IRLの舞台裏~トヨタの挑戦~

5月のインディアナポリスは猛暑の東京みたいに暑いか?真冬気温、果て
は台風並みのサンダーストーム(雷雲)と天候忙しく、この日も暑くて
公式練習走行はグランドスタンド(パドックペントハウスとインディ
500会場では呼ばれる)を比較的に安い入場料で埋め尽くしたファン
にて賑わった、その最前列でピット前に眼鏡姿の黒い短パンに白い
半袖ポロシャツ胸元ポケットに”TOYOTA”ロゴ入った姿の日本人がいる。
当時の北米トヨタ社長・張富士夫さんである、筆者は挨拶を交わす。
(日本人は二人だけ)
この時に伝えたのは以下の通り。
”本気でインディ500を制覇したい場合は名門チームと提携するしか
方法ありませんよ、ペンスキーやチップガナシーに”。

 かくして3日後、偶然にもお世話なっている現地恩人挨拶などした
後の帰路(インディアナポリスへ戻る飛行機乗り継ぎ時)同じ便で
当時のトヨタ会長?(社長?どちらか失念)の奥田氏一行に遭遇。
決勝日に観戦を張北米社長が現地案内していた。かれこれするうちに
トヨタがグループ総力上げてインディ500を名門ペンスキーにエンジン
独占供給し連覇する(日本メーカー初)。メルセデスと異なる点は、
北米マーケット拡大へこれで「集中出来る環境整備」になったこと。
*:実際の販売・購買力は北米ではNASCARやNHRA参戦がエンジン
自体がV8-OHV採用もあり売れる影響大きいしトラックが市場3割もある。

”IRLの成功しない理由”

現在は「スポット参戦はレーサー個人のみ可能」なルール変更のインディ500、かつてはこのレースのみ”スポット参戦が常識的なチーム多数”だった。
一般的には予選&決勝レースの平均速度・最高速度を落とす為にルール改正幾度もしているが現行エンジン・ルールは最速だった2.65リッター&ターボ
でシャシーもウィングカー時代より「速い」。IRLは「オール・アメリカン
レース」を謳い文句の一つにもしており経歴浅い新設オーバル・コースも
造られ開催も赤字、そもそもエンジンは市販ベースV8NAに対して専用新型
シャシー皆無(分裂開催のCART側へシャシー供給の当時メーカーは新型を
リリース)ここに輪を掛けてややこしい話が出てくる、IRLにて採用される
シャシーのワンメイクス化(ダ・ラーラ社)。これには名門シャシー供給
チームも猛反対する、マーチ・レイナードは消えてローラ・カーズに新生
G・フォース社が参入し何とかインディ500へ出られるようになった後だけ
に(特にGフォースはハイスピード・オーバルに強いコンストラクター)
CARTだけでは伝統イベントに勝てないと知った名門チームはよりこぞって
反対する。

”消えた箱の聖地開催”話”
IRL立ち上げ時に話題となり消えた話の一つはバンクある伝統のオーバル
ディトナでの開催話。テクニカル面で言うならオープン・ホィールマシン
(北米でのフォーミュラーカー名称)をバンク角度30度あるハイスピード
トライアングル・オーバル走行は危険のみならず「サージング(オイルがエンジン片方に偏る症状)抑えきれないデメリット克服出来ない」。よって
テキサス・モータースピードウェイのバンク角度やこの角度でコース全長
短いアラバマ・モーター・スピードウェイ、ミシガン・インターナショナル
スピードウェイというトライアングル・オーバルでしか出来ない。
*:アラバマはバンプ酷くオープンホィールは事故多く無理、またここに
ミシガンは交通便悪くキャンピングカー移動でないとお勧め出来ない。
 現地の知人より公開されていない情報で教わった新規レース場があの問題
会場になった「ラスベガス」である。当時のIRLはなぜか?会場を増えたか?
増やすのかは知らないが地図では探せない(PC普及していたが)変な状況
であった。オーガナイズというものがアマチュアの場たり的みたいだった
ものでCARTのほうがきちんとした(そうでないのも多々あったと取材経験
した方の弁)あるらしい。何でもオーバルで開催を、へ拘ったIRLはそこが
自滅するプロローグになると見える、エンジンサプライヤーより悲鳴出る
想定外はしていなかっただろうし。

