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ビジネスマンにこそ森林浴をオススメしたい理由。実体験に科学的根拠を添えて。

「リケジョのコンディショニングコラム 006」
このコラムは東工大出身のリケジョ、製薬会社勤務を経て現在はヨガインストラクター、そして0歳児の育児に奮闘中であるEriが、科学の視点も踏まえて、ベストパフォーマンスを発揮するためのヒントをお伝えしていきます。

今月のテーマは「森林浴

先日、久しぶりにプチハイキングをしたら、空気は美味しいし、景色は壮観、心も身体もとっても満たされてきました。

都会で仕事をしているビジネスマンにも“森林浴”をオススメしたい!ということで、今月は森林浴について、私が実感した効果を、科学的根拠を添えてご紹介します!

「空気が美味しい」を科学的に

ハイキングの目的地に着いて、最初に感じること、それは「空気が美味しい!」ということでした。

高原や森に行くと感じる、思わず深呼吸したくなる独特の香り、心地の良い空気感ってありますよね。

排気ガスなどの汚染物質がないからかな?と思っていましたが、それだけではないようです。

排気ガスには、様々な物質が含まれますが、中でも多いのが二酸化窒素。光化学スモッグやPM2.5に関係する物質であり、人にとっても、木にとっても、老化の原因になる有害な物質です。

木は、この有害な二酸化窒素から身を守る術を持っています。それが、木から放出される「フィトンチッド」、樹木の香り成分の正体です。

フィトンチッドは二酸化窒素と結合すると、大きな粒子となり、地面へ落下します。こうすることで、樹木自身に二酸化窒素が触れるのを防いでいるのです。

更に、フィトンチッドと二酸化窒素が結合してできた化合物は、土にいるバクテリアによって分解されて、樹木の栄養になるという良く出来た仕組みです。

森林浴で心と身体をととのえる

フィトンチッドは人体にとって、香りが良いだけでなく、心にも身体にも良い効果があることが科学的に示されています。

心に関する効果で言えば、「緊張・不安」「疲労」が緩和し、「活気」が出てくるとか。

実際に、自分の心にそのような変化が起きたら、仕事の生産性や生活の満足度が上がることが想像できますよね。

森林浴を行うと、心と同時に身体にも変化が起きています。

ストレスを感じると分泌される代表的なストレスホルモン、コルチゾール値が都市部にいるよりも低い値になることも示されているのです。(下記参照)

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ありすぎると困る、でも、なくても困るコルチゾール

さて、コルチゾールが減ると何が良いのでしょうか?コルチゾールは悪者にされがちですが、実は私たちにとって、なくてはならないものです。

コルチゾールが分泌されるお陰で、朝に目覚めることができ、身体内に炎症が起きれば、それを鎮め、身の危険を感じれば「火事場の馬鹿力」の源になる大切なホルモンなのです。

“ストレスホルモン”という別名によって悪者のイメージがつきやすいですが、これを聞くとコルチゾールにも感謝したくなってきます。

問題は、慢性的ストレスによって交感神経優位の状態が続き、コルチゾールが過剰に分泌されている状態が続くことにあります。

こうなると、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や、免疫力の低下、脳の萎縮など、様々な不都合を引き起こしてしまうのです。

つまり、“なくては困る、でもありすぎても困る”のがコルチゾールです。何事もバランスが重要ということですね。

日常から離れた森でオフを過ごす意味

日々、仕事や家庭に一生懸命取り組んでいると、コルチゾールが多く分泌される機会があるでしょう。

それ自体は悪いことではないですが、ずっとコルチゾール値が高い状態が続かないように、リセットする時間を持つことが大切です。

コルチゾール値を低下させる効果があるものは、森林浴の他、有酸素運動やヨガ、カラオケや泣くことなど、数多くのものが知られています。

どれでも自分に合ったものを行うのが一番ですが、森林浴は普段生活している場所から離れるという点、五感を全て使うという点で、大きなメリットを感じました。

普段、ストレスを感じている場所から物理的に離れると、「イライラ」や「不安」「怒り」といった、手放したい感情とも距離をとるきっかけになります。

更に、五感全てを自然に囲まれることで、“素の自分”に気付きやすくなると思うのです。

現代社会を生きていると「○○会社の社員」である自分や、「パパ/ママ」である自分、といった役割・肩書きに縛られていることってありませんか?

役割や肩書きを遂行することに精一杯になっていて、「ところで、本当は何をどうしたいんだっけ?」と自分自身が迷子状態になってしまうことも…。

自然に囲まれることは、「自分自身も自然な状態に帰る」きっかけになりやすいのではないでしょうか?

そして、オフの時間に「役割・肩書きを脱ぐ」ことが、オンの時間をより充実したものに導くような気がしてなりません。

毎日子育てで追われて“大変”ばかりが積もってしまった時、少し子どもと離れてから再会すると、「我が子がめちゃくちゃ可愛く見える現象」に似ているかもしれませんね。

今回のコラムでは詳しく触れませんでしたが、フィトンチッドはコルチゾール値が下がるだけでなく、交感神経の活動・血圧・脈拍数の低下、抗がんタンパク質や免疫の増強といった生理的効果も示されているとか。自然の恵はすごいです。

ととのえでは、長野県立科のフィトンチッドの香り漂う森にて、キャリア開発やチームビルディング、マネジメント品質向上などのワークショップを企画中です。リリースをお楽しみに…!

参考

1)Li Q et al. Int J Immunopathol Pharmacol. 2008;21(1):

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ととのえサポーター 尾賀 絵里
(インストラクター・ヨガリサーチャー)

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ととのえでは働く皆さんの「身・心・場」をととのえ、パフォーマンスを上げて社員のQOLと業績向上を同時に目指す様々な商品、サービスをご提案しております。詳しくはHP(https://totonoestyle.com)をご覧ください。

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