薬剤師エンジニアとしてオンライン薬局の開発に携わって2年経ったので今までやってきたことや学んだことを書く
株式会社YOJO Technologies」から「PharmaX株式会社」へ社名変更いたしました。この記事は社名変更前にリリースしたものになります。
YOJO Technologiesで薬剤師兼エンジニアをやっている加藤(@tomo_k09)です。2021年12月でYOJOで働き始めて2年が経ちましたので、この2年間でやった仕事や学びについて振り返りたいと思います。
この2年でYOJOでやった印象的な仕事
僕が入社した頃はまだちゃんとしたオフィスもなかったので、必要なことであればありとあらゆることをやってきました。
正直この2年が濃密すぎて全てを振り返ることが難しいので、特に印象に残っていることをこの記事では振り返ろうと思います。
薬剤師のリモートワーク体制の構築
YOJO Technologiesは「患者満足度世界一の医療機関になる」というミッションを実現すべく、LINEで医療相談や医薬品購入・服薬フォローなどを一気通貫で提供するオンライン薬局『YOJO』を提供しています。(2021年12月時点で友達登録は16万人越え)
オンライン薬局YOJOの開発に2年ほど携わってきたわけですが、特に印象に残っているのは薬剤師のリモートワーク体制構築のプロジェクトです。
薬剤師さんがリモートワークをするためのシステム設計や、どのようなシステムを開発すれば薬剤師がリモートワークをするのは法的にOKになるのかを行政の方とすり合わせをしたりと、薬剤師のリモートワーク体制を実現する上で非常に重要な仕事を経験できました。
「薬剤師のリモートワーク体制を作りたくて、こんなシステムを作ろうと思っているんですけど法的に問題ないですかね?」という話を初めて行政の方に持っていたとき、「は?薬剤師のリモートワーク?何それ?そんなの前例ないし、そもそも薬剤師がリモートワークする意味あるんですか?」みたいなことを言われ、薬剤師のリモートワーク体制を構築できなそうな雰囲気の中このプロジェクトは始まりました。
当時は行政からOKをもらうために薬剤師のリモートワークがどれだけ社会的に意義のあることなのかプレゼン資料を作って行政の方を説得しながら、リモートワークをするためのシステム設計をしつつ、物流チームの責任者として物流業務の効率化の仕事もするというなかなかハードな働き方をしていたので、行政からOKをもらってリモートワークのシステムがリリースされた時とはとても感慨深いものがありました。
(当時作ったプレゼン資料の一部)
育児・介護といったさまざまな理由で離職せざるを得なかった薬剤師さんは全国にたくさんいらっしゃいます。薬剤師チームのメンバーから「リモートワークをできて助かる」という話を聞くたびに「このプロジェクトに関わっている当時はしんどかったけど、自分が関わった仕事は社会的にとても意義のあることだったのだなぁ」と嬉しい気持ちになります。(まだまだ改善点のあるシステムですが、リモートワークでも薬剤師さんの力を最大限引き出せるようなシステムになるように引き続き頑張っていくぞ)
エンジニア採用
エンジニア採用もとても印象に残っている仕事の1つです。なぜこの仕事が印象に残っているかというと、単純にめちゃくちゃ大変だったからです。
サービスが大きくになるにつれてやりたいことがどんどん増えていくけど、手を動かす人が全然足りない。フルタイムのエンジニアメンバーである上野さん(@ueeeeniki)と僕はちゃんとした企業で開発者として働いたことがなくて圧倒的に経験不足。フルタイムで働いてくれる経験豊富なエンジニアの採用が急務でした。
しかし採用活動を始めてから半年以上経ってもそんな人が見つかる気配がなく、「さすがにそろそろ心が折れそうだぞ....」と思っていた時、業務委託として週に数回働いてくれていた尾崎さん(@FooOzaki)に「フルタイムで働いてください」と(半ば強引に)お願いしたところ、なんとYOJOにフルコミットしてくれることに!数々の有名スタートアップでキャリアを積まれていた尾崎さんはまさに我々が必要としていたエンジニアだったので、フルコミットしてくれることが決まった時は本当に嬉しかったです。
尾崎さんの入社が決まってから、竹内さん(@kenta_714)や古家さん(@enzerubank)、bonさん(@bontar0)といった優秀なエンジニアがフルタイムで働いていただけることも決まり、採用の進捗が芳しくなかった2020年とは打って変わり実りの多い1年となりました。
(開発合宿で撮った写真。こんなにメンバーが増えました。)
フルタイムで働いてくれるエンジニアが全く見つからない暗黒期を経験しているからこそ、優秀なメンバーが集まってきた今の状況がとても嬉しいです。 YOJOのエンジニアメンバーが想像している以上に、僕は今のメンバーと働けることを嬉しく思っております。本当にありがとうございます🙇♂️🙇♂️引き続きよろしくお願いします、これからも色々と教えてください🙇♂️🙇♂️
取締役で開発部門責任者の上野さんと2人で、Twitterに生息しているエンジニアアカウントへ泣きながらDMを送り続けていた日々が今となっては良い思い出です。(引き続き採用活動は頑張っているので、弊社に興味のある方はぜひ)
外部での登壇
僕は人前で話すのがあまり得意ではないのですが、YOJOに入社してから外部で登壇することを意識的にするようにしました。というのも取締役の上野さん(@ueeeeniki)が「サービスの提供だけでなく、業務から得た知見などを情報発信をすることによってそれが誰かの役に立つわけだから、情報発信も社会貢献の1つなんだ」みたいなことを以前言っていて、「たしかにな」とすごく共感した&オンライン薬局の開発に携わる薬剤師エンジニアとしての自分の経験は他の人にも役に立つかもしれないと思ったからです。
具体的にどんなお話をしたかというと、、、
ヤクミラボという薬学生向けのオンラインコミュニティでキャリアについてお話ししたり、プログラミング勉強会を開催したり、日本薬学教育学会という薬学部の教員が多く参加する学会で薬学部教育におけるIT教育の重要性についてお話ししたり、薬事日報さんに僕のキャリアについてインタビューしてもらったり、にいがたヘルスケアアカデミーという新潟の医療課題を解決するためのコミュニティでUI/UXの講義をしたり
などなど。(他にも色々やったけど長くなるので割愛)
この2年でたくさんお話しする機会に恵まれました。幸いにも「とても参考になりました!」、「またお話を聞かせてください!」というお声をたくさんいただけたので、少しは情報発信で社会貢献をできたのではないかなと思っています。
来年の頭には日本最大級のソフトウェア開発者のためのカンファレンス『Developers Summit 2022』に登壇する予定です。テーマは、「薬剤師エンジニアが語る薬局の今と未来〜」。少しでも興味のある方はぜひお話を聞きにいらしてください!
