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リメンバー・ミー

ピクサーの作品「リメンバー・ミー」が超絶に心に響いたので、レビューを書いてみる。ネタバレしまくるので、未見の方はご注意を。

メキシコを舞台にした作品で、死者の日という先祖崇拝の慣習があるメキシコ。先祖の写真を飾り、お供えをしたり。日本のお盆の慣習と近いだろうか。

死者の日には、先祖が死者の国から家族に会いにやってくるが、ちゃんと写真が飾られてなければ帰って来れないらしく、さらに、死者の事を覚えている人が誰もいなくなると、最後の死が訪れ、死者の国からも消え去るという。

こういった概念をベースに、少年が自分の生きる道を見つける成長譚と家族愛の物語が、美しい世界観で描かれる。

ディズニーとかピクサーとかの海外のフル3Dアニメーション。特筆すべきは、表情の豊かさとセリフと口唇のシンクロ具合が見事すぎる所にある。そして、ファンタジー表現に寄せているとはいえ、実写と見紛うほどの特殊効果映像に心が踊ってしまうのだ。ジブリの手書きの表現の緻密さも素晴らしいとは思うのだが、これほど細やかな表現がなされてくるとは。

さて、メキシコの音楽の世界、いわゆるマリアッチ、のような世界に憧れる少年だが、家族に猛反対されているが、その理由は、家族を捨てて音楽家の道に進み、二度と帰ってこなくなった祖父の祖父の影響が原因である。そして、家業の靴屋さんになるように方向づけられるのだ。この葛藤。誰しもが、似たような経験があるのではないだろうか。しかし、家族の反対もその少年を愛するが故であるのだが。

アレブリへというカラフルで極彩色の動物の人形。メキシコの工芸品であるが、これが、また、美しい。たくさんコレクションしたくなるシロモノだ。これが、映像では自由に動き回る。なんとも美しい世界観であった。

メキシコでは歴代ナンバーワンのヒットだったらしい。メキシコの文化が美しく描かれた作品にさぞ喜んだのだろう。

人々の記憶の中に死者は生き続ける。そして、1年に一回、家族に会いに帰ってくる。なんと美しい概念だろうか。その概念を美しい映像にするという意義は大きい。

そして、音楽のある世界のなんと豊かな事か。

メキシコの死者の日のお祭りは底抜けに明るい。このラテンのノリ。メキシコに旅に行きたくなる映画であった。メキシコ音楽にも惹かれる。

良い映画を見れた。




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