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♯癒しのフランス音楽、初心者でも始めやすい連弾曲5選

少し疲れたなと思ったときやなんだか気が滅入ってしまうとき、誰にでもありますよね。そんなとき心を休めてくれるもののひとつに音楽があります。なかでも印象派時期のフランス音楽は肩肘張らずにリラックスして楽しめる作品が多いです。今回は聴く方はもちろん、演奏する方にも易しい選曲を心がけてみました。


1 . ドビュッシー作曲「小組曲」より 1. 小舟にて

言わずと知れた連弾の名曲、小組曲の一曲目はもやもやとした気持ちを洗い流してくれるかのような温かいト長調のハーモニーが全体を包んでいます。また気まぐれに揺らぐ響きもまさに優しい波のうえに浮かぶ舟に乗っているようです。演奏面では、ドビュッシーの作品には珍しく調号が少なく取り組みやすい作品であると同時に、お互いの手が交差したり2つのパートが複合的なリズムで絡み合うなど、連弾作品として非常に見どころのあるものです。

2.  ゴダール作曲 「朝に」

フランスの香水ブランドでゴダールという名前を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、こちらはゴダール違い、バンジャマン・ゴダールというドビュッシーなどが活躍する前に登場した作曲家です。ジャスランの子守唄は聴いたことがある方もいるでしょうか、かなりの数を作曲していますが今聞かれる曲はほんの数曲…少し寂しい気もしますね。しかしこの「朝に」は特にオススメの一曲です。題名どおり、まどろみの中から朝の優しい陽射しが差し込んでくるような朗らかな曲で8分の6拍子が心地の良い揺蕩いを作ります。セコンドとプリモがお互いの仕事をするだけで合わせたときにはなんとも言葉にしがたい美しく透明感のあるハーモニーが響きます。

3 . フォーレ作曲「パヴァーヌ」

フォーレはもちろんフランスを代表する名作曲家のひとりですね。こちらははじめ管弦楽曲として作曲されましたが、後にフォーレ自身によるピアノ独奏版や様々な編成で演奏機会の多い名曲です。まさにフォーレならではの甘美でノスタルジーな旋律は誰しもの心を掴みます。連弾版ではセコンドは本来弦楽器が受け持っていたピチカート部分を担当し、プリモの息の長いメロディーを支える形となります。嬰ヘ短調という少し難しそうに感じる調性ですが、弾けばこの調である必要性がわかる、素敵な旋律、和声が散りばめられています。


4 . ラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」


パヴァーヌ繋がりでラヴェル作曲の「亡き王女のためのパヴァーヌ」を紹介します。「亡き王女」という言葉から悲しい曲と捉える方もいるかもしれませんが、実はラヴェルは"昔のスペインの小さな王女"が踊ったようなパヴァーヌとしています。このことから、特定の王女に捧げられたものではなく、古くからのスペインの風習への憧憬を表現したものと思われ、彼がスペイン近くの街で生まれ育ったこともあり研ぎ澄まされたラヴェルの感性を存分に味わえます。ト長調で落ち着いたテンポのこの曲は、技巧面での難しさはほとんどないものの、途切れることのない均整のとれた旋律や弦楽奏法に基づいた伴奏形など、ピアノで表現するには練習・研究が必要な点もあるかもしれませんが、管弦楽を想像しながら演奏してみるのも楽しいでしょう。

5 . サン=サーンス作曲「動物の謝肉祭」より白鳥


動物の謝肉祭の第13曲として収録されている名曲です。チェロの独奏版も有名ですが、2台ピアノ版・連弾版も演奏されることがとても多いです。プリモが高音部で奏でる繊細でキラキラとした水面のような優しい分散和音のなかから、優雅でありつつも芯のある白鳥のメロディーを歌いあげるセコンドという構図で、弾いているほうも聴いているほうも心からリラックスできる空間が広がります。

癒されたいな、休憩したいなと思った時良い方法が思いつかない方もいるかもしれません。そんな時は今回紹介した作品たちに触れてみてはいかがでしょうか。お気に入りのハーブティーを淹れながらほっと一息、フランス音楽の心地良い響きがざらざらとしていた心を癒してくれることでしょう。



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