見出し画像

赤い夢の世界について覚書。

ネタバレ注意です、はやみね既刊を大体読んだ記憶があるひと向け。
どうも、神山です。

 「都会のトム&ソーヤ外伝16.5魔女が微笑む夜」と「令夢の世界はスリップする 赤い夢へようこそ前奏曲」を読んで、はやみねワールドが収束に向かっていることに苦しんでいるみなさん、お元気でしょうか。今回は、自分用として作品世界の整理をざざっとしていこうと思います。絶対整理されないけど・・・。

作品の位相(メタレベル)について

まずは下図で混乱してください。

画像1

 ざっくり解説していくと、今ぼくたちが買って読んでる本は基本的にピンクか紫に含まれる世界のものです(紫と青が「令夢の世界~」によって初めて観測された赤い夢のパラレルワールド)。基本的にピンクのなかで全てのはやみね作品は接続しています。

 作中作として存在しているものがはやみねかおる名義で出版されている、という解釈が可能なものが「はやみねワールド内の作中作」という区分けのなかに描いているものです。しかし、その作中作については「ミステリ作家の自分でガイド/原書房」と「令夢の世界~あとがき」にて、赤い夢の世界の未来に同一世界のものとして現れることが明示されてしまいました。WHOについては遠い未来に宇宙人が遺した”ゴミ”の研究が進んだことで科学が進歩して顕現、内人の作りだしたキャラクターであるはずの美月が主人公となるディリュージョン社~についても顕現するそうです。……都会トム以降の世界、作品と作中作の境界を失っているような気がします(ディリュージョン社の設定自体が、小説を現実世界に再現する、という企業の話ですが、それよりも強度が高い「顕現」をしている?)。

 『令夢の世界はスリップする』は特殊例だと思うので、別の記事にて整理・考察することとして、これまでのはやみね世界=ピンクの範囲について整理していきましょう。

時系列について

 作品時系列について単著シリーズを合わせると色々ありますが、あまりにも多く、渋滞することが目に見えているので、基本的にシリーズ作品について整理していくことにしましょう。具体的には以下の6つ。
・名探偵夢水清志郎シリーズシーズン1
・怪盗クイーンシリーズ
・少年名探偵虹北恭助シリーズ
・都会のトム&ソーヤシリーズ
・モナミシリーズ
・ディリュージョン社シリーズ

 まず、基準として名探偵夢水清志郎シリーズシーズン1について考えます。これが岩崎亜衣ら中学生の入学~卒業までの3年間(+江戸末期が舞台の外伝)。計算しやすいように彼女たちが入学した年を仮に2000年とすると、
・名探偵夢水清志郎シリーズシーズン1:2000.4~2004.3
となります。これを基準として、他シリーズを年表に当て嵌めていきましょう。※実際は1990年代のどこか、シリーズ最初がオンタイムなら1994~と推定できますが、基準に幅があると配置しづらいのでこの3年間と仮定します。

 怪盗クイーンシリーズについてみてみましょう。といっても怪盗クイーン自身が不老みたいなものなので、あまり彼を年表に置くことに意味がありません(出生が江戸末期以後ということはわかっておりますが)ので、彼の仕事上のパートナーであるRDからシリーズの年代を考えるます。彼は『怪盗クイーンからの予告状(『いつも心に好奇心!』、『怪盗クイーンからの予告状 怪盗クイーンエピソード0』所収)』にて、夢水清志郎+岩崎三姉妹と邂逅しています。このとき、岩崎三姉妹は中学2年の春休み、つまり、2003年3月の物語です。基本的にクイーン・ジョーカー・RDが揃って以降の物語が怪盗クイーンシリーズなので、時系列としては
・怪盗クイーンシリーズ:2003.3~ 
となります。学校の卒業などもなく、一番長く活躍がシリーズで描かれている(不老だし)クイーンシリーズですが、あまりキャラクターのクロスもなく(クイーンが教授と会う時は大概サシだし・・・)、全体時系列のどこまで進んでいるのかの検討は別の機会にしましょう。

