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地下鉄七隈線の音のデザイン

大学の講義で、福岡市地下鉄「七隈線」のユニバーサルデザインについて習ったのが約10年前。

私自身すでに福岡を離れていますが、とても静かで綺麗な「七隈線」の印象が強く残っていて、今回noteにまとめようと思います。

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七隈線のユニバーサルデザイン

1. 明るい空間を実現する
・自然光を取り込む
・自然光に近い照明を行う
・床・壁・天井を明るい色彩で構成する

2. 見通しがよく、広がりのある空間を実現する
・凹凸をなくす(モジュール化によるビルトイン)
・見通しを確保する(透明素材の利用)
・空間を広げる(天井を上げ、壁をとる)

3. 移動しやすく、使いやすい空間を実現する
・車椅子導線の短縮化
・車椅子利用者への配慮(券売機/エレベーター操作スイッチ/改札など)
・すき間をなくす、段差をなくす
・楽な移動と利用のための配慮
・快適なトイレ空間と機能

4. わかりやすい情報提供を実現する
・空間の記号化
・個性化(個性化壁/駅シンボルマークの展開など)
・ユニバーサルデザインのサインシステム(グラフィックエレメント/音によるサインシステムなど)

七隈線の音のデザイン

冒頭でも話したように七隈線のホームおよび車内はすごく静かだし(壁や床に、音が反射しすぎない材質を使っているらしい)、車椅子の方でも使いやすいように券売機の高さが通常より低くなっていたり、極限までホームと列車の隙間が小さくなっていたりと、様々な配慮がなされています。

今回はその中でも、なじみが薄いであろう「音によるサインシステム」について紹介してみます。

※そもそもサインシステムとは、体系的に考えて設置される、鉄道駅や公共施設などにある案内標識のこと。トイレの場所を示す案内表示だったり、○番線ホームの場所を示す天井の電光掲示板だったり、現状ピクトグラムを含め視覚サインが大半です(下の画像はJR東日本・東京駅のサイン)

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七隈線の音によるサインシステム

定点音・音声サイン:現在の位置を示す(地上出入り口の定点音など)
案内音声サイン:運営情報・目的地への方向情報を伝える(音声による構内案内、トイレの音声案内など)
警告音サイン:進入禁止や誤動作などに対して注意を喚起する(ホーム可動柵開閉警告音、エスカレーターの誤進入警告音など)

主に視覚障害者の方に、従来の点字や触知といった方法以外に、音で情報提供しようという試みです。

例えば、磁気テープがついた白杖をもってエレベーターに近づけば、誘導ブロックのセンサーが反応し、音声案内とともにボタンを押さなくても自動でエレベーターが呼ばれたり、トイレの入り口では人感式センサーによって人が近づくとトイレの種別を音声で案内したり。

また駅構内の案内図でも音声案内があり、すべての駅で方向や距離の表現がルール化されているようです。


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※公共交通機関のユニバーサルデザイン―福岡市営地下鉄七隈線トータルデザイン10年の記録(p.085)より引用


ここで大事なのが、必要な人に必要なだけ情報を届けるということ。

例えば、従来の駅でも出口や階段、列車到着(発車)時に音声案内はありますが、外国人からすると案内が過剰で逆に不安になったりするらしいのです。

そうではなくて、例えば先ほどのエレベーターのように、杖を持っていない人には音声案内は流れず、白杖を持っている人が近づくと音声案内が流れる、のように、すべて一律で音声サインが流れるのではなく、必要なとき、必要な人にだけサインが伝わる。これがすごく大事だと思います。


参考文献
公共交通機関のユニバーサルデザイン―福岡市営地下鉄七隈線トータルデザイン10年の記録

福岡市営地下鉄七隈線のトータルデザイン | GA-TAP - 株式会社ジーエー・タップ

木島英登バリアフリー研究所

街で見つけたユニバーサルデザイン ~駅の音~ | 街で見つけたUD | イセトー ユ・ニ・バ

チカテツ「100知りのススメ」



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ヒップホップのトラックメイカー(作曲家)やってます。小さい頃から音楽が好きで、最近は声のミックスなどエンジニアリングも。大阪府堺市出身。https://piano-flava.com/
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