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自転車とアイスクリーム(昭和の思い出)

おばあちゃんのお店


僕のおばあちゃんは、むかし駄菓子屋さんをしていました。チョコレートや飴ちゃん、ノートや上履きも売っていました。駄菓子屋さんだけど、何でも屋さんが近いのかもしれません。

おばあちゃんは、よく自転車に乗っていました。どこに行く時にも自転車で行くのです。僕を保育園に迎えに来る時、スーパーにお買い物に行く時、いつも自転車でした。

おばあちゃんには変なルールがありました。
決して立ち漕ぎをしないのです。

1980年代のお話です。今みたいに電動自転車がある時代ではありません。

おばあちゃんは時どき、僕を連れてスーパーにお買い物に行きました。少しでも安い食材の情報を仕入れると、自転車に乗ってスーパーをハシゴするのです。

まだ小学校低学年の僕にとっては結構な距離でした。僕は息を切らしながら自転車でおばあちゃんを追いかけました。時どき立ち漕ぎをしないと追いつかないのです。パワフルなおばあちゃんでした。

おばあちゃんは毎日家計簿をつけていました。玉子が〇〇円、お肉が〇〇円。細かくキッチリとつけていました。電卓ではありません、そろばんです。

パチパチとリズムよく音を立てながら計算をしていました。

ある日の午後、僕はそろばんで遊んでいました。ミニカーを手で持って走らせるみたいに、そろばんを上下反対にして転がして遊んでいました。

何かの拍子に、僕はそろばんを壊してしまいました。

おはじきみたいに球がバラバラに飛び散りました。もう修復できないくらいに壊れたそろばんを見て、僕は泣いてしまいました。

泣いている僕におばあちゃんは言いました。
「部品を集めて修理しなさい」と。

僕は泣きながら部品を集めました。元どおりになるように、部品をつなぎ合わせて修理を始めました。子供の僕が何をどうやっても、元どおりにはなりませんでした。僕は嫌になってその場から逃げました。

少し冷静になった僕は、そろばんの修理をするために戻りました。おばあちゃんは僕が壊したそろばんを修理していました。僕が頑張ってもできなかったことを、とても簡単にやってのけました。

「諦めたらあかん。できると思えばできるんや」

そう教えられました。



時どき、おばあちゃんのことを思い出します。

お小遣いはほとんどくれなかったけど、ビックリマンチョコはくれました。おばあちゃんの駄菓子屋さんに遊びに行くと、子供の僕には届かない高い戸棚から、ビックリマンを出してくれました。

飴ちゃんもくれました。青リンゴのような、梅のような甘みと酸味のある飴ちゃんでした。子供の僕には少し大きな飴ちゃんでした。僕は大人になった気分で食べていました。

1980年代のお話です。僕が2才から12才までの時代。いちばん素直で、いちばん可愛かった少年時代のお話です。僕の原点がここに隠れていると思っています。

これから少しずつ書いていこうと思います。
あやふやな記憶を想像力で補いながら。

僕の原点を探す旅。
よろしければお付き合いください。




おしまい。

ありがとうございます🐱
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