トラウマからの解放

私たちは生きていく中で、深く心が傷つく経験をすることがあります。相手に言い返すことができず、それをグッとお腹の中で溜め込み、我慢したことがあるかもしれません。そういった経験によって、心理的トラウマがお腹の硬直という形で身体に残存していくことがあります。

あるいは、満員電車などで不意に後ろから強く誰かに強く押されたことがあるかもしれません。または急いでいて、つまづいて膝を強打したことがあるかもしれません。それらのよくありがちな経験も、身体的トラウマとして、身体に残存することもあります。

すべてが、残存してトラウマ化していく訳ではありません。生命の逞しさやしなやかさによって、これらの経験は衝撃を全体で受け止め、分散させ、そして内側から外側に放出されていくと、それらは消え去ります。自然な仕組みによる解放、リリースが起こります。ただ、トラウマ化してしまうと、後々の人生に強く影響を与え続けることになります。

「痛い!」という経験によって、私たちの感覚はパソコンの電源を落とすように「シャットダウン」させます。感覚を閉ざして、痛みの情報を受け取らなくなります。そして、身体は過去の情報のままフリーズします。相手の言葉を言い返さずにグッとお腹を硬めたある人は、その相手の名前も存在も出来事自体も忘れ去っています。でも、身体は更新されることなく、過去の情報を記憶したまま止まっている、というそういったことが起こっているのです。

過去の情報のままフリーズしていること、それがトラウマ化しているとも言えます。身体が過去の経験を記憶している、固着化しているとも言えます。そこに現在の情報をインストールする、脳に届けることがセラピーです。脳に「今現在、安全であること」であったり、健全性・癒しの経験を"アウェアネスタッチ"によって伝えるのです。氷を溶かすようにトラウマを溶かし、そして、情報を書き換える(ボディマップの書き換え、リマッピング)のです。

身体を介して(使って)、身体とこころを分け隔てすることなくアプローチすることがボディワークです。それは脳に対しての神経系のアプローチとも言えます。自分の身体という存在が、乗り物や道具ではなく、自分そのものであることがセッションによって自然と感じられることが、ある人にとっては人生における決定的な経験と成り得るのです。少なくとも、私はそういう経験をして、現在に至っています。

◇ボディワーク入門WS
「アウェアネスタッチを知る」

3月1日10時30分開始 受講料30,000円

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