”賢いGMブランド、時代と分野で使い分けるも”

IMSA等の耐久レースで現在のGM社は最高級車種”キャデラックブランドを冠
に着けている”。市販車FR方式の基本的性能特許はこの”キャデが保有である”。(だからキング・オブ・アメリカ車)
同じクラスの格下は前も記載したがポンテアック等を使う(NASCARしかり)インディ500のIRL時代はオーロラ・ブランドでオールズ・モビルに
ワークス時代はビュイツク(NASCARとIMSAで活躍)プライベーター
供給・使用の場合は「メナード・ブランド」で行う。(日本の無限ホンダ
みたいなもの)。しかしGMのスポーツ・ブランド”シェビー(日本語では
シボレー)”だけは全レースに参加、これはライバルのフォードに対抗と
影響大きい。
 フォードGT500&GT350(シェルビー・マスタング/ディトナ)は映画で
日本へファンも多い”エレノアというレプリカが有名”だがこのライバルは
シェビーZ28カマロである。日本ならスカイライン(日産)とセリカLB(ト
ヨタ)の位置関係かな?(レースで比較ならGT-Rとサバンナ・ロータリー)
 開発はイルモア等へ行わせ撤退や参加を繰り返してもシェビーブランド
でのインディ500参戦自体”ワークス供給”変わらない。ここがギブアップ
した時にHONDA-NAエンジン1本となっただけ。
*:厳密には開発期間等を必要としたもの、なので今が最低限の妥当な
状態でFORD等のサプライヤーは出て欲しいもの。FORDは相応な出て良い
環境(エンジン関係)必要と前に聴いているが今もそうなのかな?。

 今夏、ミッドオハイオ・スポーツカーコース(サーキット、北米HONDA
ホームコース)よりインディカーも電動導入マシンになったが最終的には
NASCARにて電子制御フェールインジェクションを絶対採用しないと主催者
強気だったが米国製はダメでエントラントのトヨタ・カムリ(米国名レクサス350)採用チームがテスト使用していた日本製デンソー社製にしたら正確
で正式採用になった、これはCART時代のポップオフ・バルブがHONDA製
(F-1技術、あれはケーヒン製かな?)と同じ道を歩むとインディカーでも
日本のレーシングカー・エレクトロニクス類はそうなると思う。
*:若い人々は失われた30年あるので日本へそんな力はない、と思い込む
のは甘い!世界を自分で見てから語って欲しい。こうした精密機械の部品
こそ日本の零細企業・下町企業の職人や社員しか造れない。

 従ってインディカーのエンジンサプライヤーよりHONDA抜ける噂が絶えないが抜けたら上記の理由で業界が昔へ戻り混乱する、最低でもHONDA
並みな精度高い日本エンジンサプライヤーいないと抜けないと思う。
(ルノー資本抜けるチャンスあった日産はそうならず終えたので参戦は
Eパワーあっても出来ないと見える、案外なのはトヨタ傘下のメーカー
自体がハイブリット技術あるので行けるノウハウあること。変な周囲
視線とか気にしなければ実は安い広告費&市場再開拓費用になる)。

 レギュレーション上は不可能だけど、全米へ熱いファン多い点も考慮
したら「ロータリー・エンジンの参戦を認可」させたら面白いだろうな。
現行のレギュレーションは間に合わない為、排気量スケールダウンして
いないがツインターボか?シングルターボを選べる設計だがロータリー
参戦OK条件にシングルターボのみで換算率も昔みたいなX1.4倍がいい
高速バトル&燃費が良くないと勝てないレースなのだから見たいファン
多いだろう。