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グローバル企業のメンターから教えてもらった転職の3箇条

キャリアに悩める人に大して、直接の利害関係がない立場から客観的なアドバイスをする「メンター」というのを、かれこれ3年ほどやらせていただいています。

一般社団法人マーケターキャリア協会(MCA)という団体で公式にやらせていただいているほか、個人的にもボランティアで何人か「面白い!」と感じる人をメンティー(相談する人)にさせていただいています。

私は外資勤めが長かったのですが、グローバル企業ではこの「メンター」が仕組みとしても文化としても定着していることが多く、上司でも人事でもない、直接の利害関係のない人が定期的にキャリアの相談に乗ってくれていました。

それが大変役に立ち、ある意味直属の上司以上に人生に大きな影響を与えてくれるメンターがいたりしたので、メンターとして必要としていただけるようになった暁にはやりたいな、とかねがね思っていた次第です。

そんなメンター経験の中で最も多いのが、というか相談事のほぼ全てが「転職の相談」です。今回のnoteでは、私も過去のメンターから教えてもらい、自分自身実践して効果を実感し、メンティーの方にもお伝えし好評をいただいている「転職の3箇条」を共有させていただきます。

1.自分から動かない

人から求められることをする、というのが、精神的にも経済的にも満たされる仕事選びのポイントです。自分が最も「必要とされる」場所を見つけるのです。「必要とされる」ことは、たまたま近くにいたからと「利用される」のとも、他に頼る人がいないからと「依存される」のとも違います。自分が最も「必要とされる」場所は、自分の個性が最も輝く場所でもあります。

そんな場所を見つけるための、シンプルながら効果のある行動原理は、「声がかかるのを待つ」ことです。転職であれば直接スカウトされるとか、転職エージェントから案件を紹介されるとか、エグゼクティブサーチ会社から連絡が入るとか。待っているだけだと機会を逃してしまうかもしれない、と心配するかもしれませんが、昨今はLinkedInやビズリーチなど候補者サーチの基盤が整っています。採用競争が激化しているなか探す方も必死なので、しかるべくスキルと実績があれば見逃されることは稀です。

また、人間誰しも、何かを「売りつけられる」のは嫌いです。反面、自分で「お買い物をする」のは大好きなのです。自分で見つけたタレント(候補者)は、どうしても獲得したくなるのが人情です。反対に、積極的に転職先を探している人には、「何か理由があるはずだ」という警戒感を持つのも人情でしょう。この意味でも、自ら積極的には動かないというスタンスが転職を有利に進めてくれます。

また、最も転職が成功しやすいのは、実は今の仕事がうまくいっていて辞める理由が何もないときです。それでも転職する、という決断をするのですから、それだけ上手くいく要素が沢山ある転職先を冷静に選ぶことになるためです。反対に、仕事がうまくいっていないと、転職を急ぐあまり冷静に前後の比較ができません。自ら動かない、という原則は、そうした拙速な判断のブレーキにもなってくれます。

2. オファーを取ってから迷う

その上で、スカウトされたり案件を紹介されたりした時に、「受けるかどうか迷っている」という相談をされることがよくあります。答えは明確です。興味があれば受けるべし。面接で志望動機などを聞かれたら、その通りに言えばOKです。つまり、「紹介いただき興味があったのでぜひ○○さんにお会いしたいとお答えしました、具体的にはこういうところに興味があります」と、素直に伝えるのです。

興味があるのですが現在転職は考えていないので、面接ではなくカジュアルな面談であればぜひ、とお答えするのも一つのやり方です。いや、それは困ります、と言われることはほとんどないですし、むしろあったら受けるのをやめておいた方がいいと考えます。そもそも声をかけてもらっているのですから、本来は志望動機も何もないのですが、面接官は習慣的に聞いてしまうものです。カジュアルな面談、という前提にしておけば、そのあたりの面接官の気構えも変えることができます。

受けるかどうか迷っている、というとき、受けると決めるに十分な理由はどうしたら見つけるのでしょうか。その時の迷いというのは、実は受かったら転職するかどうか、なのではないでしょうか。そして、その答えは、その会社をより深く理解し、ポジションや給料など具体的な条件が確定しないと出ないことがほとんどです。情報が限られているから答えが出ないのです。そうであれば、まず面談や面接で話を聞いてみて、さらに興味が湧けば実際にオファーを獲得してみるほかありません。

オファーをとってから入社の承諾までは、それほど時間がもらえるわけではありません。一般的には一週間でしょう。しかし、一週間考えて出ない答えが、一ヶ月考えればでるものではありません。その間じっくりと考えて、それでも答えが出なければ+αの検討期間がもらえないことの方が珍しいはずです。また、そもそもオファーがもらえなければ、その時点で悩む必要はなくなります。どう考えても、「オファーを取ってから迷う」方が合理的なのです。

3. 現職とも相談の余地は残しておく

晴れてオファーが取れ、いよいよ決断を迫られる、という段になると多くの人が悩みに悩むものです。私自身は、より多くの人の貢献できるのはどちらか? という基準で判断しています。より多くの人に貢献できれば、それだけ精神的にも経済的にも報われることが多いからです。それも判断に苦しむこともありますが、その際は3回連続で同じ答えが出ればGoというマイルールを適用します。

このあたりは参考にしかならず、結局最後は自分で決めるほかないと思いますが、状況をより俯瞰してみられることになるので、なるべく多くの人に相談することは有益です。そして、そこに現職の上司や人事担当を入れることは、決してご法度ではないと考えます。

もちろん、転職の意思を伝える以上、リスクはあります。今時点での判断としては、転職すると決め切ってから伝える必要があります。しかし、それはあくまで「今の時点での判断」です。新しい仕事にチャレンジさせてくれる、など、現職にもカウンターオファーがあるかもしれません。もしその可能性があるのであれば、そこには相談の余地があるのです。

この時、転職の意思を伝えられる上司や人事担当の気持ちになってみてください。自分は部下や社員に好かれている、尊敬されている、と100%自信を持っている上司や人事担当は少ないでしょう。転職を言い渡されたときは、少なからず愛想を尽かされた、という寂しい心持ちになります。まだその上司とその会社で働きたい、という気持ちがあるのなら、それを素直に伝えないと、出てくるカウンターオファーも出てきません。どうせ引き止めても無駄だよな、と思ってしまうのです。

以上が、いつもメンティーにお伝えしている転職の3箇条です。少しでもキャリアにお悩みの皆さんのお役に立てると幸いです。

おわり

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ソフトバンク株式会社のメディア統括部長。←ヤフー←アウディ←ユニリーバ←ニュージーランド航空。著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」「たとえる力で人生は変わる」など。NewsPicksアカデミアプロフェッサー。新刊「マーケターのように生きろ」が全国書店とネットで好評発売中。