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「生体販売」というビジネスモデルが成り立ってしまう4つの理由

こんにちは。「生体販売」というビジネスの抱える問題について、どうしても発信したいことがあり、この記事を書いています。感情論だけではなく、数字のデータも見つつまとめています。ご意見やコメント頂けると嬉しいです。

なお、本文の中にはブリーダーさんやペットショップに対して少し否定的な表現をしている場合がありますが、問題のある「生体販売」をしている業者は一部のパピーミルです。命に向き合う献身的なブリーダーさんが沢山いるという大前提で読んでいただけたら幸いです。

1匹10万円で売られる子犬。あなたは何を思いますか?

ペットショップやブリーダー検索サイトでは、1匹数万円〜数十万円で子犬が売られています。人によっては高いと感じるかもしれませんが、私はこの金額があまりにも安すぎると思います。

「家族」となる命の価格としては安すぎるという感情面の気持ちもありますが、今回は「ビジネス」面から見ても安すぎるというお話をします。

理論上は赤字になるはずのビジネスモデル

下の図は、1匹の繁殖犬が一生涯に生み出す利益を表しています。

1匹の繁殖犬は、生涯に6回まで出産を行います。また、一度の出産で約4匹子犬を出産します。よって1匹の繁殖犬は生涯で24匹の子犬を産むことになります。
仮に新しく生まれた子犬が10万円で売られる場合、10万円×24匹=240万円の売上となります。

一方で、犬1匹を育てるためのコストは年間20万円弱と言われています。また寿命は15年となります。よって1匹の繁殖犬を最後まで育てる場合にかかるお金は、20万円×15年=300万円となります。

このように、単純計算上は、繁殖犬1匹が生み出す利益は240万円ー300万円=ー60万円で赤字となります。

それでも生体販売が成り立っている4つの理由

ブリーダーやペットショップが利益を出すためにコントロールしている要素は4つあります。

1つは売価です。子犬の販売価格が10万円では赤字ですが、仮に50万円で販売すれば十分に利益が出るためビジネスとして成り立ちます。ですので、健全な経営をしようとすると10万円の販売価格では難しいのです。

2つ目は出産回数です。環境省は出産回数の上限を6回と定めていますが、パピーミルなどは裏で7回以上の繁殖をさせるケースも存在します。これにより子犬の販売数を増やし売上を上げます。
これは違法ですし、何より繁殖犬へ負担をかけてしまうため本来許されないはずです。

3つ目は飼育費です。飼育費を減らすために、劣悪な飼育環境で育てられたり、病気になっても十分な治療を受けられない子達がたくさんいます。
あまりにも酷い話なので、ここでは割愛しますが、以下のようなケースもあります。

そして最後4つ目が、飼育年数です。繁殖犬を最後まで大事に育てると300万円かかりますが、繁殖が6回済んだ時点(例えば5歳の時点)で捨ててしまえば、飼育費を100万円に圧縮できます。
つまり繁殖犬を捨てる前提でビジネスを行うということです。これではあまりにも残酷ですし、これではあまりにも辛すぎます。
ですが、このケースはとても多く見られます。実際保護犬たちを見てみると、繁殖犬出身の子がとても多いことが分かります。

生体販売の問題に対して私たちができる事

ペット業界は多くの闇を抱えていますが、今回見てきたように「ビジネスモデルとして儲けることが難しい」というのが、様々な問題を引き起こす原因だと思っています。
儲からないから、子犬や繁殖犬が捨てられてしまいます。
儲からないから、劣悪な飼育環境で育てられることがあります。

そしてこの問題を唯一健全に解決できる方法は、「子犬の販売価格」を上げることだけなのです。それ以外の方法は子犬・繁殖犬の犠牲や負担無しにはコントロールできないのです。言い換えれば、犬の代わりに私たちが痛みを負うということです。

私たちができることは、多少高いと感じる価格でも、命にちゃんと向き合っている信頼できるブリーダーさんたちから、子犬を譲り受けることだと思います。

最も健全で許容できる生体販売のビジネスモデルは「飼い主を募ってから、繁殖を始める方法」です。この方法であれば、売れ残ることがないです。
(とはいえい、「産ませる」という行為自体の賛否はあると思います)

終わりに

最後まで読んで頂きありがとうございました。
肯定的な意見・否定的な意見、その他何か思うことがあれば、是非お考えをお聞かせください。
必ずしも一つの正解があるテーマではないと思うので、色々な意見を出し合いながら、一つでも多くの命が幸せになる世界を作っていきたいです。

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