PGT-Aで5Mbのsegmental aneuploidyを検出する必要性


論文

Assessing the necessity of screening d 5 Mb segmental aneuploidy in routine preimplantation genetic testing for aneuploidy

要旨

現在NGSを用いて行われるPGT-Aの解像度は概ね10Mb程で、それよりも微細なsegmental aneuploidy(SA)となると、検出が困難になります。本研究では、PGT-Aの解像度を5Mbのsegmental aneuploidyを検出できるようにすべきか、検証しました。その結果、解析した963胚のうち、SAの発生率は15.1%(145/963)で、5 Mb以下のSAは2.3%(22/963)でした。14/22(63.6%)の5Mb以下のSAはde novo(両親は同じSAを持っていない)であり、7/14(50.0%)のde novo SAは病原性の可能性の高いSAでした。しかしながら、全体として5Mb以下のSAの頻度は低く、著者はPGT-Aの解像度を5Mbにする必要性はないと述べています。

方法

中国の研究者がよく用いているMALBAC法でWGAを行い、shallow WGSしてコピー数の増減を決定しています。5Mb以下のSAを検出するために、ウィンドウサイズ200Kbに設定して計算しました。以前の論文で、この手法で約1Mb程度の微細なSAを高い正確性で検出できることが示されています。

結果1. 解像度1MbのSAの検出

合計346人の患者から963個の胚をSAの検出ために使用しました。まず、既知の微細欠失、もしくはび微細重複症候群(1.4-1.6MbのCNV)を有する家族のPGTの結果、胚にも同じCNVが遺伝してるか確認する事で、この手法の有効性を確認することができました。さらには5Mb以下のCNVを持つ不均衡転座の症例や羊水検体を使用して、この手法のバリデーションを行いました。

結果2. 胚盤胞におけるSAの頻度

963個の胚盤胞のうち、15.1%(145/963)がSAを持ち、2.3%(22/963)が5Mb以下のSAを持っていました。SAのサイズは1.0-130.6Mbの範囲にあり、中間値は34.8 Mbでした。染色体分布では、SAは1、4、6、X染色体に多く、5Mb以下のSAに限定しますと、17とX染色体に集中しました。5Mb以下のSAは主に長腕に多く、欠失が多く、また染色体の末端に見られることが多かったです。

結果3. 5Mb以下のSAの遺伝と臨床的解釈

22個の5Mb以下のSAを特定しました。5Mb以下のSAの大部分はde novo CNV(14/22、63.6%)でした。14個のde novo SAのうち、50.0%(7/14)は病原性のCNVとして分類され、残りは病原性不明として分類されました。

結果4. 再解析

Mb以下のde novo SAのうち35.7%(5/14)は再解析では同じSAが検出されませんでした。この不一致は、これらの新生5Mb以下のSAが胚盤胞の限られた数の細胞にのみ存在していることを示唆しています(本当かな?)。

まとめ

結果1で5MBのSAを正確に検出できるか検証実験をしているけども、結果4で、再解析した結果、5MbのSAの5/14でSAが見られなかったというので、この手法の正確性に疑問があります。ともかく5MbのSAを検出するためには、NGSのデータ量を従来の手法よりも多くする必要があります。その結果、解析コストも高くなるわけですが、そこまでしても5Mb以下のSAはほとんどないし、検出したとしてもそれが病原性のものか調べるためには、両親にも同じSAがあるか調べる必要があるし、そもそもこの手法で正確に検出しているのか、それともアーチファクトで偽陽性でSAを検出しただけなのかよく分からないので、現状では5Mb以下の微細なSAを検出するPGT-Aはそこまで必要性を感じないということでしょう。

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