格闘家のフィジカルって何を上げたら良いの?
アスレティックパフォーマンスコーチのタケダイグウジです。
先日『X』にてMMAファイターのフィジカル強化で優先的に何を高めたら良いのか、その指標が書かれている表をアップしました。英語で書かれているのと専門用語が多いので分からない選手やコーチもいるかなと思い解説していきます。
以前より体力テストをしてみようだの
ジャンプ力高めようだの
それらしいこと書いてますが、結局フィジカル上げるために
いつ
なにを
どれくらい
トレーニングすべきなのかを知るために
基準点として『今』のフィジカルレベルがどれくらいあるのかを知るためにテストしましょう、ということで下記の表から特に重要なのを説明していきます。
この表を含む膨大なデータはお馴染みのUFCPIのジャーナルから。コチラからダウンロード可能です。
フィジカル強化の重要性とは?
そもそもMMAファイターってフィジカルを高めることって重要なのでしょうか?
僕の立場からすると100% YESでしかないのですが、いざ金網の中入ってタイマンで対峙して5分×3ないし5ラウンド殴って蹴って、組んで、倒して、絞めてを繰り返すんで相当大変です。
スタミナだけ?
パワーだけ?
が必要な時代ではなく、世界トップのUFCでは包括的に色んなパートを高めましょうと推奨しています。
フィジカルレベルがたった数%変わるだけで、練習してきた技が速く正確に何度も出せるようになる可能性が上がり、僕の様にムーブメントやステップの指導も加えていくとより安全に競技に取り組める様になります。
今一度UFC Performance Instituteでおこなっているフィジカルテストの表を確認しましょう。
僕が重要だなと感じて赤枠で囲っている種目が下記の通りです。
カウンタームーブメントジャンプ(垂直飛び)
荷重カウンタームーブメントジャンプ
アイソメトリック・ミッドサイプル
3分バイクテスト(解糖系メイン)
VO2maxテスト(バイクorトレッドミル)
どういうことするのか一つずつ解説していきます。
カウンタームーブメントジャンプ
これの1つ目、普通に垂直跳びです。おそらくUFC PIでは腰に手を置いたまましゃがんでジャンプor最初からしゃがんだ状態スタートでジャンプしています。これで爆発的に身体を動かせるのか分かり、昔なら〇〇cm跳べたみたいな感じで計測してましたが、今は加速度やパワー、その他、どれくらい速くしゃがめるか、切り返しからどれくらい速く跳べるか等々、計測できる数値は多いです。
荷重カウンタームーブメントジャンプ
上記のジャンプにバーベル担いで跳びます。
体重の15%、30%、60%の重りを担いで跳んだ時のジャンプ高、速度、連続なら切り返し速度でバネを計測します。
体重だけの時と比べてどれだけ速度や高さが落ちないのかで筋力とのバランスを見ます。
あからさまに高さや速度落ちてる選手は筋力ないよという指標になります。
細かく毎回計測するのは選手の負担になるので、僕がトレーニングに組み込むときは負荷も上げるために体重の50%、100%、&+αで測りながらどれくらいなのかを見極めます。
アイソメトリック・ミッドサイプル
日本人だと体育の時間にやったことがある背筋力テストのイメージです。このテストも優秀なのですが、膝伸ばして仰け反るテストなのでちょっと変わってしまうかな。
実際はこんな感じで膝曲げて浅いスクワットみたいな姿勢で全力で地面押したときの力を見ています。
トレーニングで組み込むこともあります。
スピードor力orパワー?
なぜこのような数値を測るのかというと、選手によって力は強いけどスピードないな、スピードあるけど力がないな、バランスよく能力高いなとこれらのテストで見ることが出来ます。
よく使われるこの表は縦軸の力(Force)と横軸の速度(Velocity)になっており、力つけたいならスクワットやってね、速さ高めたいならダッシュしたりバネ高めるエクササイズしてね、とざっくり分かれてます。
これにバーベル用いた重量挙げ種目の様なエクササイズを当てはめた表です。実際はチョイスするエクササイズよりも重量で変わってくることが多いので僕もクリーンやハイプルを重量を変化つけてどの辺りをどの時期に高められるのか工夫しています。
なので
ベンチプレス100㎏?
スクワット150㎏?
トラップバーデッドリフト200㎏?
so what?
なのです。
僕らはパワーを高めるため真ん中周辺の赤枠のところをバランスよく矢印の方向に伸ばして、ハイパワーを出せる状態に持っていきたいので、選手によって何が弱いのかを知りつつ強化をする必要があります。
次に持久系のテストです。
3分バイクテスト
海外なのでWATTBIKEでおこなっていると思います。元々テスト種目としてアプリに入っており、ゾーン6で回し続けろという限界を出せという非常に辛いテストです。
実際におこなっている動画がこちら
これは凄い数値で回し続けてるので専門のアスリートだと思います。
このテストではどれだけ身体の糖を効率よく使えてスピードやワット(負荷×速度)出せるのか、その時の最大心拍はどれくらいなのかを出します。僕は+リカバリー心拍(終わった後1分後心拍)も見ます。
ちなみに、たまーにエニタイムフィットネスにも置いてある店舗があり、僕も久しぶりにおこなったら脚が痙攣して、降りてからしばらく動けず吐きました。。。。
最大酸素摂取量テスト
ベインみたいなマスクしながらトレッドミルやバイクで最初はダラダラと走りながら少しずつ強度を上げていき最大酸素摂取量を計測するテストをおこないます。こんな感じでおこないます。
正直このマスクがべらぼうに高くて、ワイヤレスのだと150万とかするので手が出なかったので、同時にテスト出来る以前書いたようなテストを推奨していました。
この2つのテストは持久力を測るので、上3つの全身のパワーを測るテストと合わせて包括的に「今の自身のフィジカルレベル」が分かるというわけでその後の方針が決まってきます。
肝心のフィジカル強化は何するの?
普通に全身使う筋トレして、クイックリフトして、走っていれば強化出来ます。
そこにテストで露呈された自身が改善すべきパートを伸ばしていきます。
SNS見てるとやたらと捏ねたエクササイズ披露して興味をそそらせるというのがありますが、マトモなコーチなら結局はシンプルなエクササイズ処方してます。
スクワットで体重の倍挙がるのは素晴らしいことですが、アスリートはパワーリフターではないので逆にパフォーマンス落ちる可能性もあるということを常に頭に入れておきましょう。
また、フィジカル強化はあくまでも補強ですからそこまでの時間は割けないし、割くべきではないので、長時間の筋トレも避けつつ効率を上げていきましょう。
実際の種目設定や頻度などは専門のコーチに習ってください。
僕に習ってみたいという方は下記までお問い合わせください。