治療と生活との落とし所を見つける(長い目で)

 やくそうです。今回は今までと路線を変えています。今までは根拠に基づいた医療の記事を書いてたのですが、医療に関する誤解を埋めていこうということで今回はこの記事を紹介します。

 患者さんから時折聞くのが上記記事のような医療に対する愚痴と言ったものです。これに対し、薬剤師としては「医療に悪い感情を持ってほしくない、何かあったときに根拠のある医療にアクセスするのを第一にしてほしい」という思いを持って、患者さんに接します。


 医師がとにかく「治療を優先してほしい」というのは、これまでの経験から、治療より仕事を優先して不本意な状態になっている患者さんをたくさん見ているから、医療の限界を嫌というほど経験しているからというのも大きな理由です。医師の立場からしても、治療を優先してほしいというのは当然のことです。患者が想像するよりも、医療にできることは多くないです。

 生活習慣病と呼ばれるものにしても、軽い状態にしておく、軽い状態を維持できる生活習慣を身に着けておく、というのは、将来別の病気になって大掛かりな治療が必要になったとしても、他の疾患がなければ、もしくは疾患による体の他の部分へのダメージが少なければ治療が成功しやすくなります。(健康な人であっても、高齢になれば体の機能は落ちます。病気があれば低下する程度がさらに大きくなります)

 治療の背景や今後の生活など、診察のときに患者さんの不安を解消する説明できれば上記記事のような疑問は少なくなると考えられますが、いかんせん時間がない。患者さんが多い上に診察にたいする報酬は決して高くありません。
 本来ならば治療と生活の落とし所を見つけて、その人の生活にあった効果的な治療をするのが双方納得し、効果も出ると思うのですが、そこまでできる時間がないのが現状です。
 一般的な治療法としての効果はそれほど高くなくても、患者さんが実践できれば、それはその患者さんにとっては効果的な方法です。

 今後、このあたりの解説をわかり易い言葉で、まだ患者ではない人たち、診察室に入る前の人達に発信できるようになれば、医療と患者の間のすれ違いは少なくなっていくであろうし、よりよい医療につながってくると思います。

 しかしながら、現時点ではサイトを持っていない診療所や薬局が多いことから、診療所や薬局に入る前の人達へのアプローチはまだまだといったところででしょう。

 個人的には、SNSやブログで広く細かい情報を発信し、ある程度身近な存在になった上でもっと個人的な話は薬局のカウンターに来て話を聞きたいと思っています。オンラインで指導する方法もあるのですが、情報を守る上でどうしても100%と言い切れないのが現状です。

 まずは、薬局のカウンターにお越しくださるといいでしょう。事前に、どのようなことで相談があるのか教えてくださると、それに合わせた資料を探し出して説明することができます。予約なしに来ることができるのが薬局のカウンターですが、準備ができていると、より一人の人にあった説明をすることができます。

 わたくし、やくそうもどこかの薬局のカウンターにおります。 

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