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セルフロックダウン3週目

最近は日に日に平穏な暮らしになってきている。早起きして息子の自習に付き合い、午後は映像系制作物に精を出し、夜は七盤仲間たちとオンラインで対話や対局。規則正しい生活で自律神経にとても良い。楽しみがないから自炊も工夫して結果QOLが上がっている。

これが、束の間の平和なことは自覚している。今週よく眠れているのは、なんといってもようやく緊急事態宣言が出て(日本式の、緩い)ロックダウンが始まったからだ。少しずつだが補償などの話も現実になってきた。ずっと原因不明の悪寒がしてて困っていたところに、数値としてわかりやすく熱が出て、今は先のことは何も考えず寝よう、という風邪の初期の「これで大手を振って休みます」的な安堵の瞬間に似ている。深く考えずに自粛生活を謳歌できるのも最初だけだ。今だけよく眠ろうと思う。

あと1週間もしたら、本当に効果は出てるのか、解除はどうするのか、また現実が迫ってきて相当に悩ましくなる。これ、最近ずっと考えてるけど難しい。今でこそ足並み揃ってないのに、どうなっていくんだろう。補償の話も、自粛が短期であること前提に協議されてて真面目に考えだすと途方に暮れる。

世の中は上が指示しないと動けない人が殆どだということを今回改めて知った。5割以上、ある年代では8割程度までが無症状というデータがあるのに、対局の朝に発熱の有無で対局実行を判断した将棋界。ナンセンスだとは思わなかったんだろうか…。私は推しが窓を開け放ったままの対局室にいる姿を見て堪らない気持ちになった。ファンはこんなこと望んで無いと思う。ある棋士に聞いたところ、「僕らが声を上げても何とかなることじゃない」という。個人事業主の棋士ですらこれだから世の中の常識を変えるのは難しい。

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今週は買い物も全くしないで済んだが、教科書を受け取るという一大イベントがあった。これが唯一の他人との接触だったのだから恵まれてる境遇だと思う。危険に晒されながら働く人がたくさんいるのに。でもだからこそ、なんで教員まで危険に晒されてしまうのか。できれば守ってあげて欲しかったと思った。案の定、江東区は決行した入学式前後に教員間で感染が広がった。教科書配布に制服着用義務は意味がわからなかった。この調子ではこの先の学校再開に向けて先が思いやられる。長年コスト対効果をほとんどなさないベルマーク活動が生き残っていた学校で、これまでの常識を超えて新しい方法を探れるのだろうか。無理ゲーにも思えるけどいい機会だから変わってほしい。ハンコ文化も無くなるぐらい社会が一旦ダメージ受けてしまえ、とすら思う。

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今週はパン作りも再開した。長年やっていたからか、手の中の小麦粉の感触で今どういう工程なのか、すぐに思い出すことができた。冷ややかに見てた息子も、食べた時に「これ前にやってたやつだ」と何か思い出した様子だった。人間は五感にへの刺激が必要なんだと実感した。触覚と味覚はいつまでも記憶に残るのだなと。そして再びそれに出会えた時に安心できる。

酵母の匂いも強烈なノスタルジィがあった。単調な毎日で、酵母の匂いに包まれるだけで何かストレスが去ったような気がした。料理ってそういう効果があって、野菜を触ったりしても気が晴れる時がある。covid-19で滅入ってる人にはパン作りオススメかも。作るのは1時間以上、食べるのは一瞬、だけどその日はいつまでも体の周りにこだま酵母の匂いが染み付いていた。わたしは酵母の匂いに包まれながら安心して眠れた。

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