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サブスクDJとフィジカルDJ

先日、とある2名の音楽愛好家と対談した。今年5月に開催した自主企画ライブイベント「音たどる遊覧」にて、フロアDJを担当したアイハラさんアサミくんだ。共通のDJイベントを開催するなど、密に活動する場面も見られるこの2人。音楽を愛する気持ちはお互いに強くとも、実は愛用する音楽媒体は真逆だ。アイハラさんはサブスク派。DJ活動として必要なものはフィジカルとして手に置くものの、多様な音楽にアンテナを伸ばしやすい面などに魅力を感じたサブスクユーザーだ。一方でアサミくんはフィジカル派。ここまでの音楽好きとしては珍しく有料サブスクは未使用、全ての音楽のインプットをフィジカル購入から行う。そんな2人とこれからのサブスクとフィジカルの関わり方について話してきた。

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世界観に潜るフィジカル、価値観を変えるサブスク

日々、レコ屋でフィジカル作品を買い漁るアサミくんは「フィジカル作品にはアーティストのバックグラウンドや世界観のようなものが、アートワークや仕立て方に表現されている」と語る。また、カセットやレコードなどのフィジカル作品は持ち運びが困難な分、家でゆっくりと時間を取って聴く。それは普段の移動時などに音楽を聴く姿勢とは違い、その世界観を自分自身に纏う感覚だとも語ってくれた。音楽を流しながら何かをするのではなく、音楽のためにあえて時間を取り、作品を手に取ってその世界にダイブするのだと言う。

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一方、アイハラさんはサブスクを愛好。世界中の音楽が手元にあり、いつでも好きな時に聴ける。それは長らく待ち望んだ世界だと語る。音楽を取り入れる手段が金銭的に限界もあるフィジカル購入のみであったのに対し、現実的に支払える料金の中で今まで手の届かなかった音楽に手が届く。また、音楽を聴くまでの手間もなくなり、純粋な“聴く”という行為に多くの時間を費やすことができる。これは幸せなことであると語ってくれた。

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また、サブスクが浸透した後の世界では、リスナーの価値観も変化する。膨大な音楽コンテンツ量を手にしてしまい、音楽を聴ききることができなくなった人々は、自身の生活を彩る音楽を求めるようになる。つまり、音楽コンテンツに込められたよりエモーショナルな部分、感情面へ価値を感じるようになるのではないかと語った。(詳細は下記の記事にて)

サブスクとフィジカルの相乗効果

音楽に込められた感情的な部分に耳が向くようになると、フィジカルへの期待感も変わってくるかもしれない。アーティストのバックグラウンドなどを踏まえた、音楽のより深い世界観をフィジカルに求める人々が増えるのではないかと思う。フィジカルは耳以外の部分で世界観やメッセージを込められるものだ。それはアートワークであったり、材質などを含めたパッケージの仕立て方であったり、曲順であったりと、多角的に様々な工夫を凝らして1つの作品に仕上げる。今まではフィジカル購入が音楽の入手手段の1つに留まっていた人々も、こだわって表現された世界観にダイブする日が来るかもしれない。

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そんなフィジカルに対する価値観の変化は、今度はサブスクに対する価値観に変化を与えるかもしれない。それは聴き方の変化かもしれないし、音楽に感じる価値観の変化かもしれない。少なくともリスナーと音楽の関わり方が次の時代に移りゆく。そうやって進んでいく時代の中で、サブスクとフィジカルは互いに良い影響を与え合い、相乗効果でリスナーの価値観をアップデートしていく共存関係になるのかもしれない。そんな世界が望ましいと語った夜であった。

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