石原智子

栃木県宇都宮市で「ココロ ツムグ研究所かげいろ」として活動しているフリーライターです。…

石原智子

栃木県宇都宮市で「ココロ ツムグ研究所かげいろ」として活動しているフリーライターです。人の想いや人生のストーリーを聞いて紡ぐのが大好き!SPトランプ®アドバイザーとしてカウンセリングも行っています。 https://kageiro.com/

最近の記事

その犬は頭がよくて、思いやりがあった。 心が弱かった。 考え方がすごかった。

魅力的な文章が書きたい。 文章を書くことで多少なりとも報酬を得ている身としては、切実な願いだ。正しいことをきちんと論理的に伝える文章は、練習すればそれなりに書けるようになるけれども、私が憧れるのはそのようなものではない。 たとえ文法的にはちぐはぐな部分があったとしても、なぜだか心惹かれ、ずっと記憶に残るような文。 すぐれた小説家やエッセイストたちが紡ぐそのような文章は、凡人の私がどんなに努力しても生み出すことはできない。 ところが。 そのような文章を書く人がいた。私の

    • 4人家族で参加したキナリ読書フェスは最高のイベントだった

      約1か月前、家族で書いた「くまの子ウーフ」の感想文を、最優秀賞に選んでいただきました。 賞をもらうなんて小学校以来だから、すごく嬉しい! このキナリ読書フェスは、私にとって、それはそれは楽しく意義のあったイベントだったので、そのことを書いておこうと思います。 キナリ読書フェスを知ったとき、インターネットを通じて、同じ時間に、全然知らない人たちで同じ本を読むだなんて、何だかすごくワクワクする!と、岸田さんの企画力に驚きました。 そして課題図書を見て「くまの子ウーフ」を発見し

      • ウーフ先生に教わったこと

        哲学的なものが好きだ。出身大学は文学部哲学科、好きな作家は又吉直樹さん。よく言われる言葉は「考えすぎ」。 そんな私にとって、ウーフは気になる存在だった。「めっちゃいろいろ考えるクマらしいぞ」。そんなウワサがいろいろなところから聞こえてきた。え?あの顔で!?人はギャップに萌えるものだ。 くまの子ウーフ…ちっちゃい目の、気になるあの子のお話をいちどきちんと読んでみたいな、と家族を誘ってみた。 一緒に読むのは小6娘、小3息子、夫。今回は、(「おやつ食べながら読書感想文書こう」の

        • 自宅が“映えない”整理収納アドバイザーのこれからの仕事術

          整理収納アドバイザーとして仕事をいただいているのに、自宅の収納の中は決して美しくない。この一見相反する事実を、私はおおっぴらにしている。 私が仕事をする上で大切にしているのは「自分をさらけ出す」ことだ。それって結構勇気がいる、でもラク。そんな相反する私の中の感情に気づいたのは、そんなに前のことではない。 整理収納アドバイザーの自宅っていつもキレイなんでしょ!? 私は「片付け相談所かげいろ」という屋号の元、個人宅の整理収納サポートに伺ったり、新築時の収納計画のお手伝いをして

        その犬は頭がよくて、思いやりがあった。 心が弱かった。 考え方がすごかった。

          給付金で最高の階段裏練習場を作ってもらった件。

          もしも、息子が通うクライミングジムがなくなってしまったらどうしよう。 コロナの影響で学校も休校になり、家にいる日々が続いていた頃、私の心はざわざわしていた。自粛の波が押し寄せ、息子がお世話になっているクライミングジムの先生兼オーナーさんのSNSから、経営が厳しそうなことがひしひしと伝わってきていたのだ。 泣いてばかりで私のそばから離れなかった息子に、変わるきっかけを与えてくれた「ボルダリング」という競技と、ホームジム、そして先生たち。 息子にとって大切な居場所であるクラ

          給付金で最高の階段裏練習場を作ってもらった件。

          馬に乗って感じた「ゆたかさ」の正体

          例えば美味しいものを食べたときや、ちょうどいい温度のお風呂に入ったとき。「しあわせ~」は口にしやすい言葉だ。 しかし、私はいまだかつて「ゆたか~」と言っている人に出会ったことがない。 これって、「ゆたかさって何だろう」と考えるときの、大きなヒントになるのではないだろうか。ゆたかさってリアルタイムで実感することが難しいもの。そんな仮説を立ててみた。 あれは確かに「ゆたかさ」を感じた出来事だった 自分にとって「ゆたかさ」を感じたときを思い出してみた。真っ先に思い浮かんだのが

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          我が子がボルダリングにハマったら

          親バカ、とはよく言ったものだ。 大抵の親は我が子に対してバカであるが、そこにスポーツが絡むと、そのバカの度合いが倍増する。全国大会に出場するほど能力が秀でているわけでもない我が子をこんなにも真剣に応援し、一喜一憂できるのだから、スポーツというのはものすごい魔力を持っている。ボルダリングに励む息子を持つ私は、まさにその魔力に取りつかれているようだ。 水を得た魚ってこのことか 今年小3になる息子が、近所のボルダリングスクールに通い始めて丸2年が過ぎた。 この子は小さなころか

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          父が残した言葉

          親がまさに人生の最期を迎えようとしているとき。「ご家族さん、話しかけてあげてください」と言われて、今までの感謝とか、愛情とか、思い出とか、余すところなく言葉にできる人は、いったいどのくらいいるのだろう。 87歳の父が亡くなる30分前、老人介護施設の父の部屋に到着した私は、結局亡くなるまで「お父さん」としか言えなかったし、50年連れ添った母も「お父さん、智子、来たよ」としか言えなかった。映画のワンシーンみたいに、言葉が溢れ出たらいいのに、と私はどこか他人事のように思った。

          父が残した言葉