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自分原稿発掘アーカイブ vol.01

過去に担当した様々な原稿依頼の仕事から、今の視点で読み返して興味深いモノをピックアップ。

ナビの落とし穴(2018年)

若い頃、よく彼女とドライブに出かけていました。主に夜。 

当時普及し始めた、ナビゲーションシステムという”オート帰巣本能”を手に入れた自分達は、夜な夜な気ままに車を走らせて楽しんでいました。知りもしない高速出口をわざと降り、曲がりたい道をテキトーに曲がり、ナビに海の端を見つければ興味本位で近づいて行き、結果、闇の海が放つ広大な威圧感に度肝を抜かれ、ちょっとシュンとしてみたりしていました。ヒマでしたので。 

この行き当たりばったりドライブ航法がもたらす効果は時に絶大で、田舎にたたずむ奇異な巨大建築物が目の前に突然出現したり、もし未知との遭遇を日本で撮るなら踏切のシー ンはココ!みたいな場所を発見したり、『鉄鋼団地』なる激クールな地名表示板に巡り会えたりしました。

しかしながらあるときは、ナビ上で平地だと思って行ってみたら実は山越え(しかも真っ暗)だったり、明らかになんかヤバい雰囲気の建物(金網付き)の一カ所だけ明かりが灯っていてなんかゾッとしたり、単純にガソリンスタンドが先かエンプティが先かみたいなギャンブルな瞬間もあったりして、そういうときは大体彼女との雰囲気が悪くなったりしたモノです。まあテキトーにやってるのでそういう時もありますわ。無目的ドライブの際はご注意を。 

しかし、これらのある種の”無茶”は、ナビ(帰巣機能)という保険の元に成立しており、 実際運転していた当時のオイラは「地図帳がホントに要らなくなった!」という事実に衝撃を受けたモノです。 そのテクノロジーのお陰で自分の行動範囲が以前と比べて数百キロ単位で一気に増加しました。道覚えなくていいんですからどこまでも行けるんですよ。今や普通の事ですが。 

そんなドライブも、この先の未来は自動運転が代わりをしてくれる事になるでしょう。 そうなっていくとすれば、もう今のような車の形状じゃなくても良くなってくる気がします。もうちょっと部屋っぽくとかならないですかね?動く応接室、向かい合わせで六人掛けソファーセットの感じといった風に。楽しそうですわ。 

しかしそうなると、果たして上記の、テキトーに走ってたどり着いた場所に未来のシステムでたどり着けるのか?という新たな疑問も湧いてきます。理由&目的がないとコンピューターが反応&動作しないといいますか。

目的がない行動には確かに意味はないかもしれませんが、新たな発見を偶然もたらしてくれる事もあると考えます。

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