見出し画像

星新一とアリス・マンロー

昨日noteを投稿したあと、サラサラと他の投稿を閲覧していたら、星新一さんについて書いているnoteをみつけた。嬉しくなって早速投稿してみた。

私も小学校の教科書で読んではまった一人だから反応してしまった。私が小学校の時に教科書で読んだのは「おーい、でてこーい」。

国語の時間にこの作品が出てきた時、面白くて続きが読みたくて、先生の話なんて全然聞かずにひたすら授業中に読んだのを覚えている。

しかし今思えば、小学生の私には最後の部分の本当の意味がよく分かっていなかった。

何年か前に、知り合いの日本語学校の校長先生から頼まれて本の紹介記事を書いた。バンクーバーに戦前からある日本語学校で、カナダ政府の強制収容政策を生き残った歴史的小学校。そこにはなかなかの図書館がある。

多くの書籍はコミュニティから寄付されたものだが、学校が購入するものもある。学校関係者でなくても会員になりさえすれば利用できるから、利用者も多い。

できればこの図書館にある本でということだったが、基本的にはテーマは自由。記事はバンクーバーの日本語雑誌への掲載用だった。

その時に選んだのが星新一さんの「おーい、でてこーい」。東日本大震災の何年か後で、カナダでは新政権が誕生し、環境問題がクローズアップされていた真っ最中でクリーンエネルギーとは何かが議論になっていたから、ピッタリだと思った。ちなみにカナダは原子力発電をクリーンエネルギーと位置付けている。

聞いてみると意外と知られていない作品だった。教科書に載っていたくらいだから、てっきり誰でも知っていると思っていた。だったらなおさらということで、図書館にあろうがなかろうがこれにすると決めた。

校長先生の話では、「もしテーマとして選んでもらった本が図書館にない場合は、学校で購入します」ということだったので、ぜひこの作品を図書館のコレクションに入れてもらいたいと願った。

その後、「おーい、でてこーい」が収められている星新一本が図書館に並んだかは確認していない。

それにしても、この作品の凄さは今になってみるとよく分かる。星新一さんの視点の鋭さに改めて恐れ入る。まるでそんな未来を予測していたかのようだ。作品紹介の時に読み直して背筋に寒いものが走った。

さて、星新一さんは日本を代表するショートショートの神さまだが、実はカナダにも短編作品で有名な作家がいる。アリス・マンロー(Alice Munro)さんだ。

カナダを代表する2大女流作家の一人で、もう一人は今乗りに乗っているマーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)女史。この人にはなぜか「女史」がよく似合う。

アリス・マンローさんの作品は調べてみるとずいぶん前から日本語訳が出版されているが、恥ずかしながら全然知らなかった。大学時代に英語をもう少し上達させたくて教授にお勧めの本はないかと聞いたら、彼女の作品を推薦された。

カナダ人なら必ず作品を読んだことがあると言われたから、もしかしてカナダの学校の教科書に載っているのかもしれない。

2013年にはノーベル文学賞を受賞。それほどすばらしい作品ということだから、カナダの人が推薦するのもうなずける。本人はあまり表に出たがらない人のようで、受賞の声を聞こうとしたテレビインタビューも電話でのみという恥ずかしがりようだった。

一方、アトウッド女史は現在The Handmaid’s Tail(侍女の物語)のテレビドラマ化が大ヒットして、メディアに出まくっている。

この侍女の物語は、大昔に日本語訳を読んだことがあった。コロッと忘れていたが、テレビドラマ化が決まった時のニュースを見て思い出した。

妙にタイトルと作家の名前をしっかりと覚えていたのは、のちにテレビドラマで大ヒットするほどの名作と思ったからではなく、内容が全く分からなかったから。次は英語で挑戦してみようかとも思うが、先にテレビドラマを見た方がいいかもしれない。日本語で読んで分からないものを英語で読んだからといって分かるとは思えない。

その前にアリス・マンローさんの作品を読む必要がある。教授にわざわざ聞いた割には、まだ一度も読んでいない。今度図書館から電子書籍で借りたいと思う。カナダの図書館の電子書籍の充実ぶりといったら日本とは比べ物にならない。この辺についてはまたいつか。

書いているとまた星新一さんの作品を読みたくなった。持ってきているかと思ったけど、本棚にないので日本に置いてきたらしい。こちらも図書館で借りなくては。バンクーバーの図書館には日本語作品も充実しているのだ。すばらしすぎる。


写真:ブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリア、マンローさんが住むバンクーバー島の先端にある。 by myself



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?