なぜ企業は会社に居座り続けるようになる人材を大量生産するのか

私自身企業に勤めて10年以上経過した。その中で人間関係と企業で勤めることのロジックが分かるようで分からないことが多く、「なぜこの人は仕事ができないのに偉そうな口を叩くんだろう」「なぜこの人は仕事ができないのに会社に残り続けて、優秀な人は立ち去っていくのだろう」と思うことが山のようにある。

本書では、マーケットバリューを思考法の軸として業界を選ぶことを推奨している。日本企業において考えてみると、どんな会社で自分がどんな働き方をするのか、雇う側も雇われる側も分からない状態でスタートして、会社としての業務スキルとしての評価基準を設けず、年功序列に重きが置かれ、正当に評価をされていない事で得をするのは、何となく会社で過ごす社員ということになる。

そして彼らは働いていないにも関わらず、社員がどうこう、給与がどうこうと不満を言い続ける。優秀な人材はどうなるかというとマーケットバリューが高い状態なので、他職種に行ったとしても、吸収力と周囲にコミュニティを作る事で、あっという間にその場に馴染むことができる。

さらにその業界だけではなく、興味をもって売る分野が幅広く、誰かのために力になりたいと思って仕事をしているので、周りに味方がつきやすい。

そのロジックが本書によって明かされる。マーケットバリューとは、技術資産×人的資産×業界の生産性によって導き出される。つまりどれだけスキルを持ち合わせていても、入る業界の選択を間違えていると、マーケットバリューは上がらない。

そして、本書が次に書いていることは、会社の主要なコンテンツも仕事のライフサイクルがあって、その賞味期限が切れると、どんなにその会社で働いても、会社のためにもならないし、自分のマーケットバリューも上がらないよと書かれている。

仕事のライフサイクルとは、①ニッチ ②スター ③ルーティンワーク ④消滅
という流れがどの会社も必ずあることに気付こうねと説かれている。さらに現代においては、機械化が進んでいるので、ルーティンワーク化がされればされる程、仕事としてもつまらないし、代替えが可能になっていく。

では、どうすればよいかというと、現在ある仕事において非効率である部分に目をつけて、それを改善してシェアを奪っていく方法がひとつ考えられるよと説明がある。

私が思いついたことだと、医療や福祉の現場において、かなり問題となっている高齢者の孤独死や健康問題がある。それを考えたときに、健康被害が出ることによって発生する病気に対して、医療現場は大切であるがそうなるもっと前段階に着目して、何かしらコミュニティの機能が持てるものや、福祉職、看護職の方が、病気になることを未然に防ぐことができる仕組みを作り、それを民間の仕事として請け負う仕組みを作るなど。

この視点は経営視点になるので、ロジックをつく事は少し難易度が高い。ゲームでイメージをすると、100万人が遊んでいるゲームで1番を目指すのではなく、いずれ100万人が遊ぶであろうゲームに一番乗りで乗り込むということになる。

すでに人が価値を感じている、知っているものに対しては、大した価値はない。
ダイヤモンドを必死に見つけるのではなく、将来宝石として価値が出るであろう事を予測して、そこに時間と資本をリソースとして提供するというイメージだ。

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