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天下一品のあっさり

天下一品はこってりがいちばん美味しい。

初めて天下一品に行った高校生のときからそう思っていた。高校帰りに友だちと行く天一。他のラーメンとはまったくちがうその味は一週間に2回食べたら「もう半年食べなくていいや…」と言っちゃうが、再来週には行ってしまう魔力があった。

大学生になり、バイト先でわちゃわちゃ楽しく話していた。ラーメンの話で「天下一品はこってりしか頼まんやろー!あっさりとか邪道よな!」と話しているとボスが「あら、わたしあっさり好きよ」と参加してきたので、みんな「…ですよね〜!!」と返したものだ(この八方美人!)

ノリだけで言った「ですよね〜!」だったが、その日から僕の中で(あっさりも食べてみたら美味しいのではないか?)という問いが生まれた。その答えを知るためには一度食べてみるしかないのだ!

そこからは長きに渡る葛藤の始まりだった。友だちと天下一品に行ってみるが、みんな当たり前のようにこってりを頼む。こってり下さいとも言わない。当然のこってりだ!僕は2秒くらい(あっさり頼んでみようかな…)と思うが、こってりの美味しさを知っているのだ。そこを外すことなんてできない!…こってりください!と頼む日々だった。

いつしかあっさりというメニューも忘れたかのように悩まない時期もやってきた。そう、天下一品はこってりラーメンの店なのだ。

再び僕にあっさりの存在を再認識させてくれたのはSNSの存在だ。

え?あっさりスープ、美味しそう…あっさりユーザーの声が僕に刺さる。そもそもこってりというのは王道中の王道だ。ひねくれASIAN BOYの僕が王道を行ってどうするのだ?あっさりユーザーって何だ?

再び僕は悩んだ。一人でお店に行くことも増えたのだが、まずメニューを見て悩む。

(今日こそはあっさり、あっさりを頼むぞ…)


店員さん「ご注文お決まりですかー?」


僕「…こってりください」

(ダメだった…またあっさりを頼めなかった。でも、次こそはあっさり頼むぞ…こってりうま!)

そうしてあっさりにチャレンジする機会を常に狙っている僕はまた天下一品に行った。今日!

店員さん「ご注文お決まりになったら呼んでくださいねー」


僕「いや今頼みます…あっさり下さい…」

頼めた!!

長かった、バイトのボスの発言から20年は経ってしまった。ついに今日あっさりを食べるのだ。


『食べてみたら美味いやん!と言われるあっさり』『王道ではない、裏メニューのような存在であるあっさり』その時は来たのだ。


このnoteはお店から帰宅し書いている。

念願のあっさりを食べた僕から言えること。



天下一品はこってりがいちばん美味しい。

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