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【運命を演じてくれないか】について

2024年6月30日発行 【運命を演じてくれないか】

〔2024年6月発行の本【運命を演じてくれないか】について〕

2024年6月30日 『悠久の超新星』新刊 R-18 
悠脹小説本 【運命を演じてくれないか】
カバー付き文庫サイズ(A6) 514P 22万字程度
計6章からなるオメガバースパロディ本
(内1章、2章はWeb公開済

カバー・表紙・本文中扉・事務ページデザイン:さち様(@sachi_work)

印刷所:Print-on

加工:RGBカラー小口印刷(25mm)
   カバー全面盛り上げ箔押し(レインボーシルバー)
   (再版分:クリスタルシルバー)
   カバーマットPP+白印刷
   表紙リバーシブル印刷
   表紙クリアPP


カバー:ジュエルペーパー 110kg オーシャンブルー
表 紙:ジュエルペーパー 195kg アクアマリン
本 文:淡クリームキンマリ 72.5kg
遊び紙:虹彩パールトレペ サファイア

余白
天:14mm
地:10.5mm
ノド:19mm
小口:10mm
ヘッダー:6mm
16行×41文字
(※ヌリタシ無設定版※)

【運命を演じてくれないか】:他者から与えられた、こう生きよという運命という役を降りる時、幕が閉じた後どう生きるかという意味でつけました。
運命なのに演じるというどこか歪な感じを気に入っております。

表紙

〔装丁与太話〕

次回は絶対に全面箔!と決めておりましたのでカバー全面盛り上げ箔です。
読んでいただく際に気になるかと思い、デザイナー様と相談させていただいて折り返し部分には箔を施して頂いておりません。
当初透明なフィルムカバーに全面箔も可愛いのでは!?と思いましたがこちらは印刷所様NGでした。
明るい夜の感じを目指して、ジュエルペーパーなど偏光の紙を使用しております。
当初全面盛り上げ箔にはマットPPが必須でしたが、マットPPが使用できる紙が限られていて頭を悩ませておりました。が、なんと!印刷所様の使用可能カバー用紙が増えてジュエルペーパーが追加されたのです!
神がかったタイミングでした。

前回小口印刷が可愛かったので今回も小口印刷をお願いいたしました。
小口印刷は前回Assortの時と同様にRGB印刷ですので指につかないのが素晴らしいところです。

お願いした装丁一覧です。

〔デザインのイメージについて〕

今回作っていただく際に挙げさせていただいたイメージは
・月面(ないし、月の満ち欠け、太陽との対比)
・香水瓶
・水面(みなも、すいめん、海、波紋)、夜、アストロラーベ、天球儀、ガーランド、星図、衛星
です。どこにどのパーツが入っているか今一度カバーなどでお確かめいただけると、これか!と思っていただけると思います。
それほど精緻にデザインとして拾い上げていただいております。

当初、”演じる”という部分から
・舞台 ・劇場 ・緞帳 ・スポットライト
なども候補に挙がっておりました。

結局、”運命”という部分から
・アストロラーベ ・天球図 ・満ち欠けする月
各章のタイトルも宇宙寄りでしたので月の引力で潮の満ち引きが変わる、運命を観測する、のイメージへ決定しました。
劇場のイメージから、最終的にお願いした候補にガーランドが入っています。

ジュエルペーパーの偏光がどのくらいまで出るのか、マットPPだとどの程度抑えられるのかというのが印刷されてみないと分からなかったのですが、実物は本当に可愛くて!
白抑えのあるところは上品に、紙の個性が出ているところは箔とは違うキラキラが目を惹く、ドキっとした構造です……。

実際の写真はこちら↓


〔デザインについて〕

先述の通り、明るい夜のイメージでお願いしました。夜なのに明るい、という無茶ぶりにさち様が「明けていく夜のような、幻想的な感じで作って行こうと思います」と仰っていただいた際には、天才でいらっしゃる……と感動したものです。
そしてキャラクターの名前が太陽と月になっているのです!
今回は組版を自分でする代わりに、目次ページや章扉、奥付をさち様にお願いいたしました。
私のお気に入りページは目次です!

目次ページ
(個人的には目次ページって一番難しいと思うのです)

今回はさち様からご提案があり、一度に作るのではなく、
①カバー
②表紙
③中扉
④小口
⑤目次・章扉・奥付
の順番で順々に作っていただきました。
毎回ご連絡いただくたびに目が眩むほどの美しいデザインが来るという、贅沢すぎて心配になるほど贅沢な体験でございました。

なんとさち様には今回、
①4Cカバー
②カバーの白版
③カバーの盛り上げ箔の版
④表紙
⑤小口印刷
⑥中扉
⑦目次
⑧章扉(タイトル違いで5種)
⑨奥付
(⑩再版分の奥付)
をお願いいたしました。こんなに無茶を言ったにもかかわらず、お付き合いくださったさち様は本当に菩薩のようにお心が広いです……。

 さち様は本当に細かく意図を汲んでくださって、例えばサークルロゴの花ならば「花弁の数は、花の数は、前を向いているのか、横を向いているのか、芍薬ならば芍薬の品種の指定はあるのか」と確認くださるのです!
今回も香水瓶ならば「形の指定はあるか、どのような形がイメージか、好みか」など、自分では至れないような場所までイメージを共有してくださるのです。自分の頭の中のイメージも同時に固めていただけて、本当に助かります!

