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第4話 真夏の暑さと冷たいうどん

パーキングエリアの自販機でソルティライチのボタンを押し、しばらくの間外の風に当たる。

冷房の効かないバスで、全員無事に長岡までたどり着けるのだろうか。新宿を出発してしばらく走り群馬県に入ったが、あと2時間はかかるだろう。

「とにかく水分と塩分をしっかり摂らないとね」
「ね。無事に着いて花火大会をみんなで楽しめたら、忘れられない思い出になるね!」

外よりも暑い車内に戻り、リュックから塩分タブレットを取り出して友人に渡す。今の私たちにできるのは、とにかく熱中症対策をしっかりとすることくらいだ。

全員が揃うとガイドさんが点呼をとり、バスが出発する……かと思いきや。

「皆さんにお知らせがあります。代わりのバスが手配できました……!少し先の大きなサービスエリアで待ち合わせて、バスの入れ替えを行います」

熱気のこもった車内に拍手が巻き起こる。15分間の休憩中、ガイドさんが必死になってバスを探してくれていたようだ。

待ち合わせのサービスエリアまで少し走らせ、代わりのバスが来るまで1時間の待機時間。時刻は15時。まともにお昼を食べていなかった私たちは、遅めの昼食をとることにした。

「夜までご飯が食べられないまあまあハードなスケジュールだったから、ここでご飯食べられてよかったよね!」と話しながら、うどん屋さんの列に並ぶ。

群馬県の名物らしい、平たい麺が特徴のひもかわうどんを受け取って席につく。熱くほてった体に、冷たいうどんが沁みる。この後は快適な環境で目的地まで向かえると思うと、途端に元気が湧いてくる。

サービスエリア内ですれ違った同じツアーのお客さんも、皆ほっとしたような笑顔で思い思いに待機時間を過ごしていた。

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