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読書📖連作短篇集とは? | 小川洋子「寡黙な死骸 みだらな弔い」

 何度か書いているが、大きな書店に行ったときは、必ず洋書売場を覗く。
 邦訳で読んで、英語などの原書を探すことが多いが、英語訳を読んでから、日本語の原書を探すこともある。
 振り返ってみると、英語学習が日本語の小説を読むきっかけになったことが多かった。
 洋書売場の日本文学のコーナーは、最近では、様々な現代文学も訳されるようになっている。
 きちんと調べたわけではなく、あくまで売場をパッと見た印象だが、近現代の文学だと、夏目漱石、谷崎潤一郎、三島由紀夫、村上春樹あたりが定番である。このあたりは予想がつく。予想外と言うと失礼かもしれないが、小川洋子の作品もそれに匹敵するくらい多い。たぶん英訳された作品の数でいったら、東野圭吾の作品より、小川洋子の作品のほうが多いと思う。

( 独り言 ハルキストには、申し訳ないが、次の日本人ノーベル文学賞は、ひょっとしたら、小川洋子かも、と思ったりもする。多和田葉子もありうる )

 それはさておき、洋書売場で気になって買ったのが、
Yoko Ogawa, " Revenge " 。
 日本語オリジナルは、
小川洋子「寡黙な死骸  みだらな弔い」。

 この作品は『 連作短篇集 』である。まったく「連作短篇集」と言うことを意識せず、「短篇集」だったら読みやすいかな?、と思って読み始めた。
 読んでいるうちに、「あれ、これ、さっきの話と似ている!」と気づいた次第である。「連作短篇集」というものを、読んだ当時、知らなかったのだ😱。

 「連作短篇集」とは、文字通り「短篇集」なのだが、ふつうの短篇集とは異なる。ひとつひとつの話を、独立したひとつの作品としても読むことができるが、それぞれの話が複雑に絡み合っている。

連作短篇集とは?

 今回の記事では、内容には踏み込まない。「連作短篇集」というものを図式化してみたい。
 例えば、A, B, C, D, E という五人の登場人物がいるとする。
 普通の小説ならば、「主人公1人」の視点を通してみるか、「作者」が全体像を「神」のように見て書くか、どちらかになる場合が多い。
 それに対して、『連作短篇』では、登場人物のA, B, C, D, E が、それぞれの短篇の主人公として描かれる。
 イメージを書くと、下の図のようなイメージである。

主人公Aの視点に立つ短篇
(図1)

 「 図1」で示したのは、登場人物Aが主人公になっている短篇の場合。

主人公Bの視点に立つ短篇
(図2)

 「図2」で示したのは、登場人物Bが主人公になっている短篇の場合。

以下同様に、Cの視点、Dの視点、Eの視点に立つ短篇がつづく。

「連作短篇集」を読み終わると、次のような全体像が見えてくる。

連載短篇集の全体像
(図3)

 5つの短篇から成る「連作短篇集」ならば、図3に示したようなイメージの物語になる。

 はじめて「連作短篇集」を読むときには、主人公 (必ずしも人ではない場合もある) がコロコロかわるので、読みにくいかもしれない。
 こういう手法を用いた短篇集もある、ということは、覚えておいてもよいと思う。

 自分でも、「連作短篇集」を書いてみたいな、と思っている。


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