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50代転職日記 #11

新しい職場から「給与計算で人手が足りないので入社日を早めていただくことは出来ませんか?」とメールで連絡があった。
今の会社は有給休暇の買い取り制度が無いので予定通りの入社日でとお願いしたら、パートで副業という形はいかがでしょうかと言われ、メンバーとの顔合わせも兼ねて少しだけ働くことにした。
初めは時給1000円でと言われて、手伝い程度だからいいかと了承していたら、「すみません。他のパートさんと同じ条件を出してしまって」と正社員の月給を時間で割った金額になった。
出社初日、40名程度のオフィス勤務の社員の前で軽く挨拶をして自席につくと、愕然とした。
貸与されたPCは正社員になっても引き続き使うものなのにパスワードがかかっていない。グループウェアが無いのは百歩譲って良しとしても、メールソフトがthunderbirdで受信サーバ設定がPOP3方式。これだとPCのトラブルに備えて自分でバックアップとらなきゃならないのにその案内すらない。縄文時代かよ。しかも毎朝1時間くらいは通信速度が低下してパケットがロストしてインターネットが繋がらず仕事にならない。うーん酷すぎる。現職でこんなことになったらインフラ担当者は打ち首獄門だな。だれもこの状況に文句を言わないのも怖い。
「事務所内を案内します」と言われて社内のルームツアーに回った。倉庫に案内されると、パートの女性たちが堆く積まれたダンボールから大量の請求明細書を分別している。電子帳簿保存法はどうした?紙を整理するだけの人が2名もいる。机に目をやると使い古しのビニールや輪ゴムが山のように積まれている。「うちは裏紙も輪ゴムもビニールも捨てないルール」なのだそうだ。ひぃぃぃ。その横の壊れたキャビネットに無造作に履歴書の綴りが置いてある。パートさんの分かしら?と思ったら正社員のもの。ひぇぇぇ。私の履歴書も此処に綴られるのか。嫌だ!
あまりにリテラシーが低くて眩暈がした。もう辞めたい、という気持ちでしょんぼりしてたら社長に呼ばれてひとしきり話しをした後、「これから前の職場と何かにつけて比較してしまうと思うが、頑張ってやっていってください」といわれた。
うーん、ちょっとどころか体感30年くらい遅れているのだが。新卒で入った会社よりも遅れているとはどういうことやねん。
失意のまま家路につき、思わず「失敗したかな」と天井を見つめ、そのまま寝落ちした。


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