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資金提供も大事な仕事なのです。

とある繋がりで、ある研究開発法人に総合職として来年の4月から就職することになった子と話す機会があった。

こうした研究開発法人は、研究組織を持ち自ら研究成果を挙げる場合もあれば、大学研究者をはじめとする研究者たちに研究資金を提供し、関連する何らかの研究成果を出してもらう立場になる場合もある。我々研究者は、そうした研究資金を提供してくださる方々がいるから、研究を継続できるのである。

その学生は専門職ではなく、総合職就職らしいので、直接的に研究開発に携わるわけではないらしいのだが、そういう組織に入社する立場として、研究者である私に質問してきた。

「研究者の立場的に、そういう研究法人のことってどう思う?」
「どう思うって、どういう意味?」
「私も一応大学4年生で、研究室に入って研究してるけどさ、研究って大変じゃん。で、私がこれから入るところは、自分たちが研究するわけではないけど、研究者の人たちに資金提供して、それで研究してもらうわけじゃん。自分が研究してないのに、それを『研究やってます』って言っていいのかなぁ」
「実際に自分たちが手を動かしているわけではないのに、それを自分たちの組織がやっている研究として外向けに話すことに対してどう思えばいいのか、っていうそういうことか?」
「そんな感じ。で、そういう組織のことを、実際に研究してる研究者の人たちはどう思ってるのかなって」

この質問は、非常に興味深い大事な質問だと思いつつ、このような目線で質問されたのが初めてだったので、そのときはうまく答えられなかった。

今私なりに回答するとすればどうなるだろうか。

まず、こうした資金提供型の研究開発法人が、研究者に資金提供することによって研究成果を挙げてもらう、というこの図式自体は、なんらおかしいことではないし、社会的には必要なことであると思う。

それは、端的に言えば、先端的な研究を実施するには多くの場合、巨額の資金が必要だからである。一研究者が自力で集めるのは不可能だ。だからこそ、そういう研究資金の提供の役割を担っている組織の存在意義がある。

また、研究というのは必ずしも具体的な研究を実施する作業だけで構成されるわけではない。確かにそうした作業が無ければ研究は進まないわけだが、それに必要な情報やお金を集めてくること自体も、広い意味での「研究」という言葉の意味には含まれていると思う。

そして、そういう研究開発法人に対して研究者がどう思っているかと言えば、個人的には、あってくれた方がありがたいのでは、と思っている。

それは、研究資金を確保するための申請先の選択肢が増えることにもなるし、それによって我々のようなポストドクターの雇用が保障される側面もあるからである。

研究分野やテーマ、そしてその組織の風土によっては、結構縛りがキツイ場合もあるにはあるが、それはその組織の考え方次第で変わってしまう気もするので、我々がとやかく言えることでもないのでは、と思っている。

こうして落ち着いて回答を考えてみても彼女の満足いく回答になっているかどうかわからないが、その問いをもらったおかげで、私自身の視野と目線が少し広げることができた。

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ともやの思考整理日記
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