マルクス・ガブリエル

ガブリエルは、メイヤスーのような、物から成る偶然的秩序から
意味を排除する立場に対抗しつつ、
ハーマンのように、 対象を主役にするのではなく、
主体と実在の関係を再考する形で、 実在論を復権しようとする

そのうえで、ガブリエルは19世紀ドイツの哲学者シェリングの後期の思索を重視している
シェリングは、思考以前の存在であり、
偶然性と必然性の境界線がないカオスから、
偶然性、必然性、思考、論理、真理が立ち上がってくる過程としての
「神話」の解釈に取り組んでいる

ガブリエルは、私たちが世界を把握する基礎となる
理性の空間を切り開く「構成的神話」
と、
共同体が自己のアイデンティティを確立するために利用する
「統制的神話」を区別し、前者こそシェリングの仕事の成果だとする

ガブリエルの実在論には二つの柱がある
「意味の場」
②意味を創り出す主体を復権する
 「新実存主義」

ガブリエルは、対象が存在するかどうかは、
それがどういう意味の場に現れるかに依拠すると考える

ガブリエルの定義
意味…対象の現れ方
存在すること…何らかの意味の場に現れること
「世界」…意味の場が現れてくる意味の場のこと
     言い換えると、メタ・ 意味の場

「世界」は、意味の場を支えているもので、
自己自身は意味の場に現れることができない。
そのため、意味を持つことができないし、存在することができない。
よって、「世界は存在しない」というテーゼが成立する

世界が存在しない以上、単一の意味の源泉は存在せず、
そのため、絶対的となる唯一の意味や価値も存在しない

また、ガブリエルは、 脳機能を中心とした意識の働きに 焦点を当てた 「心」 と、
歴史的文化的に形成されてきた 「精神」 を区別する

この「精神」に焦点を当てて、人間の行為を明らかにしようとするのが、「新実存主義」

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