまから禁止されている人がレッスンに参加した場合、あるいは頭を持ち上げたときに過剰に首や肩を強張らせる傾向の強い参加者がいた場合、あるいは...。色々なケースが、これからのレッスンできっとあると思います。そういった時に、皆さんが一流のシェフになれるのかが問われます。うまくいかなくても最初は当たり前です。終わった後に、コーヒーでも飲みながらきちんと振り返って、より良くなるような努力をすればいいのです。

実際のところ、1対1で人と人が向き合うというのも緊張をともなう場面です。相手が1人でも100人でも、どちらがどうということは実はないのではないでしょうか。どちらも大変です。振り付けを伝えるだけであれば、Youtubeで十分です。感覚を提供することがインストラクターのもっとも重要なお仕事です。「どうすれば、うまく伝えられるだろう」と前向きに、目の前の人が何人であれ、試行錯誤してみてください。


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ヨガやピラティスの先生になる人たちへ①
https://note.mu/pilates/n/na9b1e27d9196
ヨガやピラティスの先生になる人たちへ②
https://note.mu/pilates/n/n20d6c3705f3e
ヨガやピラティスの先生になる人たちへ③
https://note.mu/pilates/n/n1f7afe93be89
ヨガやピラティスの先生になる人たちへ④前編
https://note.mu/pilates/n/n63228f717de3


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