見出し画像

ふと思ったこと

急いでいるなら

先日、空港に着陸した飛行機が待機する形になり、機内で数十分待たされるという場面に出合った(出遇った)。次の予定まで余裕もあったので、僕は本を読んで時間を潰していた。ようやく降りられるようになった後、搭乗口で「JALを信用して…、急いでいるのに…」とCAさんに怒っている人がいた。ごく普通のビジネスマンといった印象。特別、柄の悪そうな印象もなかった。怒っているような、スネて甘えているような、そんな彼だった。

クレームを言い続ける彼を追い越して、僕は出口に向かう。荷物を抱えて、彼が走って、僕を追い抜いた。JALのミスなのか、管制塔側のミスなのか。それもよくわからないし、クレームを言っても落とし所がわからない。「飛行機代を無料にしろ」だったらヤクザだし、「JALのロゴ入りグッズを何かよこせ」だったら子供じみているし。兎も角、クレームを言えば言うほど、彼はあとで急がなければならなくなる訳なのだが。

カラオケ

久しぶりにカラオケに行った。10年は経っていないけれど、5年以上ぶりなのは間違いない。自分が気持ちよく歌えて、一緒にいる人も楽しめる曲を歌う。目の前の若者はそんな曲知らないだろう、という紅白でも聴かないだろう演歌を歌う年寄りは少なくない。若い頃は歌いたい歌を歌いたいのはわかるけれど(かくいう私も例外ではなく)、大人になるにつれて、人は他人を思いやり、楽しませたいと思うようになり、ジャイアンのど自慢ショーから脱皮して、エンターテイナーになっていく。そして、年老いて子供返りして、誰も知らない演歌を歌って死んでいく。タロットカードも愚者で始まり、愚者で終わる。

考えてみれば、カラオケも深い。山口百恵だったり、アンルイス歌ってた子がいて、世代じゃないはずなのに、やるなあと感心した。そういう子って、インストラクターとして実力がつけば必ず人気が出る。

カレーと蕎麦

その分野で最高のものに出合おうと思ったら、より多くの金銭が必要になる。家電製品は基本、そういう分野だろう。ステーキや寿司も、それに近い。割烹やフレンチだと一人10,000円で、数万円する料亭やレストランより遥かに美味しい料理を出す店主も実際にいるけれど、ステーキや江戸前寿司は素材が料理の決定的な要因になるからか、美味しいものは高額なのが当たり前になる。

対して、カレーや蕎麦はまったく違う世界観で成り立っている。3000円のカレーや蕎麦と聞くと期待する人もいるかもしれないが、絶対に美味しくないと断言できる。「高い=美味しい」というマッチョな価値観ではない世界。自分のセンスを羅針盤にして探求すれば、最高のカレー、最高の蕎麦にたどり着くことができる。蕎麦は蕎麦切りmasaを超える蕎麦はないだろうし、カレーはコチンニヴァースを超えるカレーもないだろう。そう考えれば、僕の人生は幸運に満ちている。自己完結の世界だけれど、「これが至極の蕎麦だ、カレーだ」と思えるものにたどり着ける人がどれだけいるだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?