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"insight"ー自己理解の究極のバイブルー

"insight"の特徴

ターシャ・ユーリック著の自己啓発本。430ページにも渡り、内容もかなり濃いです。本書を読んでいて感じたのは、参考例が非常に多い!しかもGMを立て直したアラン・ムラーリー氏や、あのジョージ・ワシントンも例として挙げられています。

加えて、データによる主張の支えが多いのも本書の特徴。自己啓発本でこんなにデータの多い本もなかなかありません。自己分析のための巻末史料も充実していて、定価以上の価値があります。

人は自分の真の姿をいかに理解していないか

人は3つの盲点を持っています。認識の盲点・感情の盲点・行動の盲点。この3つの盲点は根深いもので、刑務所に収監されている囚人は、刑務所に入ったことのない平均的な地域住民よりも”道徳的であり、親切で、誠実で...”とみなしている。この研究の紹介はかなり衝撃的であるが、人間がいかに自分の理解から目を背けているかの良い一例です。ネガティブな評価が下されれば、評価を否定するために理由付けをし自らを正当化し、間違っている理由を探そうとする。これが人間だと書かれています。うーん、耳が痛い。

自己認識の2タイプ

自己認識には、内的自己認識外的自己認識があります。前者は自分のことについての認識で、後者は周りが自分のことをどう認識しているかということです。自分の欠点や不安について考えることは良いことと誤解されるが、考え過ぎは破滅をもたらすと述べられ、友人にアドバイスを貰うことは、良いことではあるが、実は正直に答えてくれるケースはそうそうないと書かれています。この自己認識に関する迷信を取り除き、正しい自己認識の方法を伝授するのが本書です。

その他にも色々なコンテンツが満載!!

自己認識に関することは勿論ですが、リーダーがチームや組織の自己認識を高める方法や、説得して自分の自分に対する評価を見直させることの出来る人とそのように仕向けるのを諦めるべき人との見分け方等も掲載されています。ピクサーの逸話も登場します。本書で紹介されていたエド・キャットムル、エイミー・ワラス著、石原薫訳『ピクサー流想像するちから』(ダイヤモンド社、2014)は、ピクサーの歩みが事細かに書かれていますが、どちらかというと、キャットムル氏の自伝に近い印象を受けました。イノベーションを追求し続け、成功秘話やピクサーの裏話が満載で、最終章のスティーブ・ジョブズの死を悼む話は心を動かされました。この本も、"insight"とあわせて是非とも手に取って読んで頂きたいです!




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