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家族と繋がりたくて、わたしは今日も台所に立つ

わたしは不器用な人間で、創作には程遠い。幼いころから裁縫が苦手で、家庭科の先生に「あなたの良さは違うところにある」と無駄に励まされた。絵もへたくそ。クリエイティブの欠片もない人間だ。

それでも1つだけ創作に自信があるとしたら、それは料理。1人暮らししていた3年間、ほぼ外食に頼らず、毎週土曜に1週間分の作り置きをしながら腕を磨いてきた。

キャプチャ

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不器用のベースは変わらないので、トップのインスタグラマーの方に比べたらまだまだ。でも自分が楽しんで創作できるなら、それで十分。

1週間の献立を考え、パルシステムで必要な材料を頼み、メニューを組み、実際に作る。ひたすらそのサイクルを毎週回している。今は転職までの充電期間なので時間はあるけど、仕事で忙しい時も欠かさずやっていた。ご飯を食べてから仕事を再開することもたくさんあった。

そんなとき同僚に言われた。
「今自分で作らなくても楽においしいごはんって出来るじゃないですか。わざわざ忙しいのに時間かけてつくる意味ありますか?」

たしかに。自分が大変な思いをしてまで作りたいのってなんでだろう。

そんな疑問を持っていた時に実家のママからlineがきた。先週お中元でカニ缶を贈ったのだけど、「カニクリームコロッケに変身したよ」というお知らせだった

カニクリームコロッケ

この写真を見てふと思い出した。あ、わたし誰かと繋がりたくて料理を作り始めたんだっけな、と。

30歳で初めて一人暮らしをスタート。最初はもちろん周りに友達もいなかった。何か習い事をしようかなあと思ったときに、スポーツがからきしだめだったわたしは料理しか思いつかなかった。

料理教室では毎月料理を習った後、教室の先生に家で同じレシピで作った料理をlineで報告できるシステムがあった。とにかく寂しかったわたしは誰かと繋がりたくて、教室の先生に毎月料理の写真を送り付けた。1年通っていて、おそらく皆勤賞に近かったと思う笑。

毎回まじめに送り続けることで先生がわたしのことを覚えてくれて、教室で褒めてくれるようになった。その結果、「みよちゃんすごいね」って声をかけてくれる人が増えて、友達もできた。調子に乗ってインスタグラムも開設。そしたら当時働いていた会社でまったく話したことない子から「いつも料理すごいですね!今度教えてほしいです」と連絡がきた。

料理はわたしと誰かを繋いでくれる、スーパーアイテムだった。

でもわたしが1番繋がれて嬉しかったのは、家族かもしれない

1人暮らしはワガママを言ってさせてもらった。東京に実家があるから、本来は必要ない。けれどわたしは当時もっと仕事をしたかったので、実家でなんやかんや言われるのが少しうっとうしくなっていた。口には出さなかったけど、出ていくわたしをみて少し寂しそうな両親を見て心が痛んだ。

とはいえ1人暮らしを始めると両親への気遣いは薄くなり、少しずつ連絡頻度が減っていく。離れていると共通の話題もないし、連絡するにも何を話せばいいかわからないから

そんなある日家でコロッケを作ったら、中身が割れてボロボロに…なんてこった。そこで実家の母親に連絡してみた。「じゃがいもはきちんと冷やさないとだめだよ。つぶしてすぐ揚げちゃうのはNGよ」と返信がきて、さすがママだなあと感激した。ママは専業主婦で、外食にほぼ頼らずに毎日欠かさずご飯を作ってくれた。ベテラン感がすごい。

それから料理をしたときに、たまに写真を送るようになった。「きれいにできたね」「から揚げちょっと焦げているね。温度が高すぎるのかも」とアドバイスが返ってくるのをみるたびに安心した。大した出来事がなくても料理があれば、繋がれる。それって本当にありがたいことだと思う。

昨年わたしは結婚して新しい家族が出来た。2人暮らしになっても料理を毎日作ることは継続できている。

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2人暮らしの家の決め手はキッチン。キッチンが広くてここに住みたい!とわたしから夫にプッシュした。

うれしいことがあった日も、嫌なことがあった日も、何もない日も。美味しいごはんを創る。そして食卓に飾り続ける。わたしにとってのアート。

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夫が「おいしいなあ。これってどんな味付けにしたの?」と聞く。それはね、とわたしは言って会話が弾む。気づけばわたしの子どもの頃もそうだった。ママに「今日のご飯美味しい!」と喜んで、「バターが隠し味なのよ」とか教えてもらって、そこから会話が膨らんで。

わたしにとってのアートは家族と繋がる料理。これからも創り続けて、家族を笑顔にし続けたい。だからわたしはずっと今後も、台所に立ち続けるだろう。

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