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鍼灸師なら肩コリの正体を理解しよう。

【この記事を読むとこんなことが分かるよ】
鍼灸師が得意としている肩コリですが、実は日本にしか存在しない独特の表現なんです。一般用語になったキッカケは夏目漱石の小説「門」で、肩コリに相当する部位や、海外の表現は統一されていないため、曖昧な点が多いのが肩コリの現状です。

肩コリって鍼灸師にとってめちゃくちゃ出会う症状の一つですよね。

ボクが整形外科で勤務していた頃は「肩コリ」という診断のついた患者さんとは出会ったことがなかったので、鍼灸業界にきて驚いた症状でもあります。

というのも、肩コリという診断名はないため、治療の対象にはならなかったんです。

患者さんから
「肩凝ってるんですよ」と言われても、

「そうなんですねー」くらいで聞き流すのが当たり前になっていました。

今回は、肩コリの正体を話していきたいと思います。

1.肩コリって日本だけの概念

皆さんは「海外の人には肩コリはいない」といった噂話を聞いたことはありませんか。

ボクも昔、どこかで聞いたことがあって、

「海外の人は肩が凝らない筋肉の付き方をしているんだ!すげー!」
と本気で考えていましたw

実は、肩コリという言葉は日本で作られたものだったんです。
しかも、生みの親が夏目漱石だったと言われています。

夏目漱石の小説「門」の一節に、以下のような表現があります。

「指で圧して見ると、頸と肩の継目の少し脊中へ寄つた局部が、石の様に凝つてゐた」

小説「門」が新聞に連載されていたこともあって、肩コリという表現が世間に広まり、日本では一般用語となったそうです。

【門とは】
『門』(もん)は、夏目漱石の長編小説。1910年に「朝日新聞」に連載され、1911年に春陽堂より刊行された。
『三四郎』『それから』に続く、前期三部作最後の作品。
親友であった安井を裏切って、その妻である御米と結婚した宗助が、罪悪感から救いを求める様を描く。

Wikipediaより引用

2.肩コリの部位ってどこのこと

肩コリと聞いた時、みなさんはどこに手を触れますか?

ほとんどの方は「肩甲骨上角周辺」に手を触れるんじゃないでしょうか。
でもよくよく考えてみてください。
「肩」のコリなのに、肩関節(肩甲上腕関節)のあたりを認識していないのって、少し冷静に考えてみると変な感じがしますよね。

実際、過去に日本整形外科学会が行っていた『肩凝りプロジェクト』という研究によると、

整形外科医に対するアンケート調査で肩コリの部位を答えてもらったら、

「後頭部から肩甲骨中枢で三角筋までの領域である」

この回答がもっとも多かったとされています。

そう考えた時に、「肩コリって肩のコリじゃなくね。。」と感じてしまいますよね。

3.海外では何と呼ぶのか

肩コリという表現は日本独特の表現であることは分かりましたね。

実際には、海外には「肩コリ」という言葉が存在しないからいないだけで、当然ながら肩コリに相当する人はいます。

ただし、英語表現には論文によってめちゃくちゃバラバラになっています。

【肩コリの英語表現に関するバリエーション】
chronic neck pain        :慢性的な首の痛み
stiff neck/shoulder           :首/肩の硬さ 
nonspecific chronic neck pain   :非特異的で慢性的な首の痛み
cervico-brachial pain syndrome :頸部-上腕痛症候群 
などなど

英語表現では「肩コリ」を硬さ or 痛み として捉えているようですね。たしかに痛みとコリの境界も曖昧ですしね。

今回の記事を通して、抽象的に捉えていた「肩コリ」ってどんなものなのかを考えてみてください。

鍼灸師が得意としている症状でもあるので、キッチリ理解しておきたいですね。

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