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夕焼けチャレンジとリーチアクション

「ゆうやけチャレンジ」の競技をオリンピック種目にしたい!と密かに思っている、令和のスナフキンです。

出張などいろんな理由をつけて全国各地を旅していますが、旅先での夕焼けチャレンジがライフワークになりつつあります。太陽が傾いて日没時間が近くなるとそわそわしてしまいます。昼間にあれだけ見慣れた光景が、アイスクリームが溶けるように、わずか数十分で劇的に変化すること自体がドラマティックって思いませんか。

夕焼けはちゃんと焼けるか予測がつかないのも面白いですね。夕焼けには定番の好条件があります。厚い雲が立ち込めていないとか、雨上がりはよく焼けるとかあるんですけど、結局のところその時間になってみないとわからないんです。太陽が沈むにつれてジワジワとオレンジが強くなってきて、「これは期待できるぞ!」と思ったけど、結局それ以上オレンジが強まらずにそのまま暗くなってお終いとか。逆に日中はずっと曇り空で期待していなかったのに、日没直前になったら急に太陽が顔を出して見事な夕焼けが現れたり。東の空ばかり注目していたら、いつのまにか反対の西の空が盛大に焼けていたとか。夕焼けと向き合っていると、地球スケールのイベントに自分の小ささを感じます。最近よく言われているメタ認知ですね。

ちなみに、僕の夕焼けチャレンジの成功率は約30%です。つまり、夕焼けを眺められる場所に出かけて、三脚にカメラをセットして、さあこい!って待ち構えても、10回のうち7回はチーンとなっちゃいます。

これは何かに似ているなと思ったら、大学生のときによく通ったパチンコでなんですね。知らない人のために細かく解説すると、パチンコは打った玉が特定の穴に入ると抽選が始まって、1/300くらいの確率で大当たりします。大当たりはそんなに頻度よく出るわけじゃなく、たいてい大当たりが出るまで30分〜1時間かけて1万円くらいお金を使って、大当たりが出たら6000円〜5万円が返ってきます。つまりパチンコとは、大当たりがでるまでひたすら特定の穴に玉を入れ続ける苦行に他なりません。

大当たりを演出するために「リーチアクション」という演出があります。パチンコ台の液晶画面でたまに派手な演出がはじまるのがそれです。リーチアクションには大当たりしやすいレアなものがあって、そのレアなリーチアクションがはじまると1/3くらいの確率で大当たりします。なのでレアなリーチアクションが始まると、心拍数が200くらいに跳ね上がります。

僕がよく通っていた90年代後半は、モンスターハウスのおばけリーチとか、ギンギラパラダイスの魚群リーチとか有名なレアリーチアクションがありました。そうしたレアモノはパチンコを打っている人の態度まで変えてしまいます。パチンコにハマって毎日通っているおばちゃんが、リーチアクションのたびに画面を拝みだしたり、音楽に合わせて手を叩き出したり、レアなリーチアクションがはじまったらハンカチで画面を隠して「イヤー!」って叫んだり。それは異様な光景が繰り広げられていました。

で、レアなリーチアクションといっても外れることがしばしばです。レアモノが外れて何もなかったように画面のルーレットが回り始めると、おばちゃんは「また店で電圧下げてんねんで!」と謎の言い訳をはじめるんです。結局、当たるか外れるかは特定の穴にパチンコ玉が入った瞬間に決まっていて、リーチアクションはあとづけの演出です。したがって本質的にはリーチアクションに何の意味もないんですけど、人間の喜怒哀楽を象徴する光景として僕の記憶に残っています。

余談が長くなりました。いい写真を撮る秘訣は「そのとき、その場所にいること」ってうちの先生がおっしゃっているけど、まさにそのとおりですね。夕焼け写真を撮るためには、とにかく打席に立ち続けることが大事です。

僕はこれからも、レアなリーチアクションを楽しむように、太陽を拝みながら夕焼けチャレンジを続けていきたいと思います。

僕の「いい写真」、講師カメラマンと釧路までタンチョウ撮影に出かけたときに僕が撮影した夕焼けチャレンジです。

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僕にとって「いい写真」とは、人生のかけがえない瞬間を残した写真です。

この夕焼け写真、実は夕焼けそのものが目的じゃなく、本当の狙いは寝床に帰るタンチョウです。このあと、この夕焼けをバックに2羽のつがいのタンチョウがしっかりと飛んでくれました。僕はビデオを担当していたので、シャッターを押せませんでしたが、講師カメラマンはバッチリ捉えていました。さすがプロですね。

あなたにとって「いい写真」とは何ですか?

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