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あなたの「しびれ」鍼灸師だったらどう推理する?

【この記事を読むとこんなことが分かるよ】
しびれを訴える症例がきたら、いきなりよくある疾患を想定しないように気をつけましょう。まずは痺れと訴えている表現を具体的にします。次に重篤な疾患を除外し、そこからようやくよくある疾患を考えていく治療の流れを常に心がけておきましょう。
また、重篤な疾患が少しでも疑われたら医療機関の受診を勧めることが何より大切です。

ども、てっちゃんです。

てつらーのみなさんこんにちは。

さっそくですが、皆さんに質問です。

みなさんはこれまでの人生で「しびれ」を経験したことはありますか?
ボクは正座が趣味みたいなもんで、普段の家での食事中も正座で食べています。
ただ、20分も正座をしていると徐々に足がピリピリして痛みも走り動けなくなります。しびれと言っても、実際はかなりの痛みもあるし結構辛いんですよね。


今回はつい先日、患者さんのご家族から実際に相談受けた事例を通じて、実際の臨床の流れを一緒に考えていきましょう。

まずは実際のケースを紹介します。
ぜひ、「何の疾患なのかなー」というのを想像してみてください。

【Tさん】
35歳独身の男性で世田谷区在住。営業職で重いリュックを背負っている。
半年前くらいから左手に痺れを感じあなたの鍼灸院に来院されました。
仕事中にペンを落とすことが増えていたり、左上腕の内側から指先(4指・5指)の痺れと冷感。毎日布団の中で本を持ち上げて読んでいると痺れが増強。
整形外科を受診したら肩コリや神経痛といった診断で特に治療は行っていません。数日前に左の胸が刺すような痛みが出現したとのこと。

こんな患者さんがあなたの元に訪れたとします。

「なんとなく怖い気がする。。。」

こう感じた人は多いんじゃないでしょうか。

ではもう少し踏み込んでお伝えすると、

⑴この時にどんな疾患を思い浮かべることができたのか
⑵次にどんな問診をしようかを思い浮かべることができたのか

この2点に対して、それぞれ何個思い浮かべることが出来ましたか?

1-2個しか思い浮かべなかった人は、一人で患者さんを担当するのはまだ早いので先輩や上司と複数で担当するようにしましょう。

ここからはどんな流れで聞いていくと良いのかを話していきます。
この2点を意識しながら読んでみてください。

STEP1:「しびれ」をパラフレーズしてもらおう

「しびれ」のような表現って曖昧な要素も大きく、人によって捉え方も異なります。
そんな時に「しびれ」という表現をパラフレーズしてもらうともう少し具体的な症状を聴取することが出来るかもしれません。
※パラフレーズとは言い換えのこと

STEP2:重篤な疾患の疑いがあるか

頭の中には「よくある疾患」について思い浮かべている人もいるかもしれませんが、まずは検討する前に「重篤な疾患」の可能性から考えましょう。

この2軸で考えることが非常に重要です。

重篤な疾患の場合には、見逃すことによって死に繋がってしまう可能性があります。

2015年に「大動脈破裂胸腔内出血」で亡くなられた俳優の阿藤快さんは、亡くなる直前まで「背中の痛み」を訴えていてマッサージを受けていたとうニュースは当時かなりショッキングな出来事でした。

※受けていた「マッサージ」というのは当時調べたんですが、整体師によるものなのかマッサージ師によるものなのかは不明でした

今回のケースでいうと、心筋梗塞大動脈解離肺血栓塞栓症のような血管系の疾患は見逃せないですね。
これらの疾患に起こりうる症状について分からなかった人はcheckしておきましょう。

他にもいくつか考えられますが、少しでも怪しい症状がみられた場合には早期病院受診を勧めてください。

鍼灸師の役割はあくまでも「病名を診断すること」ではなく
「これヤバイかもといった症状に気づいて医療機関につなぐこと」です。

今回のTさんの場合、念のため医療機関を勧めて、確認のために検査したが重篤な疾患の所見は見当たりませんでした。

STEP3:緊急性を除外できたら「よくある疾患」を考えよう

ようやく、ここからが「よくある疾患」について考えてみましょう。

痺れの症状から考えてみると、頸椎症・頸椎ヘルニア・胸郭出口症候群が候補に挙がりますね。

ただし、35歳という年齢を考えると頸椎症よりも頸椎ヘルニアや胸郭出口症候群の方が可能性は高そうですね。

頸椎ヘルニアだとすると、手や腕を動かして痺れも出ないし、胸の痛みも関連性は考えにくいです。

胸郭出口症候群だとすると、胸の痛みや腕の内側の痛み、物がつかみにくい、日常的に重い物を持っているという生活スタイルなど該当項目が多いですね。

今回、Tさんの症状は胸郭出口症候群だったようで、数回の鍼灸治療で症状は快方に向い、営業の仕事も元気に働くことが出来るようになったそうです。

今回は冒頭では患者さんのご家族と伝えましたが、本当はフィクションです。実際に似たようなケースを作り替えたもので、ほとんどボクを想定しています。

ただ、実際にもこういった症状の事例は多いので今回お伝えしたSTEPを意識して勉強してみてください。

また、推理について学びたい!という人!
プライマリケアを症例ベースで解説してくれているてつさんの記事がとてもオススメです。

ではまた!

本日もご覧いただきありがとうございました!

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