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【レポート】ビジョンデザインワークショップ第2日

 フォトニクス生命工学研究開発拠点の「実現したい社会像(ビジョン)」を考える「ビジョンデザインワークショップ」(計3回)の2回目が8月19日、大阪大学フォトニクスセンターで開かれました。1回目の前回は「2040年に実現させたい健康で心豊かに暮らせる生活」のアイデアを、フォトニクスは考慮せずにとにかく考えました。そして今回は、それらのアイデアの具体化です。一般人の立場で参加した私が、当日の様子をレポートします。(フリーライター:根本毅)

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(写真説明)ワークショップの様子

■前回は約250のアイデア
 ワークショップ会場は、前回と同じ部屋。広い壁面をホワイトボードとして使えるので、このワークショップには非常に便利です。チーム分けも前回のままで、私はDチーム。このチームはメンバー3人が入れ替わり、同じ会社や組織から前回とは違う人が来ていました。
 全体では約3分の1のメンバーが入れ替わったそうです。そのため、進行を務める公益財団法人・大阪産業局の浅岡陽介さんはまず、前回のワークショップの説明をしました。
 「『実現したいありたい社会像(ビジョン)』をみなさんと一緒に考えることを大きな目的にしました。そのため、前回は約20年後の2040年に実現させたい、健康で心豊かに暮らせる生活を考えるということで、我々にとっても身近なテーマについて幅広く議論しました」
 「議論のため、三つのルールを設けました。一つ目がバックキャスト思考。二つ目が『人』中心思考。三つ目が改善主義。二つ目と三つ目は、デザイン思考という考え方です。こういうことを意識して取り組みました」

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(写真説明)今回のステップを説明する浅岡さん

 前回行ったアイデアの発散では、実現したい生活として計約250のアイデアが出たそうです。リストを見ると「すべての人の労働時間が半分になる生活」「疲れない体、病気にならない体が当たり前の生活」などあらゆる分野について自由な発想が並んでいます。浅岡さんも「非常に幅広いアイデアが出ました」と話していました。
 前回は、多数のアイデアの中から関連がありそうなものを集約し、ありたい社会像にまとめて終わりました。私たちDチームは、「農作物の生産性が格段に向上した社会」や「どれだけ食べても健康を害することがない生活」などのアイデアを一つにまとめ、「好きなものを好きなだけ食べられる社会」をありたい社会像としました。Dチームを含め各チームとも複数の社会像を考えました。


■「ありたい社会像」実現のため、3ステップで考える
 今回は、その「ありたい社会像」を実現するためにはどうすればいいかを三つのステップで考え、付箋を利用して具体策を作り上げていきます。

ステップ1:ありたい社会像を実現するための、技術、製品、サービスなどソリューションを考える
ステップ2:そのような社会像が実現すると、誰がうれしいか、どんな課題を解決するか、SDGsのどの項目を解決するか、を考える
ステップ3:ソリューションを実現するための「ブレークスルーすべき壁」は何か考える

 浅岡さんは、例として「多様な就労、社会参加を促し、いつでも誰でもどこでも適正な医療を受けられる社会の実現」を挙げ、各ステップの進め方を説明しました。ステップ1の「技術、製品、サービスなどのソリューション」は、例えば「在宅医療・在宅医療用機器」が格段に高度化されれば病院に行く必要がなくなるので、付箋に「在宅医療・在宅医療用機器」と書き入れてソリューションの欄に貼り付けます。
 ステップ2は、マーケットです。上の社会像の例で考えると、「入院が必要な高齢者」が抱える「住み慣れた生活の場で安心して最期を迎えることができない」という課題を解決し、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」につながります。これらを付箋に書き入れ、該当の欄に貼り付けます。他にも、この「適正な医療が受けられる社会」が実現すれば現在のさまざまな課題解決に結びつくと考えられるため、課題や助かる人などを具体的に付箋に書き込んで貼っていきます。
 この時に、ネットで課題を検索すると便利。浅岡さんは「例えば『在宅医療 課題』で検索すると、いろいろなレポートが出ます。それを見ると、今なにが課題になっていて、誰が困っていて、どういうことがネックになってうまく進んでいないかが出てきます。それを参考に、議論してみてください」と説明しました。
 そしてステップ3。ブレークスルーです。技術、システム、価値観などの視点で考えます。技術はもちろんのこと、人材や消費者の意識、法律による規制などが壁になっている場合もあります。これらを考えて、付箋で加えていきます。


■グループで和気あいあいと議論
 さて、実際にやってみました。

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(写真説明)あるべき社会像を実現するために何が壁になるか、具体的に考える参加者たち

 前回よりもグループで話し合う場面が多く、多様な人との和気あいあいとした議論を楽しみました。知的刺激も受けました。
 例えば、「好きなものを好きなだけ食べられる社会」を実現するには、「味わったり満腹感を得たりすること」と「カロリー(あるいは糖質や塩分など)摂取」を切り分けられたらいいんじゃないか、という方向にも話が行ったんです。これはゼロカロリーや糖質ゼロの食品がある今、特に目新しい発想ではありません。でも、私は目からうろこが落ちたように感じました。その方向で考えると、バーチャルリアリティー(仮想現実)での食事とリアルでの栄養摂取という組み合わせになっていくのだろうか……。ちょっと脱線もしながら、議論を積み重ねていきます。

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(写真説明)付箋を貼って、考えをまとめていく。「あるべき社会像」は見えなくしてあります。どんな社会像について考えたと思いますか?

 SDGsの資料も当日配られたので、自分たちが解決を試みる課題は、どのゴールに相当するか調べます。日頃、17あるSDGsのゴールを詳しく見ることはあまりないので、SDGsを考える良い機会にもなりました。
 最後に、4チームそれぞれが内容を発表して終わりました。

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(写真説明)この日の議論の内容を発表する参加者

■次回は拠点ビジョンの決定
 最終回の次回は、フォトニクス生命工学研究開発拠点が実現を目指す拠点ビジョンを確定し、メンバー間で意思統一を図ります。
 最後に記念撮影をして終わりました。また次回、お会いしましょう。

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