引き続き、情報発信活動には力を入れていきたいので、お仕事のご依頼等ございましたら加藤(@tomo_k09)までご連絡くだいませ。
この2年で学んだこと
YOJOで学んだことは数え切れないほどたくさんあるのですが、すでに3000文字ほどになってしまったので、これからの人生においても大事にしていきたいなと思った学びを2つだけ書こうと思います。(他の学びについてはいつかまた今度)
背伸びをしたチャレンジをすることが成長つながる
YOJOのようなスタートアップで働いていると、自分が今までやったことのない新しい仕事がどんどん降ってきます。
で、降ってくる仕事のほとんどが自分の持っているスキルセットでは対応できることではないんですよね。とは言っても「自分のスキルではできないからできません」では会社が前に進んでいかないですし、何よりそういうスタンスだとカッコ悪すぎるので「全速力で走りながら学んで仕事をする」みたいな2年でした。
この経験を通して思ったのは、背伸びしたチャレンジをすることが自分の成長につながるということです。仕事を通して自分が成長しないと結果が出ないわけなので。もちろんスキルや経験値が足りなくて大失敗することもあるのですが(↓の記事のやつとか)、「がむしゃらに頑張っていたらなんとかなったぞ...!!」ということもけっこうあって(リモートワーク体制の構築とか採用活動など)、振り返るとこういう時が1番成長できたなぁと。
1つ注意したいのが、ただチャレンジするだけではダメということです。「スキルもないし経験も浅いから失敗するかもしれないけど、とりあえずチャレンジしてみるか」というスタンスでは、爆発的な成長はできません。重要なのは「自分の能力では不十分かもしれないけど、なんとかするぞ...!!」と能力が足りないなりにうまくやってやろうという気持ちで仕事に臨むことなんじゃないかなと思います。
年齢を重ねると新しいことに挑戦するのが億劫になってしまい、自分が今まで培ってきたスキルだけで回せてしまう仕事をやりがちなんですが、こういう働き方をしているとできることの幅が広がらず成長が限定的になってしまうので、YOJO3年目も背伸びをしたチャレンジを意識して頑張りたいと思います。
準備をしておかないとチャンスはつかめない
2つ目の学びが準備をしておかないとチャンスはつかめないということです。僕は社長の辻さん(@YusukeZ2)からTwitterでお声がけしてもらって、薬剤師エンジニアとしてYOJOにジョインしました。
以前ある人にこの話をしたら「薬剤師エンジニアとしてキャリアを積める機会に恵まれて運が良かったですね」と言われました。まぁ運が良かったのはその通りなんですが、薬剤師エンジニアとしてのキャリアを歩めているのは運だけのおかげではないと僕は思っています。なぜかというと、辻さんにお声がけされる前に僕がプログラミングを独学で学んでいたからこそ、たまたま巡ってきたチャンスを掴めたからです。
こんど登壇するDevelopers Summit 2022に関してもそうです。Developers Summitの登壇者として選ばれるためには厳しい選考に通る必要があります(たったの10枠しかない)。この10枠に滑り込めたのは運が良かったというのも確かにあるかもしれません。しかし登壇者として選ばれるために「自分は学会での登壇経験もありますし、プロダクト開発の講義もしたことがあります!キャリアに関する講演もたくさんしています!だから登壇させてください!」とちゃんとアピールできたからこそ、今回のチャンスを掴めたと思っています。(要するに大きなチャンスが来る前に外部で話す経験をたくさん積んでいた)
その他にも「種まきをちゃんとしていないと、チャンスが巡ってきたとしてもそのチャンスを掴むことはできないんだなぁ」と思うことがこの2年で多々あったので、今後も来るべきチャンスに備えて普段から自己研鑽は怠らないようにしたいと思います。
一方で自分の課題も見つかっていて、それは来るべきチャンスの備え方に計画性がないということです。例えば「これからのこの組織はこういう方向に向かっていく。けど今の組織にはxxxをできる人がいないから、xxxのスキルを身につけておいた方が良いのではないか」みたいな成長戦略をちゃんと立てていれば、より多くのチャンスをつかみやすくなって、より成長につながるみたいな。YOJOはスタートアップだからこそまだまだ大きなチャンスがたくさんあります。これを意識できているか・できていないかで大きな差が出てくるはずなので、YOJO3年目はここら辺をもっと考えて日々行動していきたいと思います。
終わりに
濃密で良い2年でした!3年目も頑張ります!
YOJOでは仲間を募集中です!少しでも興味のある方、ぜひお話ししましょう!