マガジンのカバー画像

物語

26
運営しているクリエイター

2023年10月の記事一覧

物語【絶望への秒読み】番外編②

物語【絶望への秒読み】番外編②

僕が小学2年生の時に伊賀咲家はこの町に引っ越して来た。伊賀咲夏陽に出会ったのはその時だ。

第一印象はしゃべらない暗い感じの女の子だった。夏陽とは同じクラスだったが、当初不登校になっていて、学校には来ていなかった。

僕は時々、夏陽の家に様子を見に行っていた。

夏陽ー!遊ぼー!

僕が夏陽の家の前で叫ぶと、おじさんがいつも謝りにくる。「太洋君ごめん。今日も調子が悪いみたいなんだ。。。。」僕は仕方

もっとみる
物語【絶望への秒読み】最終話

物語【絶望への秒読み】最終話

半年ぐらい経ったある日、いきなりシェルター内にスマホの着信音が鳴り響いた。

食料や飲み物が尽きかけ、僕達はぎりぎりの生活をしていた。死を覚悟したこともあるが、好きな人と過ごせた半年間、僕は神様に感謝すらしていた。

着信画面を見た僕は驚いた。

慌てて出ると懐かしい声がした。

「手短かに話す。話終わったら電源を切るんだ。」

父さんと母さんは!

「、、、、分からない。今、家か?」

あぁ。

もっとみる
物語【絶望への秒読み】第十三話

物語【絶望への秒読み】第十三話

あれから1週間が経った。

ドアは相変わらず開くことなく、スマホも繋がらない。さすがに何かあったと僕達は思っていた。

せめてもの救いはパールが一緒にいたことだ。たまに変な行動で僕達を笑わせてくれた。

「どうなるのかな。。。お父さん達に何もなければいいけど。」さすがに夏陽も不安になってきたようだ。

とりあえず、待つしかないか。。。何かないかな、遊べるもの。

パールのおもちゃばっかりだな。おっ

もっとみる
物語【絶望への秒読み】第十ニ話

物語【絶望への秒読み】第十ニ話

僕と夏陽がシェルターに入った直後、父さんとの通話が途切れ、ドアは開かなくなった。

外で何か起きたのか。ただの通信障害なのか。隕石の衝突が早まった?僕の脳裏に不安がよぎる。

「大丈夫。明日になればドアが開くよ。」夏陽が言った。

そうだな。そうだけど。

「さすがに隕石が落ちたら、音とか衝撃とかあると思わない?」

確かに、そうか。

しばらく沈黙が続いたあと夏陽が話し始めた。

「お母さんが病

もっとみる