 虹北恭助シリーズについては、恭助が小学6年生~高校2年生(ハイスクール☆アドベンチャーが最後)の話なのでざっくりX年4月~(X+7)年3月までの物語。このXを求めるために夢水シーズン2の3冊目『名探偵と封じられた秘宝』から計算しましょう。このとき三姉妹は高校3年生なので2006年の話。このとき、恭助と響子には子供が出来ていて大体25歳くらい(20代半ばくらい、と表記)かな、と推定するとX+13なので、
2006=X+13⇔X=1993より、
・少年名探偵虹北恭助シリーズ:1993.4~2000.3
これを見ると、虹北恭助が一旦活躍を終えた後、夢水がバトンタッチするように虹北に来るんですね。

 都会のトム&ソーヤシリーズについては1巻から16.5巻の時点で、中学2年生ですが、あんまり他のシリーズとクロスすることがなく(基本的に夢水シリーズの人物か虹北恭助シリーズの人物とクロスしないと年代が決められない)、どこと決めることができませんでした。しかし『怪盗クイーンからの予告状』に出てくるRDの産みの親である倉木博士が、マチトム6巻『僕の家へおいで』のセキュリティシステムAKB24の開発者なのです。
やったぁ!AKB24、『名探偵と封じられた秘宝』の2006年には実用化されているので、それ以前であることもうかがえます。ので、2003年にRDを手離したあとAKB24を開発し、『僕の家へおいで』にてプロトタイプ、2006年の『名探偵と封じられた秘宝』で製品化していると考えると間をとって2005年あたりと置くのがよさそうです。
・都会のトム&ソーヤシリーズ:2005年

 続きましてモナミシリーズ、これは簡単で、マチトム外伝16.5巻にて高校2年生のモナミとマチトムメンバーがクロスしています。モナミシリーズ本編でのモナミも高校2年生ですので、完全にマチトムと平行していますね。
・モナミシリーズ:2005年

 最後にディリュージョン社シリーズについて。これは大分異色な作品で、主人公である森永美月はマチトム12巻『インザナイト』にて登場した登場人物(高校1年生=16歳)な筈。彼女が新卒社員=22歳として働き始めるところから物語が開始するので、2005+8=2013年。なんですが、『思い出の館のショウシツ(『謎の館へようこそ 黒』所収)』にて虹北恭助シリーズの響子と美月が友人であることが明かされます。……あれ?2013年の響子って前述の計算だと30歳後半では。あれれ???
そもそも森永美月、12巻の作中作の登場人物であり、現実世界の登場人物ではないということもあり、この世界の時系列・位相も謎なんですよね。
・ディリュージョン社シリーズ:2013年?????
 令夢の世界~のあとがきから、ディリュージョン社シリーズの配置がこの中では一番未来であることは確かなのですが……。

 ここまでの時系列をまとめたものがこちら。

画像2

 2000年はあくまで基準として設けただけですので、それぞれのシリーズ配置が何年前後しているのか、というのを見ていただければと思います。これだけあれば、風街先生の年齢から大中小やバイバイスクールの年代を推測したり(こわいのでやりませんでした)、快人と春奈がクロスしている年代からマジカルライフ組について考えたりできるかと思います。マインちゃんは2006年に小2で美緒と同級生なので、夢水シーズン2や復活!も置けますね。参考にしていただければと思います。間違いがあればご指摘いただきたく。

 一応作中に記載されていることをベタに信じて計算しているので、信頼できない語り手問題や、はやみね先生が何かしらの時間トリック(世代隔離とか)を用いていたりだとか、入れ子構造をメタ読みするだとか(作者内人説など)はあまり採用していません。ただでさえ”ゴミ”というかイルミナティによって世界は不安定ですし、モナミが時間割を勘違いしたら時系列は壊れちゃうので・・・。

なにはともあれ、この世界が滅びるまで、一緒に楽しみましょう。

ではでは。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?