拙宅のサークルロゴ。さち様に以前制作いただきました!

最終的には紙のことや箔を悩んでいることをぽろ、と溢しましたらサンプル画像まで作っていただけて、お優しさに大喜びしました……。

盛り上げ箔については、レインボーシルバーとクリスタルシルバーで悩んでいて結局レインボーシルバーにしたのですが、タイトルのロゴが砕け散る硝子のような、鉱石のような情感がホロに合うだろうな……ということで悩んでいました。
結局可読性と、傾けると色が変わる(=主役の二人の未来は無限の可能性があるよ、という意味を込めて)を大事にレインボーシルバーにしました。
が、結果としてクリスタルシルバーも再版で使えたので嬉しかったです!
再版をさせていただいたのも人生で初めてでした。

カバー全景。小口→折り返し→表紙→裏表紙→折り返しへ行くと朝を迎えるように見えます。

〔表紙とカバーのこと〕

表紙をジュエルペーパーのリバーシブル印刷にしていただき、青い偏光部分を見返しにしよう!というのは初めてジュエルペーパーを見た時から決めておりました。
よくファンタスなどをリバーシブル印刷で表2-3にされていると思いますが、それのジュエルペーパー版ですね。
そうすると表紙がモノクロ・特色1色・4Cの選択になり……。
金・銀の1色印刷希望だったのですが出来ないので4Cかどうか、と悩んでさち様にご相談申し上げたところ、「めくったらイメージが違う、という驚きがあるのも良いのでは?」とご提案いただいたので喜んでそうしていただくことにしました!
なのでぜひ、現物をお持ちの方にはカバーをめくっていただいて印象の違いに驚いていただけたら、見返し部分の光沢にときめいていただけると喜びます。

余談ですが、さち様から表紙の案をご制作いただけたときネイビーの表紙が来て歓喜と共に大きな驚きがありました。
実はお願いするもっともっと前の段階で、この本のイメージカラーはネイビー(次の候補は濃い緑・ワインレッド)だったのです。
イメージを煮詰めていくにしたがって明るい夜のイメージから、ネイビーは除外されピンク~紫~水色へ変遷を経たのですがさち様はどうしてそのことをご存知なのか、と痺れた記憶がございます。
さち様は本当に私の好みのど真ん中をド直球で射抜いてくださるので、度々呼吸困難に陥るほど興奮しておりました。

〔組版のこと〕

今回は組版を自分でやったので、本当にノドが無事なのか不安ではありました。
むしろノド側をあと1mm詰めて、小口側をもう1mm広げても良かったかなと思うぐらいで、可読性を損なうほどではなかったと思います!
注意事項ページ(これは自分で作りました)がすこし見にくいかな、と感じましたので、次回の課題にしたく思います。

〔イベントのこと〕

諸般の事情で今回のイベントは諸々諦めたり、不完全燃焼だったりしてしまったのでお恥ずかしい限りなのですが……。
お話のコンセプトとして
・囚われている(他人から与えられた役がある)
・美味しそうな匂い
でしたので、化粧品収納用の鳥籠型三段ラック(アフタヌーンティなどに使われるようなものです)をディスプレイとして用意してみました。
前回の時は結婚式の受付のイメージにしましたら、なんと会計スペースがないという欠点がございましたので今回は会計スペースを広めに心がけました。
今回の本は全面盛り上げ箔だったせいか、なんと一冊一冊の間に厚紙を挟んでいただいていて(!)、イベント中は傷つけないように束から抜くのに腐心した気がいたします。
イベント中、わざわざ現物の本がどんな風か見に来てくださる方がいらっしゃったりして装丁をこね回した私が報われた気持ちでした。


〔思い出話〕

・個人的には、虹彩パールトレペはあまり目立たせてあげられなかったな……と思いました。無念です。
・ジュエルペーパーをリバーシブル印刷お願いしてしまいましたので、本としては硬くて開きにくいのが難点ではございました。
Assortよりもページ数が少なかったのですが……)
ちょっと背の角が張ってしまったかな?というイメージです。
この辺も本になってみないと分からないことですね。

〔装丁総選挙について〕

そしてこの本!
なんとプリントオン・アクシス出版様主催第5回 装丁総選挙にノミネートいただいたのです!
多分今年一番(良い意味で)驚いたと思います。

錚々たる素晴らしいご本の中、憧れの装丁総選挙様のページに自分の本が並んでいるという事実に恐れ多いやら……。
ずっとHPに載せていただけるのだという現実に未だおののいております。
ノミネートしていただけたことが嬉しすぎて、PCでもスマホでもスクショを撮った記憶があります。

お写真をすごく綺麗に撮っていただけているのです!

🎊そしてなんと、4位をいただきました🎉

ノミネートいただけたことが嬉しくて、受賞などと微塵も考えておりませんでしたのでいただいたメールを拝読して心臓が止まるかと思いました。
目玉が飛び出るとはこのことなのですね……。
その節は大切な一票を投じてくださった方、誠にありがとうございました!

今回の本については本当にいろいろなことがありましたので、出した本については大体どの本も印象深いのですが特に印象深い本になりました。
有難いことに再版もさせていただいて、お迎えいただいた方には感謝しかございません。
誠にありがとうございました✨


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