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【新型コロナにも】手指消毒薬の種類と注意点~アルコール過敏症にはどれがいい?~

新型コロナウイルス感染症がまだまだ広がりをみせていますが、今回は手指消毒薬について書きたいと思います。

残念ながら全国的に消毒薬の欠品が続いていますが、皆さんは「正しい消毒薬」を選べていますか?
薬剤師からみて、「おいおい・・・」なんて思ってしまう商品もよく見られます。

「除菌」「殺菌」「抗菌」「薬用除菌」「消毒」

どれも一度は耳にされたことあると思いますが、どれを選べば良いのでしょうか?

選ぶ時に気をつけたいのは濃度です。

https://youtu.be/HYntVwav1Ic


市販手指消毒薬の主流成分は2つ

それは、エタノールベンザルコニウムです。

①エタノール
一般的にアルコール消毒と言ったらエタノールのことをいいます。
ほとんどの微生物に効果があり、新型コロナウイルスにも効果があります。
揮発性があり速乾で使い勝手が良いのですが、手荒れしやすいというデメリットもあります。
また、アルコール過敏症の方(アルコールアレルギー)の方には使用できません。
※アルコール過敏症の方でも使用できる消毒薬は後ほど書きますね。

②ベンザルコニウム
こちらは、一般的な細菌に効果がある一方、ウイルスに対してはあまり効果的ではありません。新型コロナウイルスにも効果は薄いとされています。
エタノールに比べて速乾性がないためよく擦り込む必要があります。
また市販されてはいるものの、用法によっては希釈濃度(薄めて使用するため)がことなるため、やや使い勝手が悪いです。
市販用では、エタノール消毒製剤との配合製剤が多いです。


オススメの手指消毒はエタノール!

使い勝手が良いのはやはりエタノールです。
といっても、エタノールが入っていればどれでもOK!というわけではなく、濃度が重要です。

エタノールが消毒効果を発揮するのに適している濃度は約70%と言われています。濃いほどよいというわけではないんですね。
この「約」というのが実に面白くて、65%でも75%でも効果はあまりかわりないと言われています。
ただ、濃度が50%以下だと、手指消毒の効果がほとんどありません。

糸アートをつくろう (7)

実際に店頭で手に入る純・エタノール製剤はこの3種類。
消毒用として購入するとしたら消毒用エタノールまたは消毒用エタノールIPです。
IPというのはイソプロパノールという成分で消毒効果もあるのですが、肌毒性と乾燥性(肌荒れ)がエタノールに比べて強いので、私はあまりオススメしません。酒税の関係で消毒用エタノールIPのほうがすこし安いですが、購入するとしたら消毒用エタノールにしましょう。

エタノールで乾燥・手荒れが気になる方には

エタノールは消毒効果に優れていますが、乾燥や刺激性がやや難点。市販用では、保湿効果のあるヒアルロン酸やグリセリン等を配合して、より刺激性・乾燥性を抑えた製剤もあります。

①手ぴかジェル

糸アートをつくろう (8)

手指消毒で一番耳にする商品ではないでしょうか。濃度は76.9~81.4vol%。
ジェルタイプの手指消毒剤で保湿成分ヒアルロン酸Naが配合されています。それでいて速乾性でべたつかず、サラッとした使用感です。
手ピカジェルプラスリン酸が配合されており、pHを酸性にしています。酸性にすることで細菌やウイルスの殺菌効果を高めることができます。

②ハンドラボ手指消毒スプレー

手指消毒スプレ

リン酸配合の製剤をもう一つ。こちらもオススメですね。濃度は76.9〜81.4vol%で、グリセリンが入っているため手荒れ予防にもなります。

③ラビショットA

ラビ

そしてラビショットもオススメです。濃度は 76.9 ~ 81.4 vol% で、添加物としてリン酸と、手荒れ予防のグリセリンも配合されています。

リン酸は除菌効果を高める
ウイルスは、脂質性の膜がある「エンベローブウイルス」と脂質性の膜がない「ノンエンベロープウイルス」の2つに分けられます。風邪やインフルエンザなどの「エンベローブウイルス」には、アルコールが効果的ですが、ノロウイルスやロタウイルスなどの「ノンエンベロープウイルス」にはアルコールは消毒・殺菌効果がないといわれています。
リン酸を配合し、酸性にすることでノンエンベロープウイルスへの殺菌効果を高めることができます。

石けんで手洗い後、消毒薬って使っていいの?

石けん手洗い+アルコール消毒で完璧!そう思っている方も多くいるのではないしょうか。
ですが、一点だけ気をつけてほしいことがあります。
それは、「石けん」の成分が残ったままで消毒薬を使うと、その消毒効果が低下するということです。
また、ひとりでしっかりと手を洗えないお子さんの場合は、手洗いさせるよりも手指消毒を使ったほうが効果的とする報告もあります。

保育所での手指衛生プログラムの有効性
Effectiveness of a Hand Hygiene Program at Child Care Centers: A Cluster Randomized Trial.
Pediatrics. 2018 Nov;142(5). pii: e20181245. doi: 10.1542/peds.2018-1245. Epub 2018 Oct 8.

「石けん」洗いをしたあとは、きれいに洗い流してから消毒薬を使うようにしましょう。

アルコール過敏症はなにがいい?

上記でもかきましたが、アルコール過敏症の方にはエタノールは使用できません。そんな方でも代用できるものがあります。

まずは、塩化ベンザルコニウム 
ドラッグストアで売られているので購入することができます。
ただし、希釈が必要なので少し手間ではあります。
※手指の殺菌・消毒の場合:ベンザルコニウム塩化物として0.05~0.1%
(本剤の100~200倍液)

キレイキレイ消毒薬やビオレU消毒スプレーなど、ベンザルコニウムが有効成分として含まれている製剤もありますが、エタノールも同時に配合されていたりします。
これはエタノールとベンザルコニウムのデメリットをお互いに補うためであって、素晴らしい配合製品ではあるのですが過敏症の方は気をつけたいですね。
私個人としては、ウイルスの手指消毒にはあまり使用しません。

糸アートをつくろう (9)

そして、もう一つはポビドンヨードです。いわゆるイソジンですね。

イソジン

イソジンは、うがい薬として有名ですが、含まれているポビドンヨードは手指消毒にも使用できます。しかも、効果はエタノールよりもウイルスに対する効果が強いとされています。
デメリットとしては、匂いや手指の乾燥顔には使用できないというところです。 手指消毒なので、顔に使用するということはないとは思いますが、小さいお子さんで目をこするなどあるかもしれません。注意しましょう。


消毒薬が手に入らない時は

消毒薬についてはなんとなくわかった!
でも手に入らないんだけどどうしたいいの・・・。

そんな時は、流水による石けん洗いでも感染を予防することができます。あらためてご自身の手洗いを見直してみてくださいね!

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引用元:SARAYA

こんな手洗い習慣化グッズもあります。30秒の手洗いって意識しないとなかなかできないですよね。
しっかり手洗いを習慣づけましょう。

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引用:シャチハタ

まとめ

・手指消毒には、約70%のエタノールが好ましいです。
オススメ商品は手ぴかジェルプラス または、ハンドラボ手指消毒スプレー・ラビショットA。中にはエタノール濃度非公開だったり、しっかりと明記されていないもものもあるので、よくみて購入しましょう。
・アルコール過敏症の方は、ベンザルコニウムまたはポビドンヨード製剤を使用しましょう
・どうしても消毒薬が手に入らない時は、流水による石けん洗いでも感染予防ができます。

ぜひ、ご活用ください。
それでは。

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