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刑務列車「刑部号」

 2026年。五輪の失敗・政権交代・強まる他者排斥傾向・犯罪増加…混迷を極め狂った日本はとんでもない決断に出た。

 【刑務列車計画】と題された狂気の政策は国会を通り実現した。即ち刑務所を解体して善良な市民に土地を提供、犯罪者は列車に詰め込まれ遠ざけられる。

 結果として、この計画は成功した。マジか。そればかりか列車特需で日本経済は上向いた。馬鹿な。

 『大和吉野~大和吉野~。積み込みの為2時間ほど停車します。え~作業員は引き続き募集中です。移送者・新入所者約50名います、刑務官巡回しますので雑居房は整理しなさい』

 今から乗る「刑部号」は近畿山間部を巡る列車で主に関西の囚人が集められている。そして刑部号の裏にはヤクザが居る、それもでっかいのが。

「刑部号、こいつも二度目だな」

 横に立つ男は四国の「隠神号」から一緒に移送されてきたんだが…

「マジにここにいるんですか?その…親分が」

 兄貴と俺はヒットマンだ。

【続く】

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