見出し画像

過多月経に抗プラスミン薬のトラネキサム酸は安全かつ有効ですか

〇はじめに


鉄欠乏性貧血において、鉄剤を使用しているのにも関わらず、Hb値、フェリチン値の改善が乏しい場合があります。

これは鉄剤不応性鉄欠乏性貧血と呼ばれ、鉄剤補充後4-6週でHb<1g/dLの上昇しかないことで定義されます。

この場合、持続性の出血の存在、過多月経(月経時の出血≧80mLで定義)、鉄吸収不良を考慮しなければなりません。


今回は過多月経に伴う鉄剤不応性鉄欠乏性貧血に焦点を絞り、過多月経に対するトラネキサム酸のエビデンスを紹介します。


ゆき 「さくら先輩、わたしも知りたいです。」

さくら「ゆきさん、一緒に見ていこう。」


〇プロローグ

Rp.  フェロミア®50mg         28日分

  トランサミン®2,000mg  月経開始時から 5日分


女性   貧血がなかなか改善しなくて、追加になりました。

薬剤師  貧血にトランサミン?


家庭教師 これは過多月経に対する抗プラスミン薬。コクランで13のRCTをメタ分析しています。


NNT4で過多月経を改善。1回の経血量を40~50%減少させ、QOLも改善。血栓症を増加させる証拠もありませんでした。


薬剤師  画期的ですね。

家庭教師 バイアスやサンプルサイズなど研究の質の問題はありますが、試す価値はありそうですね。

ここから先は

5,260字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?